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(21)5歳頃からの積読本が「本読む子」への最短ルートでした~10年前に出会ったママさんへ~

   お手紙、つづきです。

  「家にある本で、デジタル漬けになる前に『読む』習慣を」
           ・・・というお話をしています。

  低学年までは動画やゲームがなくても家で楽しく過ごせます。
 「みんな見てる」「そういう時代」は少し横においといて・・・
 読む楽しみとすんなり出会える時期を大切にしたいなと思います。

            
 ・お手紙(20)はこちらからどうぞ。
(20)5歳頃から〝積読本〟と暮らすことが「本読む子」への最短ルートでした~10年前に出会ったママさんへ~|涼原永美 (note.com)

 
 今日は

「読書傾向で幼児期からの謎が解けた・・・この子は〝〇〇系」

                    ・・・というお話です。
 

  さて、シオリさん。

  シオリさんのお子さんは、どんなことにいちばん興味がありますか?
 何をしている時が、いちばん楽しそうですか? 
 「この子らしいなぁ」と思うのは、どんな時ですか?

  ーーじつは私、初めての子育てをしている時、これがなかなかわからない時期があったんです。

  長女が2歳から・・・4歳くらいだったでしょうか。

 たとえば家で積み木やブロック遊びをしている時、
「ほら、好きに作ってごらん」と声をかけても、長女はなかなか自分から手を動かしません。 

 積んだり、簡単に組み立てるようなことはするのですが、「もっとたくさん使って、おっきいのとか、お城とか、好きなのを作っていいんだよ」と言っても、「・・・ママ、作って!」と言うのです。

  同じように折り紙や絵も、私が作ったり描いたりしてあげると喜ぶのですが、自分から「自由にのびのび」作ったり描いたりすることを、あまりしまい子でした。

  また、たとえば「動物園の絵に動物の絵を自由に配置するシールブック」のようなものを与えると、「どこに貼ればいいの?」としきりに聞いてきて、見本がある場合は、その通りに貼ろうとします

  ただ、絵本を読んで好きなフレーズを何度も暗唱したり、幼児向けのジグソーパズルや、ひらがな・数字の表などを見るのは好きでした。

  ・・・と、ここまで書いて、いま思えばヒントはたくさんあったのでしょうが、その時の私は、初めての子育てだったこともあり、こういう先入観があったのです。

 「子どもは、自由な発想で、のびのびと積み木やお絵描きを楽しむはずだ」
「親は子どもの創造性を伸ばしてあげなければならない」

 ・・・なのに、この子はどうして?

  発達の遅れを気にするということとは違うのですが、「なぜなんだろう?」という、少しだけ不安や不満のようなものがありました。

 「ママは積み木でお城作るのは好きじゃないの。あなたに作って楽しんでほしいのに、どうして遊ばないの?」・・というような、いら立ちからくる冷たい言葉をかけてしまったこともあったかもしれません・・・反省。

  ーーそしてそのうちに、長女は5歳になりました。

 絵本や字は好きで、ひらがなはほぼ読めるようになったので、お手紙(8)(9)でもお話した通り、図書館通いをして「この子の好きな本のジャンル・傾向」を見つけようと、「どの本が好き?」と聞いたり、読む様子を見守ったりしていました。 

 ・・・そうして、

そのうちに私は突然、気づいた

のです。

  

「あっ! この子は、創作・芸術家タイプじゃない。理系の、分析・再現・情報収集タイプなんだ」


 ・・・人類をすべて理系・文系に分ける趣味はありませんが、言うなれば長女は理系で、自由に創作活動するよりも「世の中にある事実を、自分なりに分析するのが好き」なのかも・・・と気づいたのです。

  キーワードで考えてみると、長女の傾向は

  〈分析・再現・情報収集・理屈・理論〉・・・という感じでしょうか。

   ーーそれは、長女の読書の好みに表れていました

 あの頃、本当にたくさんの児童書を読ませた(・・・というか、目の前に提示してみせた)のですが、長女が「おもしろい!」と目を輝かせたのはほとんど「謎解き」や「クイズ」「迷路」、または「数字や科学の知識を用いた物語や図鑑」・・・だったのです。

  ーーそう考えてみると、図書館通いの前にもヒントはありました。

  積み木やブロック遊びの時、私が作ったお城をじっくり観察してから、同じものを正確に再現しようと頑張っていた姿。

  絵本を読んでいる時、大好きな「はらぺこあおむし」が「何曜日に何を食べたか」を暗記しようと必死で繰り返し暗唱していた姿(母にとっては〝謎の頑張り〟でした・・・)。 

 家族で飲食店に行った時、自分が何を食べるかよりも「メニューは何十種類あるか」を一生懸命数えていた姿・・・。

 
 長女は、目の前にあるものを、自分なりに分析したり、覚えたり、考えたりするのが好きな子だったのです。

  私はそれを、「ちょっと変わってる」と勘違いしていただけ・・・。

 
 数ある児童書のなかから、探偵団が事件を解決する話を夢中で読んでいる姿を見て、「そうだったんだ・・・」と私は気づき、救われた気になりました。 

 ーーそう、謎が解けて、スッキリしたのです。

 これは、子育ての分岐点にもなりました。
 想像とは違う・・・でも、素晴らしい!

