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私は、本当に本が作りたいのか?と自問自答した日

ここのところ、若干更新が滞っております。やる気に満ち満ちてnoteを始めたはずなのに、更新できていないことを、自分に対してシンプルに謝罪したい。

「ごめんね!」

ご無沙汰の理由はプライベートが多忙だったことが一番なのですが、ある日、本屋でふと「あれ? 私って本が作りたかったんだっけ?」と疑問を覚えてしまったことにも起因していたりして。

その日、久々に有給休暇を取った私は(弊社の有休消化率は大変低いです)、私用の合間に本屋を訪ねたわけです。編集者になりたての頃は、肩で風吹かす系上司に「編集者たるもの、本屋は常に張ってないと!」と事あるごとにレクチャーされたのですが。


でも、ぶっちゃけ、本屋に並んでからじゃ遅いんだよな……


おっと、心の声が漏れてしまってすみません。お漏らしついでに、もう一つ漏らしますと「編プロには本屋云々なんて関係ねぇ」なわけです。今回は、そういう内部事情などにまつわる、私の心の葛藤をテーマにさせていただきたいと思います。



同じテーマ、似たタイトルが並ぶ売り場


書店のレジ付近で平積みになっている、いわゆる「今、一番売りたい本を並べちゃいました!」コーナーを見まして、大袈裟かもしれませんが誤解を恐れずに表現しますと、私は「出版業界の闇を見た」気がしました。


「なんでこんなに同じような本が並んでいるの?」


その一言に尽きました。

ヒットした前作と似たような内容を次に書くことも、著者の価値が結局は落ちると言いますか、内容がどんどん薄くなるので、あまり良くないと個人的に思うのですが、他の著者に依頼するのはさらにどうかと。

1つ何か出版界がざわつくようなヒットが生まれたら、もー、それこそ雨後の筍のように、ニョキニョキニョキニョキ、同じ本が、まー、出ること出ること! 恥ずかしくないのか、と聞いたところで「はい」としか返事がないことは、編プロにおりますので百も承知です。

なぜなら、新規オファーは


「○○出版さんのこの本みたいな本、作れません?」


って内容ばっかりですからね! 今現在売れている本の、二匹目のドジョウしか狙っていないわけです。クリエイティブ業界だと言うのに、なんとクレイジーな注文か。

それだけ、出版業界が冒険する体力(主に金銭面で)を持っていないこと。時間をかけて本を作れないこと。「毎月○冊出す!」的な、意味不明なノルマを持っていること。

上記を踏まえて、編プロという存在は版元の残飯企画(ニュアンスとして、残飯という言葉がしっくりきた)の良き処理班なのです。

そこで、ふと。


「あれ? 私って何者だっけ?」


と立ち止まってしまい、「どうして本を作りたいと思っていたのか」が、一瞬でわからなくなったのです。トホー。



「本」は誰のためのもの?


私は副業として小説を書いておりますので、「実は私は、作家になりたいんじゃないだろうか?」と、その売り場を見てしばらく固まってしまいました。


何のために、本を作るんだろう?

誰のために、本を作るんだろう?

本は一体、誰のためにあるんだろう?


「本が好きだから」。「文章を書くのが好きだから」。たったそれだけの理由で、アラサーにも関わらず一念発起して上京した私のアイデンティティーが、大きくグラついたわけです。

「ただ文章を書くことが好きなだけなら、編集者じゃなくて作家か著者で良くない?」と、全然魅力的じゃないその売り場を見つめて、自問自答したわけです。

漫画家さんや作家さんの「商業か同人か」という問いに似ているかもしれません。「商業はやっぱり売れるものを描かないといけないので、本当に描きたいものは、同人でやる」という方は多いですものね。

でも……。


そもそも「売れる」って誰が判断するの?

本当に「その判断」は正しいの?

どうしてそこまで自信があるの?


とも思うわけです。私は根がかなりのロマンチストなので、「本当にその人が心から”良い”と思ったものは、結果が伴う」と考えるタイプです。ですので「良い悪いはどうでも良いから、売れるものを作れ」と言われると、


\燃えろ、燃えろ〜い/


……という心境になるのです。

私1人の力で、現状の出版業界をどうこうできるか否かという問いは、考える価値すらないでしょう。でも、だからと言って、ウェブ・電子へは行きたくない(※ウェブ・電子のお仕事を否定しているわけではありません)。

やっぱり、本は紙であってほしい。

そして、読者のための本であってほしい。

そこにどのような立場で関わっていくべきか。その答えはまだまだ摸索中ですが、あの日、有給を取って本屋に立ち寄ったからこそ、自分の働き方の原点を今一度確認する……と言いますか、見つめ直す自問自答の瞬間を持てて、かなり悩んだし落ち込んだけれども(今もまだだいぶ引きずっている)結果的には良かったのかな、と思います。

こうしてnoteの記事も書けたしね!

そんなこんなで、少々更新速度は落ちますが、引き続き、お付き合いのほどをよろしくお願いいたします!


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