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2人の1年3か月からみつけた、書き続けるための方法 #イベントレポ

本を選ぶときは、編集者の名前で選ぶといいと聞いたことがある。

TOP10%の編集者が、世の中の本の9割をつくっている。そして、複数の出版社から作品を出している著者の本が売れるかどうかは出版社で読めるらしく、それは編集者との相性が大きいから、と言うのが理由らしい。

そんなこともあって、編集者をしている方に関心をもっていたところにタイミングよくお話を聴くことができたのが #noteフェス 2日目のセッション『創作を続けるということ』だった。


登壇したのは、作家の岸田奈美さんと、ポプラ社で編集者をしている高林淳一さん。

岸田さんといえば、書くものすべてがおもしろい!といつもnoteも著書も拝読してる。高林さんは、あの『おしりたんてい』などをご担当されてきたらしい。教室にいつもあったよ。どちらもすごい。

今、お二人は児童書出版にむけて1年3か月ほど一緒に取り組まれているとのこと。

▲お二人の詳しいプロフィールなどはこちらで


話を聴いて、編集者の仕事をはじめて少し垣間見た気がした。

「人との関わりのなかで『こういう書き方をしたら』というところまで考えてくれる存在」と、岸田さんは言っていた。編集者さん、最高だなぁ……

わたしたちnoteのクリエイターに編集者はついていない。けれど、イベントからの学びをうまく生かせば、書き続けられるし、創作し続けられるんじゃないかと思えた。ポイントを3つにまとめてみるので、一緒に生かしていけたらうれしいな。


まずは最後まで書いてみること

日本に住んでいるほとんどの人が小学生時代に通ってきたであろう、ズッコケ三人組。その作者・那須正幹先生の言葉として高林さんが教えてくれたのがこちら。

作家になるには、まず最後まで書いてみること

岸田さんはこの1年ほど、まさにこれを実行していて。

「ニワトリと同じペースで産んでも産んでも、一向に卵が孵らない!」と岸田さんがいうのも納得。3000~4000字の原稿を30稿ほども書いて、提出したのは10稿ほどらしい。当初予定したしめきりを1年過ぎても、まだ本はできていない。

児童書も小説も未経験のなか、とにかく書いて書いて書いてみる。

岸田さんは、他の作家さんに比べて速いペースで書いて、AがA+になるのかとおもいきや全く別物のDを書いてくるとのこと。

ちなみに、「1か月前の自分を自分と思えなくて、書いたものも恥ずかしくなっちゃう」という岸田さんの話、めちゃくちゃ分かる‼と思ったの。

関心事も、頭のなかも、生活のなかでどんどん更新されていく。

noteで(これはまだ出せない…)って下書きにしていた記事けっこうあるけれど、それは本当に「まだ」出せないのか? 時間が経つほど書いたときとも捉え方が変わっていくし、そしたら二度と出せなくなる記事も出てきてしまう。せっかく書いたのにもったいない!

最後まで書くと同時に、すぐ公開するのも大事なぁと話を聴きながら考えました。


とにかく、最後まで書く。そして見せる。

だから人に見てもらえるし、フィードバックももらえる。それが次に生かされるんだなぁ。


書き続けると、自分の「やりやすい」が見つかってくる

なかなかに苦しい時間だったと想像するけれど、この書き続けた期間に岸田さんが見つけたものは、

・縦書きだと、書くのに時間が倍くらいかかる
・児童書は、出来事のおもしろさより、共感できる感情が夢中にさせる
・「わたしが小学1年生のとき…」って形のエッセイだと書きやすい
・慣れている横書き、noteのエディターだとスラスラかける

などなど。

これって、苦しみながらもたくさん書いてきたからこそ体感して理解できるものなんだなぁと感じました。


たとえば文の向き一つとったって、wordだったらクリックすれば簡単に縦横入れ替えられる。向きの違いでたしかに印象は変わるけれど、書く速さや、表現にまで違いが出るとは思わなかった。

小説なんだから、縦書きでしょ!って思っても、ご自身で試したからこそ体感できたことなんだろうな。


また、書いたものを人に見せるから、「こんな風に書いてみたら?」とフィードバックももらえること。人に見てもらった方が分かることって、思っている以上にたくさんあるんだよな。

エッセイをあれだけ読まれている岸田さんも、児童書を書くことをお題にされたら、自分の得意が全部使えなくなったと話していた。

「『わたしが小学一年生のとき、』みたいにエッセイ形式で書いてみたら?」ってアドバイスをもらえたのも、たくさん書いて、公開してきたからこそ。

自分で見つけられるものと、人に見つけてもらえるものが出てきそう。

「こういう方法もありますよ」とはあえて言わず、それも含めて書きやすい方法を自分で生み出してもらおうと思った


「それおもしろいですね」を教えてもらう

雑談していて、「それおもしろいですね」と言ってもらえるのが一番うれしいという岸田さん。

先に書いたこととも重なるけれど、自分のどこに興味をもってもらえるかなんて、自分自身には分からない。

イベントのなかでは、岸田さんが「小説を書いていないのにオファーしてくれたのはなぜ?」という質問をしていて。

・ものの見方・捉え方が人と違う
・人の描き方が魅力的だった

などから、児童書をつくることになったそう。


同じように道を歩いていて、同じように何か起こっていたかもしれないけれど、岸田さんから見えていた景色で切り取るとnoteで10万人以上の人に見てもらえるかもしれない。けれど、同じように隣を歩いていた人は、それをなんともないと思ってスルーして誰に話すこともなく終わったりする。
その視点をもっているだけで、編集者としては注目してしまう。


文体や文章の書き方もふくむけれども、それ以上に自分から見えている景色のどこが人と違うかなんて、本当に分からないもので。

わたし自身、学校に勤めていた頃は言えなかった教員の本音を書いた記事はたくさん読んでもらえる傾向がある。(こんなこと思うなんて、だめ教員だな)ってネガティブに思ってきた部分も、昔生徒だったみなさんにとっては意外な裏話みたいに受け取ってもらえるのかなぁと。たしかに、こんなこと言う教員いないもんね。

そんなことも思い出しつつ、とにかくたくさん書いて伝えてみて、「ここがおもしろいです」って言われるところは教えてもらって「集めていくのがいいんだろうな。



書き続けていくには、自分のなかに編集者を育てること

イベントを通して、書き続けていくのに必要なのは、創作する自分のほかに、編集者としての自分も育てることだと感じた。

「まずは最後まで書いてみよう」といってあげる自分。

「この書き方だと、いつもより良くかけるんじゃない?」と気づかせてあげる自分。

「ここおもしろい!っていってもらったから、その部分を活かしてみよう」と引っ張っていく自分。

書けないときには、あせって〆切を提示するだけじゃなくて、おもしろかった映画・小説・好きなアイドルなど、呼び水にして書けるものを紹介して、信じて待つ自分。


私は私のことを信じてないけど、高林さんが信じてくれた私を信じようと思ったんです


岸田さんと高林さんの関係性のように、創り手の自分とは別に編集者の自分がいると、長く創り続けていくことができるはず。



他にも素敵なお話たくさんだったので、ぜひアーカイブ動画見てみてくださいねー▼



このイベント参加した方のレポートはこちらにまとまっているので合わせてどうぞ。


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