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雇用調整助成金はサービス業などが多い現代では使えない制度である。

新型コロナウィルスの発生により注目を浴びている雇用調整助成金ですが、この助成金は頻繁に改正をしています。そのため制度が理解できないとか申請方法が分からないという相談が多いです。

雇用調整助成金は使えない・・・

雇用調整助成金は使えないのではなくて制度を無理やり今回の新型コロナウィルスで適用させたことに無理があるのです。これからなぜ雇用調整助成金は使えないのかということについてみていきます。

✅雇用調整助成金の歴史

雇用調整助成金は昭和50年にできたかなり古い助成金です。当時は雇用調整給付金と呼ばれていて昭和56年(1981年)に今の名前である「雇用調整助成金」となりました。

雇用調整助成金は特定業種(製造業)だけに絞られていたものでした。平成13年(2001年)の改正により、業種に関係なく利用できるようになった。当時の指定業種について書かれている資料があります。

これを見ると雇用調整助成金は製造業だけに絞られていたことが分かります。

リーマン・ショックが発生したころは、中小企業を対象に雇用調整助成金とは別に「中小企業緊急雇用安定助成金」が設けられたくさんの会社が利用しました。現在は雇用調整助成金に統合されています。

✅雇用調整助成金が使えない理由 その1

雇用調整助成金は元々製造業を想定して作られているものでした。
ここで休業の定義を見てみると・・・

休業

休業とは、労働者がその事業所において、所定労働日に働く意思と能力があるにもかかわらず、労働することができない状態をいいます。
(雇用調整助成金のガイドブックより)

製造業は月曜日から金曜日まで決まった時間帯で働く人が多く、売上が落ちて社員を休業させる場合であっても所定労働日が分かるためどこが働いているところでどこが休業しているところかということがはっきり分かります。

リーマンショックの時は金融危機で多くの製造業がダメージを受けたため雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金)をうまく活用することができました。

今回の新型コロナウィルスで影響がある会社は、製造業だけでなくて直接顧客を相手にする飲食業などのサービス業が売上が激減してしまっています。
サービス業の場合には毎月シフトを組んでいるところもありますが、シフトを柔軟に変えているところあり働いている人がどこが本当の所定労働日であるかどうかが分かりにくいということが上げられます。

シフトを入れていても忙しくないから早めに帰ってもいいよというサービス業もあります。本来ならばシフトが決まっていたらその時間働かなければならないのですが、忙しくないという理由だけで帰らされることは会社命令による早退なので本来ならば早めに帰った時間分は休業手当を払わなければならないことになります。

所定労働日数がほぼ決まってる状態である製造業を想定していた雇用調整助成金を無理やりサービス業に当てはめようとしているのでおかしくなるのは当たり前なのです。

✅雇用調整助成金が使えない理由 その2

雇用調整助成金が使えない理由としては労務管理ができていない会社が多いところが利用しているのが多いということです。

雇用調整助成金を申請するためには、タイムカード、雇用契約書、賃金台帳などの労務管理で必要な書類を提出しなければなりません。しかしサービス業の多くは給与は支給されているものの働いている時間が分かるのでタイムカードをつけていないとか雇用契約書なんて何それといった労務管理があまりできていないところが多く存在します。

本当は労務管理をしっかりしておかないと労務トラブルに発展するところですが、アルバイトなどが多く入社や退社が頻繁にあるのでそこまで手が回らないけど労務トラブルもなくずっと今までやってきたのでそのままの会社が多いのでしょう。

しかし今回の新型コロナウィルスは想定していない出来事であるため会社がこれから雇用調整助成金を申請しようにもタイムカードがない、雇用契約書がない、賃金台帳もないのないない尽くし、さらに雇用調整助成金の制度自体が難しいためお手上げ状態になっています。

✅雇用調整助成金とは別のコロナ助成金を創設すべき

雇用調整助成金は製造業を想定して作られているためサービス業が多い現代では使えない制度です。リーマンショックの時に活躍した助成金だったから国も雇用調整助成金に期待していたのでしょう。

しかしふたを開けてみると一番身近なサービス業がダメージを受けて申請しようとしているのに申請の複雑さからなかなか申請が思うように進まないことが分かりました。そのため頻繁に手を加えてしまい雇用調整助成金と名前があるものの全く別の助成金みたいになってしまっています。

それなら最初から雇用調整助成金とは別のコロナ助成金を創設すべきだったのです。しかし昔に成功したことがあってそれを使ってしまったのが政府としては失敗だったと思います。
助成金とは違いますが持続化給付金のように全く新しい制度をすぐに発表して仕組みも作れたわけなのでできるはずです。

雇用調整助成金が失敗しているので政府は今度はみなし失業を行おうとしています。早く制度を整えて動かないとこれから先たくさん倒産する会社が増えてきます。

一刻も早い対策をお願いしたいものです。

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