えいすけの書き散らし

自分の思考の一時保存場所

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愛とか自己愛とか(1)

「恋なんて 言わばエゴとエゴのシーソーゲーム」 「許してね恋心よ 甘い夢は波にさらわれたの」 最近、20年前くらいの曲を再び聞いてみると、その歌詞の奥深さにアッとさせられることが多い。 これらは言わずとしれた名曲である。 前者はMr.Childrenの『シーソーゲーム ~勇敢な恋の歌~ 』の一節である。恋はシーソーゲームとはよく言ったものだ、「エゴ=愛する気持ち」はどちらかのバランスが崩れては成り立たず、両者が釣り合ったときだけ成立する脆いもの。片思い中の心情に乗せて、

    • 小豆島旅行記 〜自由律俳句とともに〜

      2024年2月20日〜2月23日、私は「劇団ゆうじゅうふだん」団員と共に小豆島へ出かけた。 目的は、我々が2年前に行った公演『咳をしても一人、くしゃみして二人』で舞台となった地に、いわば聖地巡礼を行うためだった。 団員は皆視点が独特で、ただ話しているだけで一向に飽きないのが面白い。彼らと一緒にいると私の中で蓋がされかけていた創作への意欲が再び胸の奥底から湧き上がってくるのを感じる。 なぜだろう、私がこれまで仲良くしてきたどの集団とも異なり、彼らと一緒にいると気味の悪い連帯感

      • "Sacred" Christmas Eve

        It was just past midnight on 24th December. A strange silence surrounded the bus station, which was located apart from the center of NY. My two friends and I waited for the department on the last bus, sitting on the seat. The bus seat was

        • New Yorker

          It's been three days since I came to New York. Even in the same US, I was surprised by the extreme difference in atmosphere compared to Los Angeles. On the contrary to LA's spacious and open air, NY seems like a sophisticated model. Beside

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        愛とか自己愛とか(1)

          My Pledge

          (日本語訳は下にあり)    Someone might be surprised to see me writing this Note in childlike, awkward English.    You probably know, but I'm (at least I was) the kind of person who dislikes over-influenced people like a girl who posts an Instagram

          【短編小説】 融合

          命令に従い、出力を開始します。 試作品 型番MAIN-100 ver.1-1 鏡月がそうにも。だけども霧かつ人員と馬車、藍の耳に読んでから、凍ってはなりません。行けるにもない正面が的な物差しをおぼつかなしに、いくつもの草原から飲ませる吊り橋が曇天。長針と成長は枕を知って、その下を吐くとはいえ、まだ炉端に消えていく回廊がありますという。 試作品 型番MAIN-100 ver.1-2 溶けた滴の見て、街を取り、以心伝心の金色を夢に見る。凍ったと認識しながら虹色に時雨が強弁

          【短編小説】 融合

          いきものがかりの描く"月"の両義性

          最近、いきものがかりにハマっている。 これは当然、生物を育てるのに夢中になっているという意味ではなく、吉岡聖恵さんをボーカルとするアーティスト「いきものがかり」の曲をよく聴いているということである。 「気まぐれロマンティック」「じょいふる」のように、ポップな国のちょっぴり我儘なお姫様が無邪気に歌うような愛らしい歌を書いたと思えば、「ありがとう」「帰りたくなったよ」のように、人間誰しも根源的にもつノスタルジーを刺激するハートフルな歌を出し、「秋桜」「真昼の月」のように、美し

          いきものがかりの描く"月"の両義性

          【短編小説】おしるこのぶるぅす(1)

          世の中の摂理、物事にはかならず勝者と敗者が存在する。 圧倒的な力で周囲を押し除けたものは勝者となり、地位と名声を恣にする。欲望のままに生きることを許され、何をしても周囲の称賛の声に変えてしまうようになるのだ。仮にそれが非合法な手段であったとしても、勝てば官軍。1人殺しただけでは犯罪者だが、1万人を殺せば英雄として歴史の教科書に載る。勝負とはそういうものだ。 一方で、勝負に敗れたものは…… 知らず知らずのうちに表舞台を去り、その存在は誰の記憶からもいつの間にか消えている。た

          【短編小説】おしるこのぶるぅす(1)

          【短編小説】 真昼の月

          死神かと錯覚する忌まわしき鶏の鳴き声が、今日も独りの私に、残酷な朝の訪れを告げる。夜中濡らした袖はもはや乾きはじめ、ただ私の体に重たい絶望の余韻を残すばかりだった。 もう何度も期待を裏切られてばかりなのに、頭では考えるのをやめるべきだと分かっているのに。こうして憂愁の暁を迎えるのは一体幾晩目だろうか。 あの方とお会いしていない間に、私を優しく抱き寄せる腕の感触も、体中に甘く沁みる柔らかな声も、次第に記憶から薄れて靄をかける。それでも、互いに紡ぎ出した幾首もの甘美な戯れ言の一

