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自己肯定感が低くても「返報性の原理」に負けない方法

たったひとつのありがとうで、何年もお返しをしてしまうことがある。

義理がたいとか、やさしいとかではなく。

そりゃ、なんにも考えてないわけじゃないけど。


返報性の原理とは


返報性の原理は、「人に親切にされるとお返しをしたくなる」という心理学の法則のこと。

1971年に心理学博士のデニス・リーガン氏が発表した論文(※)が有名だ。

(※)Effects of a Favor and Liking on Compliance

心理学やマーケティングの本を2~3冊読めば必ず出てくる基本中の基本だが、わたしはちょっとニガテ。

ちょっと「返報性の原理」が効きすぎてしまうのだ。

返報性の原理が効きすぎる


カナダで暮らしていた時、レンタカーで北アメリカをぐるっと1周した。

期間は1か月半。

メンバーは語学学校で出会った、韓国人と日本人の男女7人。

男女7人が集まれば、『あいのり』が始まるのは言うまでもない。

『あいのり』って古いかな? 

ピンクのワゴン車で新たな真実の愛を探す旅。恋愛バラエティの『あいのり』のこと。

振り返ってみたら、なんと2組のカップルができていた。

レンタカーの密室効果はやっぱりすごい。

***

大自然の中、荒々しくうねる急流をくだるラフティング。

大きなボートが巨大な波しぶきとともにひっくり返り、わたしはおぼれた。

遠くにわたしの名前を呼ぶ声がして、気がついたら彼だった。

彼はわたしをこの旅に誘ってくれた人。

わたしのことが好きだと言ってくれた人。

わたしはぜんぜん好きではなかった。

彼は泳げないのに、わたしを助けようと水の中に飛び込んだらしい。

結局、ライフセーバーのお兄さんに一緒に助けられ、彼は苦笑いしていた。

わたしはなぜか、泣いていた。

心の中はぐちゃぐちゃだった。

当時は「返報性の原理」なんて知らなかったけど、わたしは彼と付き合うことになった。

ここから7年も一緒にいることになるなんて。

今思うと、返報性の原理が効きすぎた。

返報性の原理に負けない方法


時にわたしたちは、「ありがとう」を大きく見積りすぎてしまう。

わたしの場合、2パターンとも心当たりがあった。

➀自分または自分の行動の価値を低く見積もっている
(わたしなんかのために)
➁相手または相手の行動の価値を高く見積もっている
(泳げないのに)

自己肯定感が低いと自分の価値を低くみつもりすぎてしまう。

返報性の原理に負けないコツは

「自分は他人から特別待遇を受けて当然の人間である」

と思うことだ。

自己愛が強い人は、返報性の原理に負けない。

また、共感性が高いと相手の行動の価値を高く見積もりすぎてしまう。

返報性の原理に負けないコツは

「相手の気持ちなんて知ったこっちゃない」

と思うことだ。

共感しない人は、返報性の原理に負けない。

***

でも、正直に言うと、一緒にいた7年間ずっと「感謝」だけだったわけじゃない。

感謝から愛へ、そして愛から感謝へ。

結局、ぐるっと1周した。

そしてわたしは、元の場所に戻った。

***

愛と感謝はとてもよく似ている。

でも、明確な違いがちゃんとある。

感謝=貢献したい理由がある
愛=貢献したい理由がない

理由が少しずつなくなって、そしてなくなったと思ったら増えてきた。

そのまま暮らしていたらまた理由はなくなっていくかもしれない。

予想はできた。

でも、それを待つ余裕がなかった。

返報性の原理に負けるのも悪くない。

でも、時間は有限。自分を大事に生きたい。

***

やっぱりあなたのこと、好きでした。

「ありがとう」にごまかされていたけど、それでもちゃんと。


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