  それからは長女の個性や特性について、「もともとそうだもんね」と思うようになりました。今もです。

 子ども・・・というか人間一人ひとりには、産まれながらにして個性や特性がありますよね。

 それは

「頭がいいかどうか」ではなく、「何に心ひかれる人間なのか」

ということだと私は思っています。

  体を動かすのが得意で、スポーツ鑑賞も好きな子。
 音楽が好きで、自分でも歌ったり踊ったりする子。
 教えていないのに、虫や恐竜が大好きな子。
 人なつっこくて、赤ちゃんのお世話が大好きな子。
 動物が好きで、「大きくなったら動物園で働きたい」と言う子・・・。

 
 何が好きで、何にワクワクするかは、環境もあるとは思いますが、やっぱり親にも介入できない「その子だけのもの」
 遺伝も関係しているという話もありますが・・・私にはわかりません。

  ーーとにかく私にとっては、
 長女が「何にワクワクする子なのか」がわかったことは、子育ての中で大きな大きな収穫でした・・・!

 
  そして、子どもとはおもしろいもので、家の積読本で気が付けば「自由な本好き」に育った次女(現在小学2年生)ですが、これがまた、私にも夫にも長女にも似ていない個性の持ち主。

 
 絵や工作が好きで、積み木やブロックをかなり自由に使って「お城とその街に住む人たち」・・・という大作をつくる子でした(正反対)

  不思議だ・・・と思いつつ、きょうだいの個性の違いに感動すら覚えます。

  そして読書傾向ですが、家にたくさんある「多種多彩なミステリー」にはあまり興味を示しません(もったいない・・・)。 

 その代わり、「主人公と同じ気持ちになれる」・・・小学生の少年少女が主人公の物語なら、好んで読みます。 

 みんなで力を合わせ、友情を深めながら学校で起こったトラブルを解決したり、勉強やスポーツを頑張る話が好きなようで、

「みんなが幸せになればいいな・・と思う」

と言いながら読んでいます。

  また、動物や赤ちゃんが出てくる本も「かわいい~!」と喜ぶので、私のなかでは「読むものがなくなった時に借りるか買う」鉄板ジャンルとなっています。

   長女とは、まったくと言っていほど個性も性格も、読書傾向も違います。 

 長女のキーワードが〈分析・再現・情報収集・理屈・理論〉なら、

 次女は〈創造・創作・感情・人情・動物・赤ちゃん〉

  これに気づけて、本当に良かったと思っています・・・。

  テレビで同じクイズ番組を見ていても、長女は「今のクイズ」について考えているだろうし、次女は「さっき出てきた猫ちゃん」について考えているだろう・・・と想像がつくのです。

  こういうことだけでも、子育てがしやすくなりました・・・少し。

 
 ・・・ここまで、我が家のエピソードではありましたが、少しでも参考になる部分があれば幸いです。

 
 これで私がわかったのは、

子どもに本を読ませる時、やっぱり選択肢は多いほうがいい

・・・ということ。 

 たとえば親が、「これを読んで世の中のすごい人のことを少しでも知ってほしい」と学習マンガの偉人伝を用意するのは、いいと思うのです。

 
 でもそれが、たとえば エジソン、リンカーン、ナイチンゲールの3冊だけだったらどうでしょう(3冊用意するのが悪いということではないですよ)。

  子どもがちらりと読んで、興味を示さなければ親は
「うちの子、偉人伝なんて全然読まない・・・」とガッカリしてしまうかもしれませんよね。 

 でも、もしかしたらその中に、その子にとってのヒットがなかっただけかもしれません。

  ――では、全部で10冊くらいあったらどうでしょう?

  本当にたとえばですが、
 ファーブル、キング牧師、キュリー夫人、ベートーベン、松下幸之助、ヘレン・ケラー、一休さん・・・あたりはどうでしょう?(かなり適当ですみません)。

  アガサ・クリスティーでも、オードリー・ヘップバーンでもいいですよ!

  もしかしたらある日、その中の1冊か2冊を・・・夢中で読んでいるかもしれませんよね。
 
 
そうしたらわかるかもしれません。
 その子が、何に興味を持つ子なのかが・・・。

  ーー私はそういうの、すごくいいなぁと思うのです。心を発見

  親としては「ひと通り読んでみて」と声はかけるでしょうが、読んだ結果、オードリー・ヘップバーンばかりを読む子になるかもしれません。
 ーーそうであれば、映画「ローマの休日」を見せてあげるといいでしょうね。

  たくさんある偉人伝のなかで、「エジソン」がとりわけ気に入っているようなら、「もしかして発明が好きなの・・・? どこがいちばんおもしろいと思った?」と聞いてみることもできそうです。

  なんでも闇雲にたくさんあればいい・・・とは思いませんが、ある程度の選択肢があるなかで「それを選ぶ」というのは、子どもにも理由があります。  

 その本を「選んだ理由」、「おもしろいと思った理由」が、

 その子の心や個性を表している

 ことがあるのが・・・読書というもののおもしろさのひとつだと私は思います。

  そしてまた、子ども自身が「自分はこういうものをおもしろいと思うんだ!」と発見できることがーー素敵なんです。

  本を読まなくても、生きていく過程でいずれはそういうものに出会うかもしれませんが、子ども時代から本を読んでいると、「自分自身」に出会いやすいかな、とも思います。

  それがまた、

人生の楽しみになったり、時には生きる希望にもなったり

 もします。

 
 

 ・・・余談ですが、私は高校生の時、アガサ・クリスティーの「アクロイド殺し」を読んで以来叙述トリックにハマりにハマり、「私はこういうのをおもしろいと思える人間なんだ!」と自分自身に対して発見をしました。それは、今でも人生の喜びであり、生きる希望です。

 
 お手紙、続きます。

  

〈探偵になりたい姉と幸せになりたい妹の好み知る〉


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