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2020年11月の記事一覧
渾身の書『食べることと出すこと』 ― タブーを超えて
頭木弘樹著 『食べることと出すこと』(医学書院、2020年)
食べることと出すことは
本来セットで考えられるべきかもしれないが
生と死が一繋がりでありながら
死がタブー視されるように
出すことも厭われているように思う
これは大学生のときに
潰瘍性大腸炎を患い
13年間の闘病生活を送った著者が
病の末に至った新境地を
数々の文学紹介を兼ねながら
時に切なく
時にユーモラスに
綴った稀有な書だ
『デフ・ヴォイス』で新境地
丸山正樹『デフ・ヴォイス』(文藝春秋、2015年)ほか
2011年の単行本以来
シリーズ3作のうち
文庫化されている2冊を読了
手話の種類や
聾唖の「聾」の字が
「龍」と「耳」から成り立つことなど
初めて知ることが多く
読み応え十分
なによりストーリー展開に
惹きつけられて
満足度100%
3作目の文庫化が
待ち遠しい
『風の陰陽師』シリーズに震えた
三田村信行『風の陰陽師』シリーズ(ポプラ文庫、2010~11年)
初版2007年刊行のこのシリーズは
マンガ化もされているため
ご存じの方が多いと思う
私は『ハリーポッター』でも
夢に出てきてしまうほど怖がりなので
この類いの物語は基本読まないのだが
同著者による『安寿姫草紙』で免疫ができて
今ごろになって初めて陰陽師シリーズに挑んだ
目の前にはっきり情景が浮かぶほどリアルで
もちろん恐ろし
私にとっての『セイギのミカタ』
佐藤まどか作・イシヤマアズサ絵 『セイギのミカタ』(フレーベル館、2020年)
「みんながほんのちょっとずつ勇気をもてば、なにかが変わるかもしれない」――そんな著者の思いが詰まった1冊
赤面症でトマトマンと呼ばれる主人公の前に現れる
セイギのミカタ
直球ストレートできたかと思ったら変化球で
最後まで目が離せない展開だ
小学4年の時
私は2度目の転校で
1年の時と同じ小学校に戻った
すでに知っ