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失敗を恐れない、そのスタンスがあなたの人生を左右する。

「失敗を認める器量、ありますか??」

と、聞かれたときにあなたならなんと答えるだろう。

自信を持って“Yes”と言える人は多くないだろう。

 なぜなら、人間はそもそも失敗を認めない生き物だからだ。

 今日は、そんなお話をマシュー・サイド氏著の

『失敗の科学-失敗から学習する組織、学習できない組織』


に基づきお話させていただきたい。

 

■衝撃的な事実

 

1999年、米国医学研究所は、アメリカで毎年4.4万人から9.8万人が回避可能な医療過誤によって死亡したと調査結果を発表した。

2013年、『患者安全ジャーナル』に掲載された論文では回避可能な医療過誤による死亡者数は年間40万人以上にのぼると算出された。

2003年、サミュエル・R・グロス教授の研究では仮に冤罪を晴らす活動が行われていれば、死刑囚以外で無実が証明される件数は15年間で2万8500件にのぼると発表した。しかし、現実は255件しかない。

2009年、コロンビア大学の研究にて、全米で1973年から1995年までに下された死刑判決の3件に2件が憲法上の過誤を犯したとして判決を覆されている。
 

マシュー・サイド著『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』

 

衝撃的な事実である。

冤罪や医療過誤、人の命と人生が関わる現場でこれだけの人為的判断ミス、過ちが起きている。

いやいや、私は医療関係でも司法関係の人間でもありませんから。

と、あなたは思うかもしれない。

 
でも、この衝撃的な事実は本当に他人事だろうか。

 

仕事でミスをして上司に問い詰められた時。
新年の誓いが、1カ月後に何の進捗もなかった時。
手の込んだNOTEを書き上げたものの、思うようにビュー数が伸びない時。

失敗を分析し、レビューし、次の糧に活かすことができているだろうか。

それとも、過去の医療、司法業界のように自己正当化に走っているだろうか。

失敗に対する姿勢。

それが、あなたの人生を変える大きな分岐点になる。

 

 ■認知的不協和、という名の自己正当化システム。

 

では、なぜそもそも人間は自分の過ちを認めたがらないのか。

それは。“認知的不協和”という全人類に備えられた感情が導く自己正当化システムだ。

“認知気的不協和とは、自分の信念と事実とが矛盾している状態。あるいはその矛盾によって生じる不快感やストレス状態を指す。”

マシュー・サイド著『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』

 

 認知的不協和に陥った際に人は2つのパターンを選択することができる。

①自分の誤りを認める。

②解決策の否定、事実を受け入れず自分の都合の良い解釈を付ける。 

そして、往々にて我々人類は②を選択する。失敗を認めるのが怖いからだ。


本書で紹介されている実験がある。

“心理学者チャールズ・ロードは、死刑賛成派と反対派のグループそれぞれに2つの研究報告書を読ませた。どちらの報告書もファクト、データに基づく見事な報告書。但し、一つは死刑制度を支持するデータを集めたもので、もう一方は死刑制度反対の意見を裏付けるものだった。”

マシュー・サイド著『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』

結果は、どうなったか。


お互いが、お互いの立場や意見を尊重し合い、認めて歩みよった。

 

いいや、、、

  

両者の対立は更に深まった。

 

それが、この実験の答えだ。 

人間は、認知的不協和を感じる時、より一層自分の意見や信念に固執する。

相反する事実を曲解して解釈し激しく批判することで、更に自己を正当化していく。

アメリカがイラク戦争に踏み切った時に、フセイン大統領をスケープゴートとして追及した。

昨年7月にGotoキャンペーンを批判した人は、3カ月前に政府の経済対策に対する無策を批判した。

そして、今日年始の宣言を守れなかった自分自身に僕たちはこう言う。

「昨日ちょっと飲みすぎちゃったからな、明日からはやるから大丈夫」と。

 

僕らは、認知的不協和が起きた時に意図もたやすく自分を正当化する。

仮想スケープゴートを定め相手を批判し、簡単に手のひらを返し、そして自分に言い分けをする。


悲しいかな、人間とはそいういう生き物なのだ。

 

■敢えて、失敗しろ。

 

では、認知気的不協和に対して、僕たちは何も成す術がないのか。

いや、そんなことはない。

 

大事なことは、敢えて失敗することだ。

こんな例が紹介されている。

“例えば、「2,4,6」という3つの数字を見たら、どんなルールで並んでいると思うだろう?「2,4,6と同じルールで並んでいると思う3つの数字を好きなだけ答えて、正解を見つけ出してください。」と言われたら、あなたはどうするだろうか?”

