さて、バイオレンスコメディ映画企画『命乞いコレクター』の気まぐれ連載もいよいよ最終回となりました! まずは、前回の命乞いシーンで助かったクズ男、冨田のその後のシーンを紹介します。彼が電話ボックスにたどり着くのは、画的に好きだからというのもありますが、ヌエたちに拉致されたとき、携帯を奪われたからです。 【山小屋からの生還】 ◯山の中 両手に札束を持った冨田が走っている。 戸惑いと生の実感が混在した表情。 速度を緩め、来た道を振り返り、また走りだす。 ☓
前回はクズ男の冨田とその彼女、日向子のシーンを紹介しました。クズ男がヌエと対峙するシーンが今回のメインディッシュなのですが、その前にこの作品でやりたいモンタージュをお見せします。 それは:命乞いのモンタージュ。 カメラ目線で命乞いをする様々なキャラクター。 切り返すと、それを聞いている(あるいは聞いていない)ヌエのリアクション。このモンタージュでは色んなことが一度に達成できます: ・ヌエが求める感動は中々ないということ ・時間経過の描写 ・命乞いを繰り返すことでヌエの日常
前回の記事ではこの作品の一癖も二癖もある登場人物を紹介しました。読んでないよ!という方はあらすじの前にぜひチェックして下さい。 さて、彼らはどんな物語を繰り広げるのか? 【あらすじ】 ヌエはもう、随分前から人を殺すことに飽きていた。 来る日も来る日も、どこかの誰かの都合で、どこかの誰かを殺し、普通に暮らしていては使い切れない報酬を得ていた。変わった殺し方を試した時期もあったが、それはあまり趣味ではなかった。 ヌエはいつしか、ターゲットに命乞いをさせるようになり、そ
前回はヌエとその仲間たちのシーンを紹介しました。この映画の設定から言うと「命乞いを集める側」ですね。さて今回は、命乞いをする側に焦点をあてます。 「命乞いが面白かったら助ける」という約束がある以上、映画の中で誰かが助からないと、お客さんの期待を裏切ることになります。 現在の構想では、冨田というクズ男が助かることになっています。今日は冨田と、冨田の彼女、日向子とのシーンを紹介しますね。 こちらのお二人です(イラスト:シーズン野田) ゾンビ練習 ◯日向子のアパート
脚本:大川祥吾
15. 爛子の実家・部屋(朝)寝起きの爛子。相変わらず包帯まみれ。カーテンを開け窓の外を眺めている。そこへスマホに着信。 画面を見て慌てて姿勢を正し、一度スマホを机に置き、手を合わせ祈ってから出る。 爛子「(深呼吸して)もしもし」 三橋・声「あ、もしもし三橋です」 爛子「お疲れ様です」 三橋・声「お疲れ様です遅くなってすみません、こないだの最終選考の件なんですけど」 爛子「はい」 三橋・声「バラシになりましたので、来週の木曜は空けちゃって大丈夫です」 爛子 「…
7. 走行中の車内(夕方)来た時同様、曽太郎が運転している車に助手席に恵、後部座席に爛子が乗っている。後部座席のベビー用品の箱が来た時よりも増えており、爛子が座るスペースが狭くなっている。 爛子「え、明日の飲み会に、木下先生も来るってこと?」 曽太郎「想像したら緊張してきた」 恵「久しぶりでしょ? 爛子」 爛子「うん、卒業してからは会ってないから、もう5年?」 曽太郎「なんか腹筋痛くなってきた」 爛子「あ、出た、腹筋!」 恵「私も会うのは久しぶりなんだけどさ、折
1. 都会の道路道行く人々とすれ違いながら、颯爽と歩いている爛子(23)。 全身の7割が淡いピンクの包帯でぐるぐる巻き、左目は包帯で隠れ、左腕もギプスで固められ三角巾で吊るされている。 異様な風貌の彼女だが、道行く人々は誰も彼女に目を止める事もなく、爛子も真っ赤なスーツケースを引きながら軽快に歩いている。 タイトル「天真爛漫ミイラガール」 2. 田舎の駅前の駐車場改札を出て駅から駐車場へ歩いてくる爛子。 駐車場で待つ恵(23)と曽太郎(23)を発見し、大きく手を振り回しな
脚本:洞内広樹 俳優くずれの地縛霊が、 過去を振り切って最後の舞台に立つ─。 (全6話) ※2016年作・上演の演劇の脚本です。
