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頂き女子に騙されないために、私たちはどう生きるか?

授業やホームルームで、
高校生に対して
少々きわどい話をすることがある。

高校3年生の
18歳にもなれば、
もう成人で、
責任の所在は自分にあるのだから、
世の中が、グレーゾーンであること
確かに、悪いヤツが実在すること、
キレイごとばかりでは搾取されてしまうことを
知っておいた方がいい。

そんな思いから、ときどき
時事的なニュースや
自分の体験談をおりまぜて、
教訓めいたことを話す。

今回のコラムはそんな趣旨で書いてみる。


大学生くらいのころ、
デート商法の詐欺を仕掛けられたことがある。

自宅で本を読んでいたら
母親がニヤニヤしながら部屋に入ってきて
「あなた、女の子から電話よ」
と(なぜか嬉しそうに)受話器を渡してきた。

まったく身に覚えのない僕は、
「・・・もしもし?」
と話しかける。

そしたら、
「トップス(Tops)」のチョコレートケーキよりも
甘ったるい声で

泰く~ん!おぼえてる??
わたし、アヤといいます~!!
〇〇小学校で同級生だったんだよ

と話しかけてきたのである。

その瞬間、
詐欺だな、とわかった。

アヤなんて、まったく見たことも聞いたこともない。
おそらく小学校の卒業アルバムの住所録から
片っ端に電話してきているのだろう。
自分が卒業した小学校は
学年で2クラスしかないから、
男子も女子も、どの子がいたかくらいわかっている。
アヤはいない。

でも、そういうとき
悪ノリするところが自分にはあって、
直感的に、この会話の流れが今後どうなっていくのか?
興味が湧いてきた。
なので、

アヤさん?
あまり覚えてないんだけど、
〇〇小学校にいましたっけ?
今は何をしているんですか?
大学生やっているの?

と、
会話のキャッチボールすることを決めた。

まあ、そのアヤちゃんはよくしゃべる、しゃべった。
会話の詳細な流れは全く覚えていないが、

泰くんって素敵な声だよね~
やさしそう~
きっと女の子にとって頼りがいのある存在だよ~

そんな言葉をかけられたことは覚えている。
ウソだとわかっているのに、
嬉しかった(苦笑)

1時間はしゃべったと思う。
会話の最後に、

ねえねえ、この後、もしよかったら会ってご飯たべない?
横浜そごうで待ち合わせしようよ

などと声をかけられた。

自分は、

わかったよ

と答えて電話を切った。
聞き耳を立てていた母親は終始にやけ顔だ。


もちろん、
横浜そごうに行く気は微塵もなく、
僕は再び部屋で読みかけの本を読み始めた。


横浜そごうに行ったら、どうなっていただろう?
実はアヤちゃんは本当に〇〇小学校の同級生で、
自分と会いたかったのだろうか?
残念ながら、その可能性は0%だ。
だって、卒アルで確認したら、
やっぱりアヤという女の子はいなかったから。

待ち合わせ場所には、アヤちゃんがいて、
その後、デートがはじまるのかもしれない。
デートするうち、いろいろものを買わされるのかな?
あるいは、待ち合わせ場所には
怖いお兄さんが自分を囲む準備をしていたのかもしれない。
想像すると楽しい。

おもしろいのは
数日後、再びアヤちゃんから自宅に電話があって、
そのときは僕が不在だったので
母親が受けたのだけど、

かなりプリプリで怒っていたらしく、

泰さんが、そんな人だとは思わなかった!!

という捨て台詞を吐いていたらしい。
なかなかの名言(迷言?)だと思った。


・・・

そんな話をすると
高校生は大いに喜んでくれる。

ちなみに、
もっとおもしろいのは
僕の妻で、
こちらは詐欺の格好のカモだ。

あるとき、

ご主人がネットで多くの動画を視聴していまして、
その請求額が30万あります。
つきましては、振り込んでいただきたい。

という趣旨の電話がかかってきたそうだ。

僕があやしい動画を見ていたであろうことを
微塵も疑わず、
詐欺師の主張を100%信じ、
気の動転した妻は、
詐欺師から、振り込みの手続きの詳細を説明され、
丁寧にメモしていた。
すると、たまたま電波障害で通話が途切れたらしい。
そのときは、わざわざ妻の方から
着信先に折り返しの電話を入れるほど信じ切っている始末!

電話を切り、
いざ振り込むにあたり、
妻は、僕に確認の電話を入れたのが
幸いした。

即座に
「それ詐欺だよ・・」
と言って、
事は終了したのだけど、
危ないところではあった。

この話も高校生は喜んで聞いてくれる。


こんな記事を書こうと思ったきっかけは、
週末のワイドショーで、

頂き女子りりちゃん

の特集を見たから。

彼女は、中年男性からお金を「頂く」ための
詳細なマニュアルを、このnoteで販売していたらしい。

ワイドショーを見てたら、

頂き女子りりちゃんが、
「お金をくれる男性たちの特徴」として、

何だろうな~
言語化するの難しいけど
自分さえよければいいと思っている人ではなく
こっちの気持ちを気遣ってくれる人
一方的に話さないとか
相手の気持ちを考えて
汲み取ろうとしている人

と説明していたのが、
すごくおもしろかった。

いい人は「都合のいい人」になりやすい。
くわばらくわばら、である。

感情をもてあそばれて、
お金や時間
あまつさえ
自己肯定感を奪われてしまう悲しみはいかほどだろう?
(スケベな中年男性に限らない。ホストに貢ぐ若い女性も近年多い)

感情をもてあそばれないための予防策として
推奨したいのは、

普段から
自分の感情を自分で楽しむことである。

喜びも悲しみも、
幸福感も全能感も、
屈辱も嫉妬も、
劣等感も、
挫折や痛みも、
ぜーんぶ、

自分が感じているものを
否定せず、
ごまかさず、
受け入れたほうが健全だ。

感情を抑圧しすぎて、
自分で自分をごまかすと、
「頂き女子」みたいな
わけのわからない存在を引き寄せてしまう。

そんな気づきのコラムでした。

最後までお読みいただきありがとうございます。
これを読んでくださったあなたの
少しでもお役に立てたらうれしいです。

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