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私にとっての『セイギのミカタ』

佐藤まどか作・イシヤマアズサ絵 『セイギのミカタ』(フレーベル館、2020年)

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「みんながほんのちょっとずつ勇気をもてば、なにかが変わるかもしれない」――そんな著者の思いが詰まった1冊

赤面症でトマトマンと呼ばれる主人公の前に現れる
セイギのミカタ
直球ストレートできたかと思ったら変化球で
最後まで目が離せない展開だ

小学4年の時
私は2度目の転校で
1年の時と同じ小学校に戻った
すでに知っている子も多いし
帰郷を楽しみにしていたのだが
「転校生だ」といじめられてピンチに

そのとき
腰まである長い三つ編みを
男子たちに引っぱられながらも
ひとりのクラスメイトが
私のセイギのミカタになってくれた

夏休みにその子の家に遊びに行くと
おうちの人は不在で
冷えたトマトジュースにレモンを搾って
みずからもてなしてくれた

当時、トマトジュースが苦手だった私は
丁重に遠慮したのだが
「おいしいから飲んでごらん」と
まるでお母さんのように諭され(笑
以来、トマトジュースが大好物になった

多感な子ども時代に
セイギのミカタから
たくさんの勇気をもらえたことは
本当に幸運だったと思う

沖縄出身の彼女を
敬意とともに懐かしく思い出している