24. 廃劇場 歌手子が走ってくる。トニーが追いか けて入ってくる。 トニー「藤川!あぶないぞ!」 歌手子「村松さん!イオリさん!」 トニー「藤川!」 歌手子「トニーさん、私、オーディションの ために、ここで特訓してもらったんです」 トニー「ここで?誰に?」 歌手子「イオリさんと…ベルナルド村松さん」 トニー「おい、悪い冗談はよせ」 歌手子「冗談じゃないんです。ほんとなんで す。いるんです!ベルナルド村松は!ここ に!村松さん!イオリさん!」
19. 合宿稽古場 トニーとまりあと歌手子が稽古終える。 トニー「よし。いよいよ明日はプレビュー公 演だ。今日までの稽古を体に叩き込んで、 よろしくな」 歌手子「はい!」 まりあ「はい!」 歌手子、まりあに声かける。 歌手子「まりあ」 まりあ「なによ」 歌手子「いろいろ付き合ってくれて、ありがとう」 まりあ「あんたのためじゃないから。この舞 台が成功しないと、困るのは私なの」 歌手子「そうね。ごめん」 まりあ「それに…共演者は、最後まで付き
10. 合宿稽古場/廃劇場※このシーンは舞台をカミテシモテで分け、それぞれ「合宿稽古場」と「廃劇場」の同時進行。映像で言うところのカットバック。 廃劇場…村松×イオリ 合宿稽古場…トニー×歌手子、まりあ。 村 松「トニーとおれは、劇団の同期でな」 トニー「ベルナルドには、よく稽古終わって も自主練に付き合ってもらってたんだ」 村 松「お互い燃えててよ。ウエストサイド 物語のトニーとベルナルドの役やって…」 トニー「トニー浅井と、」 村 松「ベルナルド村松、って
4. 特訓モンタージュ 村松が芝居を、イオリがダンスを教え、 たまに歌手子が歌を歌うモンタージュ 的な一連。歌手子が芝居をしてみるが、 首が水平でいまいち堂々としていない 歌手子「いいえ、終わりなものですか!まだ 終わりではありません!」 村 松「違う!顔をもっとあげろ!自分が思 ってるより30度は上にあげろ!」 歌手子「いいえ、終わりなものですか!」 村 松「もっとだ!」 歌手子「いいえ、終わりなものですか!」 村 松「今度は声が小さい
脚本:田中雄之(原案:桂三四郎)
シーン23 撮影スタジオ 映画の1シーンの撮影が終わる。 スタッフA 「それでは次のシーン、有田千三郎さん、爆破シーンです。各所準備お願いします!」 スタッフたちが次のシーンの準備に動きです。 皆一様に興奮している。 スタッフB 「いやーすごいな、まさか有田千三郎のアクションシーンだなんて」 スタッフC 「楽しみだよなー。どんな風になるんだろ」 スタッフB 「でも、なんで歌舞伎のメイクのままなんだろうね」 有田千三郎が準備しているスタッフたちの間を通り抜けてい
シーン22 大掛かりな映画の撮影現場 撮影セットの前で女子アナウンサーにインタビューを受ける、岩田と有田千三郎。 アナウンサー 「本日は歌舞伎役者有田千三郎さんの初めてのアクション映画についてお伺いしていきたいと思います!有田さんよろしくお願いします!」 有田 「はい。よろしくお願い致します。」 アナウンサー 「大変失礼ですが、このご年齢にしての初のアクションシーンチャレンジ、すごいですね!」 有田 「実はですね。まあオファーは昔からあったのですが、中々縁に恵まれず
シーン21 芸能事務所 打ち合わせスペースで向かい合う事務所社長中山と有田屋千三郎 中山 「有田屋くん、よかったね、君も首の皮一枚繋がったな」 有田屋 「ありがとうございます。しかしバレてないですかね、、、」 中山 「それな。あとで聞いてびっくりしたよ。しかし、運も実力のうちだ!」 有田屋 「はあ、、、」 中山 「運だけじゃないぞ、俳優、有田屋千三郎の能力があったからこそだからだ!じゃなきゃ普通は気づかれるだろ!自信を持ちなさい!」 有田屋 「そう
シーン20 撮影スタジオ 芝居場に白塗りの男がスタンバイしている。 全スタッフ、クライアント、が芝居場を注視している。 岩田、各スタッフに問題ないかを確認し、モニター前で熊谷と頷きあう。 岩田 「本番いきます。よーい、スタート!」 有田千三郎、パッとカメラを睨みつける、 有田 「これで安心ビタミンのど飴!」 有田千三郎、六方を踏みながら、カメラに近づき、商品を見せる。 有田 「いよー!」 岩田 「カット!OK!!」 熊谷と岩田、周囲を煽るように、大声を発する。