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数学の答案を書く。―「実験」からはじめよう―

こんにちは。ハチドリです。今日は短い記事です。

数学の問題を解くにあたって大事なことは、「まずは手を動かす」ことではないか、と感じたので、きょうはそれについて書きます。

穎才学院で数学を教えていると、生徒がよくこういうことを聞きます。

「解説ではこう解いていますが、これはどうやって思いつくんですか?」

彼らは「数学の模範解答は、その場のひらめきによって頭からしっぽまで一気に書き上げられている」と、そう思っているのかもしれません。

無理もないことです。完成された数学の答案には、問題の仮定から答えに至るまでの道筋が、一直線に書かれている。その過程にあったものは、答案の上には一切現れません。だから、はたから見れば「天から解法が降ってきた」ようにも見えます。

しかし、実際にはそんなことはありません。一直線に見える答案の裏には、たいてい試行錯誤が潜んでいるものです。まずはこの方法で試してみよう、ダメなら次はこの方法はどうかな。数学の問題というのは、そうした試行錯誤の末にようやく解けるものなのです。この試行錯誤を、私は「実験」と呼んでいます。

一例として、不等式の証明を考えてみます。ひとくちに不等式を証明するといっても、その方法は様々です。例えば、「(xの関数)≧0」を証明する、としましょう。左側の関数が多項式なら、うまく変形すれば「2乗の形」に変形できるかもしれない。 x の制限によっては、相加・相乗平均の関係を使えるかもしれない。それが全部ムリなら、例えば微分を使って、「左辺が常に0以上」を証明できるかもしれない。こうして手当たり次第に考えて、上手くいくかどうかを試すのが「実験」です。

だから、質問をした生徒に対しては、「まずはできることをやってみよう」と言います。とりあえず仮定をつかって導ける事実を出してみて、次にそこからどうすればいいかな。あるいは、結論に至るためにはどういう手続きをすればいいかな。こうして、手あたり次第に「実験」を行うことが大事だと、説明するようにしています。

また、試行錯誤をするときには、考えを「紙に書く」ことをおすすめします。

ものを頭だけで考えると、どうしても思考の整理ができない。覚えていられること、一度に考えられることには限界があります。だから、紙に書いて考えるのです。計算用紙を、脳とは別の記憶装置として活用するのです。

紙に書くことのメリットはそれにとどまりません。いったん紙に書くと、自分が何を考えているか、どのように考えているかがわかります。それがわかれば、自分が考えたことを土台にして、次のステップに進めます。自分の思考(この場合は「試行」ともいうべきでしょうか)を保存するためだけでなく、必要に応じて参照するための道具としても、紙は有効です。

ということで、数学の問題を解くために必要な「実験」のお話でした。

はじめから方針を立てる必要はない。まずはいくつかできることをやってみて、見通しがよいものを採用していけばいい。そういう心持ちで数学の問題に向き合うと、初めて出会う問題と戦う力が伸びるのではないかな、と考えています。

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