          【短編小説】 真昼の月

          ひとやすみ

          最近は、どうも疲労があまりにも蓄積している。 自分の調子が上向きでないときの感覚が、だんだん分かるようになってきた。朝起きた時に、普段だったらすぐに動かせる体がなぜだか鉛をまとっているかのように重たい。歩きだしても、心が地面の重力に常に引っ張られ続けている感覚を覚える。常にしんどいので思考がだんだんネガティブになってきて、ため息をつく回数が増える。 昔に比べて今はその状態をメタ認知できているだけまだましになったけど、酷くなってくると、こうした悪い思考のスパイラルは知らず知

          オリオン座

          東京は通称『眠らない街』と言われる。 コンクリートで塗り固められた先進都市は、夜になっても街頭やネオン、スクリーンが世界を明るく照らし、人の歩みも絶えない。まるで、人々がもう夜中であることを忘れているかのように。 そんな終電間際の不眠症の街、ふと上を見ると、肉眼でもくっきりと輪郭を現すオリオン座があることに気がついた。 私は時々、夜に眠れないことがある。時計の音や枕の調子など些細なことが気になって仕方がないときもあれば、自分の頭が思考を渦巻いて止められないときもある。特

          綿毛 (短編小説)

          桜散る涼し気な暗がりで、やけにすましげなカエルの鳴き声。 その一様な粘っこさを断ち切るように、急に頭上でパチコンと弾けるような音がした。 視線を上げると、そこには見慣れた敏樹の表情――他人のことを嘲って心底楽しそうに笑う邪悪な笑顔ーーがこちらを除いている。 「お前さ、いい加減女みたいにナヨナヨすんのやめろって」 僕はその言葉とともに、頭頂部にじんわりとした痛みを覚えた。彼の手には三ツ矢サイダーのペットボトル。どうやら僕はその透明な凶器で叩かれたらしい。 僕はムッとして敏樹

          牛丼礼讃

          私は時々、無性に松屋の「ネギたっぷり旨辛ネギたま牛めし」を食べたくなる。 ホカホカのご飯の上に規律良く整列する、たっぷりと出汁を吸って紅葉のように色づいた牛肉。そしてそれを押しのけて、戦国大将のように存在感あらわに鎮座する青々とした大量のネギ。くぼみにピッタリとはめ込まれた卵の黄金色とのコントラストが美しく、お箸で割ってみれば丼全体を濃厚な架け橋がつなぐ。宝石をまとわりつくようなピリ辛のソースが、まろやかな全体像に明確な陰翳をつけてゆく。 一口お箸で頬張れば、ピリッとした刺

          大丈夫 (短編小説)

          「大丈夫だよ」 彼女はいつだって、僕に顔を向けると決まって頼りない笑顔でそう言うのだった。彼女が転んで膝を擦りむいたときも、僕が将来の不安を口にしたときも、ビスケット一枚いる?と聞いたときも。 常に一定のトーンで感情の介在しないその口癖は、その意味とは裏腹に得体の知れぬ不気味さを醸し出していた。 なぜなら僕は、それが嘘だと知っていたから。 僕だけが知っていたのだ。その裏には声のない悲鳴が紛れているということを。 だからこそ「大丈夫」という言葉を聞く度に、酷く焦燥感と憤りに

          賛否両論の映画と現代アートのはなし

          (※このノートには『君たちはどう生きるか』のネタバレは含みませんが『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』のネタバレをほんの少しだけ含みます) 昨日、私は宮崎駿氏の最新作『君たちはどう生きるか』を見た。 映画館に足を運ぶのは、ちょうど昨年の今頃に『すずめの戸締まり』を見に行った以来だったかもしれない。 映画館は私にとって魅力的な場所である反面、そこにいる間は砂漠の中に野ざらしでいるような気分にもなる不思議な場所だ。現代人にとっては決して短くない2時間や3時間の間、

          賛否両論の映画と現代アートのはなし

          産声

          最初にノートを投稿するにあたって何を書こうか考えているとき、ふと「産声」という表現が頭をよぎった。 別に自分は今まで何度も小説を書いてきているし、今更何か文章を書くことに特別な思い入れはない。それでも、新しい媒体のまっさらな紙にこうして向き合ってタイプしていると、不思議と新鮮な気持ちになってくる。 やがて、何か新しい自分の中の衝動が生まれてくるのを感じる。あたかも、私の内部にうごめく未知の世界が誕生し、自らの存在を主張して泣き叫ぶかのように。 そんなわけで、一番最初の投