「働きたくない」から、うまくいく。
「働きたくない」
っていう自分の気持ちを認めるのって、けっこう勇気がいりますよね。
もし誰かに、そんなことを言ったら、どんな反論が来るのか容易に想像がつく。
「どうやって暮らしていくつもり?」
「そんな甘いこと言っていたら生きていけないよ」
「ごちゃごちゃ言うな。黙って働け」
良識ある大人にとって、それを言うのはタブーな感じさえある。
思ってはいてもなかなか口にはできない。
だから、
「働くってそういうもんでしょ」
「世の中そんなに甘くないよ」
「働くって大変なんだよ」
「みんな頑張ってんだから」
そんな風に、自分にもそんな風に言い聞かせて、気持ちに蓋をして働き続ける。
実際、僕はそうでした。
それで体調を崩したこともある。
そして、今だってそういうところがある。
そんなわけで、今日は「働きたくない」についてもう一回考えてみたいと思います。
いきなり堅苦しくて申し訳ないのですが、日本国憲法には働くことについてこう書かれている。
すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
(日本国憲法第二十七条一項)
権利で義務? どっちやねん!
しかも、勤労は教育と納税と並んで三大義務と言われて、小学校でも教えられるらしい。
結局、義務なんかい!
ちなみに、勤労の義務を憲法で謳っているのは、日本以外だと、中国と韓国あたり(あとは北朝鮮とかつてのソ連)らしく、世界的にも少数派。
日本、中国、韓国と聞くと、我慢を美徳とする国が多い印象というのは僕の先入観かもしれないが、
「苦しくても、一生懸命働くことは素晴らしいことだ」
有無を言わせぬそんな空気がなかなかに息苦しい。
でもちょっと視点を変えてみたい。
「働きたくない」という素直な気持ち、つまりは「働きたくない」の裏側に潜む自分の働き方に対する、「めんどくさい」とか「ラクしたい」って気持ちは、実は結構大事なんじゃないだろうか。
太古の昔。僕らの祖先は山に分け入り、獣を取って暮らしてました。
でもそれって、不安定だし、大変だよねって話で、んじゃ代わりに稲作やろっかとか。
昔はなんでも手作業でモノを作っていたんだろうけど、それってめんどくさいよねって話で、機械が生まれたとか。
毎回遠くまで直接に会いに行くのは大変だから、郵便が生まれ、さらに電話が生まれ、さらにはスマホになったとか。
人間が自分の頭で計算すんの大変だからラクしたいよねって話で、計算機が生まれたとか、それがコンピューターになったとか。
さらには、いや僕たちもう働きたくないよねって話で、AIが生まれたりとか。
もちろん、実際はここまで単純ではないけれど、そういう人間の「働きたくない」「めんどくさい」「ラクしたい」っていう気持ちがいっぱい重なった結果、科学や技術の発展というものは起こったという側面もあるんじゃなかろうかと。
そう考えると「働きたくない」という気持ちも捨てたもんじゃないという気がしません?
大好きなバンド、ブルーハーツのTRAIN-TRAINという曲に
弱い者達が夕暮れ さらに弱い者をたたく
その音が響きわたれば ブルースは加速していく
(THE BLUE HEARTS / TRAIN-TRAIN)
という歌詞があるんです。
それと同じで、働く現場にも「俺も苦しいんだから、お前だけラクするな」「私はがんばってるんだから、あなたもがんばれ」的な同調圧力や働いていて、それがとても苦しいなとときどき思ったりします。
苦しいのがみんな一緒なら、みんなで一緒に我慢しなくてよくない?
それよりも、弱ってる誰かが「働きたくないんだよね~」って言ってたら、「僕も!」「わたしも!」って賛同するようなゆるさが、職場の環境改善とか、技術の進歩を生んだりするのではと思ったり。
イノベーションというとちょっとカッコよすぎるけど、
「必要は発明の母」
そういうことではないかと。
そして、何より、過去の経験を振り返ってみると、僕にとっては「働きたくない」気持ちを自分で受け入れてみることが、もやもやとしながら働き続けようとしてしまう自分を解放するための第一歩だった気がしています。
だって、働きたくないんだもん。
そういう自分の素直な気持ちを受け入れて、なぜなのかを考えてみる。
それが、何か自分なりに働き方を変えたり、次の職場を探したりといった次ステップにもつながっていたような気がします。
無理に働き続けて、体を壊したら元も子もありませんしね。
(ちなみに、これを気づかせてくれたのは妻です。前回もこのフレーズが使った気が。。 笑)
もちろん、そんなに簡単には気持ちを切り変えられないときもあるのです。いやむしろ、そういうことのほうが多いかもしれません。
でも、「働きたくない」を感じたら、きっと何かを変える、変えられるタイミングなのかもなと、ちょっとだけ視点を変えると、見えてくるものがあるように思いました。
というわけで今回は「働きたくない」から、うまくいくという話でした。
※イラストを使わせていただいたどーどーさんありがとうございます。
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