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ビール業界に蔓延する“打ち抜く”とは?
ビール業界で使われる“うちぬく”という言葉。
樽生のビールが売り切れた際に使われます。
例えば「志賀高原ビールのHouse I.P.Aがうちぬかれた〜」
「昨日はうちぬきがたくさんあったので、新規開栓多数!」
みたいな使い方をします。
クラフトビール屋黎明期、タップ数は多くないわけですから、
色んな種類のビールが飲めるというのは贅沢な環境でした。
「次に待機してるビールも飲みたい」という思いと、
在庫残り少ないビールをみんなで協力して飲めば、
新しいビールが飲めるんだという一体感が相俟って
複数のお客様が同じビールを同時に注文して、
それを売り切れにする様は、まさに“狙い撃ち”でした。
その“うちぬく”に
「打ち抜く」という漢字をあててるのをよく見掛けますが、
これは“うちぬく”以外には“ぶちぬく”と読み、
厚いものを貫き通すという意味なので、
まったくこの一連の行動としては言葉の意味を為しません。
今ある樽生ビールの在庫を狙い撃ちで空っぽにして、
新しいビールを飲みたいから、
それを達成したことを“撃ち抜いた”と表現します。
それゆえ、“撃ち抜き”という言葉は
新しい在庫を開栓するところまでを含んでいるでしょう。
つまり、“打ち抜き”は誤用と考えています。
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