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読書記録(5冊目)「ホテルローヤル」桜木紫乃

お疲れ様です。

本日は読書記録です。

ホテルローヤル/桜木紫乃

タイトル:ホテルローヤル

著者:桜木 紫乃

出版社:集英社

出版年:2013年1月4日

ホテルだけが知っている、やわらかな孤独
湿原を背に建つ北国のラブホテル。訪れる客、経営者の家族、従業員はそれぞれに問題を抱えていた。閉塞感のある日常の中、男と女が心をも裸に互いを求める一瞬。そのかけがえなさを瑞々しく描く。

北国の湿原を背にするラブホテル。生活に諦念や倦怠を感じる男と女は“非日常”を求めてその扉を開く―。恋人から投稿ヌード写真の撮影に誘われた女性事務員。貧乏寺の維持のために檀家たちと肌を重ねる住職の妻。アダルト玩具会社の社員とホテル経営者の娘。ささやかな昴揚の後、彼らは安らぎと寂しさを手に、部屋を出て行く。人生の一瞬の煌めきを鮮やかに描く全7編。

北国のラブホテルの一室で、心をも裸にして生々しく抱き合う男と女。互いの孤独を重ねる中に見えてくるそれぞれの人生の大切な断片を切り取る。

集英社HPより

物語は「ホテルローヤル」というラブホテルを舞台に繰り広げられる。

目次より、

  • シャッターチャンス

廃墟となったホテルローヤルでのカップルの話。

  • 本日開店

貧乏寺の住職の妻が檀家と関係を持つ話。

  • えっち屋

アダルト玩具の社員とホテルローヤルの娘の話。

  • バブルバス

たまたまホテルローヤルに入った夫婦の話。

  • せんせぇ

妻に裏切られた高校教師と行き場を失った生徒の話。

  • 星を見ていた

働かない夫を持つホテルローヤルの従業員の話。

  • ギフト

ホテルローヤルの誕生の話。

ざっと説明するとこのような感じで、時代背景は廃墟から誕生と、逆向きに進められていく。

全ての話が、少しずつ重なり関係をもって繋がる。

所謂ホテルの話となるけれど、自分もホテルのベッドに入る時「何組の人たちがこの天井を見上げてきたのかな」といつも思っていた。

おそらく、その中には関係性を表に出せない人、会っていた事を知られてはいけない人、ただ旅行で泊まっただけの人、女子会プランでどんちゃん騒ぎをした人と、数えきれない人たちが、部屋へ入り出て行く。

私を連れて、ホテルに入った彼は「ここは非日常で非現実の場所だ」と言った。

仕事が忙しく、常に携帯電話に着信音が鳴り響いている者からすれば、自身の待つオフィスや倉庫から離れただけでも非日常で非現実なのかもしれない。

もっと言えば、私の事も自身の生活の中に居る女性ではなく、日常には入れてもらえないという意味かもしれない。
彼の気持ちなので、私にはどうする事も出来ない。
そこで聞きたかった台詞はそんな言葉ではないから。

私は、このホテルローヤルも実在するホテルも、むしろ現実と日常を感じた。

経営している方、従業員、出入業者はもちろん生活そのものだけれど、部屋に出入りする客もまた現実と日常なのではないかと思う。

どの天井を見ても同じ事を思うということは、やはりそうなのだろうと。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

明日も皆様にとって良い日でありますように。

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