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共通テスト新科目「情報」!どんな問題が出るの?

令和7年度以降に共通テストを受験する人たちへ。

こんにちは。穎才学院講師の増本です。

今回は令和7年度から追加される共通試験の新科目「情報」について、サンプル問題を見ながら、その対策や学習方法を検討していきたいと思います。

『情報 サンプル問題』

https://www.dnc.ac.jp/albums/abm.php?f=abm00040342.pdf&n=12_


1. 第1問 情報技術に関する知識を深めよう

第1問は知識問題で、問1~問4の4題構成です。
以下おおまかに出題内容をまとめます。

問1 通信技術に関する理解を問う出題
①データ通信であるネットワーク回線の特徴
②情報格差が生じる原因
③震災後に自治体でクライドサービスの利用が広まった理由

問2 説明したい内容に合わせた適切な図の選択問題
①クラスメイトの通学手段を分類したものを表すのに適した図
②PDCAサイクルのような流れを表すのに適した図
③パソコンを重量と価格という2変数に着目して分類するのに適した図

問3 モノクロ画像をデジタルデータに変換する手順とその内容に関する出題
①量子化について
②デジタル化されたデータのメリット

問4 IPアドレスの仕組みに関する出題
ビット数に関する計算

なんだか難しそうですね。もちろん、上記の出題は問題文や選択肢が与えられているため、全くの無知であってもいくらか解答することが可能なように作られています。その意味では思考力を問う問題といえるのかもしれません。

しかし、私としては「これくらいの知識を高校生に身につけておいて欲しい」と要求しているような気がします。というのも、思考力を問うだけであればわざわざ新しい科目を設定する必要は無い気がするからです。

以下は実際の問1の一部(図1)ですが、どうでしょう。人によってはなんのことを言っているのかさっぱりかもしれません。パケット通信で調べてみるとすぐに分かると思いますが、正解は②と③です。消去法で解けないことも無いですが、素直に勉強するのが早そうですね。


図1 第1問 問1の一部

さて、私自身は高校生の頃、それほど真面目に情報の授業を聞いていなかった気がします。ですから、これらの内容をが当時授業で習っていたのか、正直覚えていません。当時自分が高校生だったときに対策無しにサンプル問題を受験していたら、玉砕していたことでしょう。後に産まれるほど何かと要求されるレベルが高くなるのは本当に大変ですね(笑)。しかし泣き言も言ってられないので、知識系問題対策として、少なくとも次の世代の受験生たちは情報の教科書を通読しておくことは必須なのかもしれません。


2.第2問 プログラムの仕組みを理解しよう

第2問はプログラミングに関する出題です。プログラミングと聞くといかにも難しそうですね。問1~問3の3題構成です。出題内容は以下のようでした。

問1 ループ処理のプログラムの穴埋め

問2 プログラムによる処理を繰り返したときの配列の変化の穴埋め

問3 条件文の入ったプログラムの穴埋め

最近は小学校の授業でもプログラムの基礎に触れる、なんて聞きますが、今時の高校生もこの辺の内容は朝飯前なのでしょうか。

本問では政党の得票数の集計が題材に使われていて、目的に沿ったプログラムになるように、与えられたプログラム文の穴埋めが要求されていました(図2)。プログラムにはfor文(問1の内容)やif文(問3の内容)といった基本的な構文が存在し、それらを適切に組み合わせることで、目的に合わせたプログラムを作成できます。

本問題はオリジナルのプログラム言語で作られており、何かしらの言語でのプログラミング経験があれば解けそうです。逆に、プログラムに触れたことがない人にとってはかなり厳しいかもしれません。


図2 第2問 問3の一部

なぜ、こんな技能が要求されるのでしょうか?その理由は、プログラミングがコンピューターに仕事をさせるために必要な技能だからです。

人間の手作業では非常に手間のかかってしまう仕事でも、コンピューターに頼れば一瞬で実行して貰うことができます。そのためには、コンピューターに実行してもらう仕事の内容を人が指示してやる必要があります。その指示の部分を記述するのが、本問で聞かれているようなプログラミングです。昨今の少子化による労働人口の減少や業務の複雑化への対応、IT業界の隆盛に追従できる人材が求められているということでしょうか。

サンプル問題を見た限りではプログラミングの基礎的な内容しか問われておらず、難しい問題は出なさそうです。近年ではインターネット上で無料でプログラミング入門口座が受講できたりもするので(Progateなど)、まずはそのようなサイトを利用して手を動かすところから始めるのが良いのではないかと思います。


3.第3問 統計の使い方を学ぼう

第3問は統計に関する出題です。4題構成で問1~問4から成ります。これまでと同様に以下おおまかに出題内容を見てみましょう。

問1 データの読み取り

問2 回帰分析の結果のグラフの読み取り

問3 与えられた統計量の特徴分析

問4 統計量の計算、読み取り

大問3では、複数のサッカーチームのパスの本数や反則の回数などのデータをまとめた表とグラフが与えられ、それらを考察することがテーマになっています。図3、表1はその一部ですがデータの量で言うとかなり多いですね。現行の数学ⅠAの試験で出題されているものよりははるかに多くのデータが与えられている印象があります。そのかわり、本問では数学的要素はかなり薄くなっています。統計学はその基礎に数学的手法が大いに含まれていますが、計算というよりも、データを読み取る力を育んでほしいという意図を感じる問題が多かったです。

本問で特に問われているのはデータの相関で、これは特定の物事の大小や増減を別の出来事の数値データから予想する際に非常に重要となる考え方です。ただ、この相関というのは結構落とし穴があったりします。例えばですが、「年齢が上がると年収が上がる」という関係と「年齢が上がると死亡率が上がる」という関係には因果関係がありますが、ここから「年収が上がると死亡率も上がる」というような関係には直接的な因果関係は含まれていません。つまり、データに相関があっても因果関係があるとは限らない、ということです。

データを適切に読み取るということは、外から得た情報をもとに判断を下す上でとても大切なことです。そのため、データの読み違いから発生した勘違いが大きな判断ミスに繋がるなんてこともあります。ですから、データの相関に関する勉強をした上でさらに、その背後に隠れている因果関係を推察するところまで意識して学習をすることで、求められているデータを見る力を養って行けると良いでしょう。


図3 第3問 問2で与えられたデータ

表1 第3問 問3で与えられたデータ

全体を通してみると、受験生たちが既存の科目に加えてさらに新たな知識や思考力を身につけることを期待して、この情報という科目は用意されたのだと思います。実際の出題は必ずしもサンプル問題のようになるとは限りませんが、受験生が抑えるべきポイントを以下にまとめると、

・教科書に載っているレベルの知識はある程度覚えておく。
・if文やfor文の使い方やリストの概念など、基本的なプログラムの書き方を理解する。
・与えられたデータを読み取った上で、その内容を考察する力をつける。

となると思います。時が経てば、学校で配られる教科書以外にも受験生向けの参考書や問題集が販売され始めると思うので、そういったものも積極的に活用すると良いのではないでしょうか。

新しく導入される新教科に不安を覚える学生も多いと思いますが、穎才学院では、各塾生の学力や目標などに基づいて、各塾生ごとに成績分析の具体的基準を設けるようにしています。ですので、新教科への対応も柔軟に行うことができます!

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