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労働基準監督官は、労働基準法や労働安全衛生法などの法令違反ががあるかどうかを調べるために会社への立ち入り調査をする権限(臨検)があります。 臨検の結果、法令違反のおそれがある場合には指導票、法令違反があると判断された場合には是正勧告書が交付されます。

✅是正勧告書

労働関係法令違反があったと認めたとき、その違反事項を是正すべき旨を記して当該会社に対して交付する書類

臨検の際に労働基準監督官が法律に違反していると判断した場合には是正勧告書が交付されます。
是正勧告書には、どの法律に違反したそしてそれをいつまでに是正しなければならないのかという是正期日が記載されています。
したがって会社は指定期日までに指導された違反項目を是正する必要があります。

是正勧告は行政指導であるため法的な拘束力はありません。
事業主の自主的な努力により是正してくれるものと期待しています。そのため事業主が是正勧告に応じなくてもいいと判断した場合には従う必要はありません。
しかし明らかに法律違反しているのにもかかわらず是正しない場合には送検される場合があります。

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✅指導票

法令違反にはならないが、改善した方がよいと思われる事実が発見した場合や法令違反になる可能性がある場合にそれを未然に防止するという意味で交付される書類

✅臨検

臨検は、労働基準監督官の立ち入り調査のことで、労働基準法や労働安全衛生法などの法律に基づき、法令違反の発見をしもし違反していることがあれば是正するように勧告をします。

労働基準監督官が立ち入り調査を行う場合には帳簿及び書類の提出を求める権限や使用者もしくは労働者に対して尋問を行う権限があるため労働基準監督官の命令には従わなければなりません。

臨検にはこのような種類があります。

(1)定期監督
労働基準監督署長が管内の行政方針を策定しその内、重点項目や業種を詳細に定め計画に基づいて行われます。
(2)申告監督
労働者からの内部告発などにより労働基準監督書への申告に対し、調査をします。最近サービス残業問題や解雇の問題によりこの申告監督が増えています。
(3)再監督
過去に是正勧告を受けたが指定期日までに是正報告書が提出されていない場合などに行われます。
(4)災害監督
重大な労働災害を起こしたときに行われます。

ここから是正勧告の内容を書いていきます。

 是正勧告(時間外労働、休日労働の協定 (36協定)をしていなかった)

労働基準法において使用者と労働者の過半数で組織する労働組合又は事業場の労働者の過半数の代表者とが時間外労働、休日労働について協定を書面で締結し、これを行政官庁に届け出た場合には労働者に時間外労働、休日労働をさせることができます(労働基準法第36条)。

この協定は労働基準法36条に書いてあることから36協定(三六協定)と呼ばれています。この36協定を締結をすると労働者に時間外労働、休日労働をさせることができます。

ただし36協定は労働者に時間外労働、休日労働をさせても労働基準法違反にならないという免罰的効果しかないので実際に時間外労働や休日労働をさせるためには就業規則を作成する必要があります。

また36協定は企業単位でなく事業所単位での届出が必要になるため本社の他に支店や営業所がある場合にはそれぞれ届出が必要になります。

労働基準法において使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならないと規定されています。そのため36協定がなく時間外労働、休日労働をさせた場合には労働時間の義務違反となり6ヶ月の懲役又は30万円以下の罰金となります(労働基準法119条)

もし労働基準監督書から36協定の届出を出していないと是正勧告を受けた場合にはそれを改善したということを報告しなければなりません。

 是正勧告(労働条件を明示していなかった)

労働基準法において使用者は労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければなりません(労働基準法15条)

<労働基準法において明示しなければならない事項>
1 就業の場所・従事する業務に関する事項
2 始業・終業の時刻・休憩時間・休日・休暇・交代制に関する事項
3 賃金の決定・計算・支払方法、時期・締切日に関する事項
4 退職、解雇に関する事項
5 労働契約に期間を定めた場合には、労働契約の期間に関する事項
6 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定
7 計算・支払いの方法、退職手当の支払いの時期に関する事項
8 臨時に支払われる賃金、賞与および最低賃金に関する事項
9 労働者に負担させる食費・作業用品その他に関する事項
10 安全・衛生に関する事項
11 教育・研修等の訓練に関する事項
12 災害補償、業務外の疾病扶助に関する事項
13 表彰・制裁に関する事項
14 休職に関する事項
15 昇給に関する事項

このうち1〜5は必ず書面で明示しなければなりません。6〜15は口頭による明示でも構いませんがトラブルの元となるのでできれば書面で残しておいた方が無難です。

違反した場合には労働条件の明示違反として30万円以下の罰金となります(労働基準法120条)

もし労働基準監督書から労働者に労働条件を明示するように是正勧告を受けた場合にはそれを改善したということを報告しなければなりません

 是正勧告(定期健康診断をしていない)

労働安全衛生法において事業者は、労働者に対し厚生労働省令で定めるところにより、医師の健康診断を行わなければなりません(労働安全衛生法66条)

この医師の健康診断は1年以内に1回定期的に行わなければなりません(労働安全衛生法施行規則44条)。

もし違反した場合は定期健康健康診断義務違反として50万円以下の罰金となります。(労働安全衛生法66条)

またこの規定はパートタイマーの人にも適用されるためパートタイマーがいるのにもかかわらず定期健康診断を実施していなければ違反となります。

もし労働基準監督書から定期健康健康診断を受けさせるように是正勧告を受けた場合にはそれを改善したということを報告しなければなりません。

 是正勧告(法定帳簿を作成・保存していない)

労働基準法において使用者は、各事業場ごとに労働者名簿を、各労働者(日日雇い入れられる者を除く)について調製し、労働者の氏名、生年月日、履歴その他厚生労働省令で定める事項を記入しなければなりません(労働基準法107条)。

また使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければなりません(労働基準法108条)。労働者名簿や賃金台帳は人数に関係なく作成しなければなりません。

もし違反した場合には法定帳簿の作成義務違反として30万円以下の罰金となります(労働基準法120条)。

また使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を3年間保存しなければなりません(労働基準法109条)。

もし労働基準監督書から法定帳簿を作成するように是正勧告を受けた場合にはそれを改善したということを報告しなければなりません。

 是正勧告(就業規則の作成・届出をしていなかった)

労働基準法において常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成して所轄労働基準監督署へ届け出る必要があります(労働基準法89条)

違反した場合には就業規則の作成および届出違反として30万円以下の罰金となります(労働基準法120条)。

もし労働基準監督書から就業規則の作成をするように是正勧告を受けた場合にはそれを改善したということを報告しなければなりません。

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