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【読書感想文】ゲーテ『詩と真実』岩波文庫

私はもともと大学・大学院時代、ゲーテを専門としていた。どちらかというと、自然学の研究のほうがメインであったが、もちろん文学作品も好きだった。ただ、膨大な著作があるので、小説作品以外、ほとんど目を通していなかった。この作品、『詩と真実』は、原典には当たらなかったが、翻訳でお目にかかり、当時から大変気になっていた作品である。時を経て再読してみて、やはり、哲学的な重みをもった大作と言えると思った。なので、よく日本の翻訳の解説などにある、自伝的要素をもっぱらとして、ゲーテの恋愛の遍歴を描いた作品として読む読み方には抵抗がある。もっと、哲学的な、文学論的な読み方がなされるべき大著である。その意味で有名なのは、例の「デモーニッシュ」についての説明がなされている部分くらいだろうが、私には、この作品はむしろ、「詩とは真実を描いている」と主張している文学論であり、だからこのタイトルなのだと、思われるのである。もっと詳細な分析が出来たらいいのだが、今の私の力量と熱量では無理があるので、今回はこの辺で終わりにしておくが、またいつか機会があったら、是非ゲーテについての文章を書いていみたい。また夢が出来た。

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