マシュー・サイド著『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』

偶数の順に昇順で並んでいる、偶数が並んでいる、3番目の数字は前の2つの数字の和。

と、答えることができるかもしれない。

 そこで、僕らはこう回答する。

「10,12,14」、「52,54,56」

この3つの数列が正しいとされた時、あなたはどう感じるか。偶数の順で昇順に並んでいると確信するだろう。

 そこで、あなたはこう答える。

「偶数の順に昇順で並んでいる数列」

 

正解は、否だ。

あなたは混乱する。
次になんと回答する、どんな数列で検討してみる??


この時に大事なのは、自分の仮説が間違っているか否かを検証することだ。

無限にあなたの仮説に沿う数列で確認するのではなくて、あなたの仮説に合わない数列を応えて、それがルールに沿うかを検証する。つまり、

 

「8、11、14」、奇数を入れて検証する。これは、正解だ。

「14、12、10」降順にして検証する。これは、不正解だ。

自分の仮説に反証する数列のルールを当てはめることで、「昇順に並んだ数字」というシンプルな正解にぐっと近づける。


失敗することで、真理に近づくことが多々ある。

進んで失敗する意思がない限り、このルールを見つけ出す可能性はまずない。必要なのは、自分の仮説に反する数列で検証することだ。しかしほとんどの人は間違った仮説から抜け出せない。…(中略)失敗することは、正解を導き出すのに一番手っ取り速い方法というばかりでなく、今回のように唯一の方法であることも珍しくない。

マシュー・サイド著『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』


僕らに必要なのは、自分はもしかしたら間違っているかもしれないと、

自分を批判できる勇気。

そして、いざ自分が間違っていた、誤っていた時に、

自分の失敗と過ちを受け止めることができる謙虚さだ。
 

なぜ、赤ちゃんの成長速度があれほどまでに早いのか。

生まれてから1年で歩き始め、すぐに言葉も話し始める。

それは、何度も失敗し、それを誰もが応援するからだ。

赤ちゃんが、パパとママを間違えて叱る親がいるだろうか、赤ちゃんには失敗に対する恐怖心がない。 

だから、成長する。

 

人はいつだって、誰だって成長できる。

僕も、それを信じてやまない。 

ただ、それは僕たちが自ら積極的に失敗を試み、
それを謙虚に受け止める姿勢がある時に限られる。

僕自身にも、読者の皆さんにも伝えたい。

 

敢えて、失敗しろ。

 

■まとめ

 

本日は、マシュー・サイド氏著『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』より、

なぜ、人は失敗を認めないのか。

それが、どのような社会的不幸と損失を生んでいるのかを説明してきました。

医療過誤、冤罪は決して対岸の火事ではなく、誰しもが抱く認知的不協和がもたらす悲劇です。

人は、生来そういった特徴を兼ね備えており、“過ちを認めない生き物”です。

それは、僕たち誰しもが経験しています。


ただし、それでは僕たちは自分自身、そして誰かを成長させることはできません。


大切なことは、“敢えて失敗する”こと。


自分が間違っていることを批判的に検証する勇気と、

自分の過ちを受け入れる器量が問われています。

 

もし、あななたが人として、より良い人になりたい。
そして、より良い人生を送りたい。

 

そう思うのであれば、本書は一読の価値があります。

“自分の考えが行動が間違っていると指摘されるほどありがたいものはない。そのおかげで、間違いが大きければ大きいほど、大きな進歩を遂げられるのだから。批判を歓迎し、それに対して行動を起こす者は、友情よりもそうした指摘を尊ぶといっていい。己の地位に固執して批判を拒絶するものには成長は訪れない。”

マシュー・サイド著『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』

 

 もう一度、問います。
「失敗を認める器量、ありますか??」

 自信を持って、

Yes。

と言える人間になりましょう。

本日も拝読ありがとうございます。

P.S本書はどうやらkindleアンリミテッドで無料みたいですね!本当に内容は充実してますので、是非ご一読を!!では、また平日の水曜ごろ!!



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