投資信託「S&P500トップ10」がモテる理由
投資信託には、「モテる投資信託」と「モテない投資信託」がある。
そして、モテる投資信託の中にも「結婚相手としてモテる投資信託」と「浮気相手としてモテる投資信託」が実は、ある。
2024年5月16日から運用が開始される、話題の投資信託「S&P500トップ10インデックス(米国株式)(以下、S&P500トップ10)」は、とにかくモテる。
それも、最近よく見る「沼男子」的なポジションにいるように見える。
今回は、その理由を考察してみたい。
S&P500トップ10インデックス(米国株式)とは?
2024年5月1日、S&P500トップ10の運用開始が、運用会社の日興アセットマネジメント株式会社より発表された。
ぱっとみの印象は、「なんかライバル多そう」だった。
だって、FANG+っぽくないか?それに、2244もいるぞ。
でも、ワイルドすぎるFANG+に警戒して、2244に手を出しているビビりコミュ障女子の場合、このマイルドさに変な安心感を持ってしまう。そう、わたしみたいに。
SNSでは「このバランス、もう最強なのでは?」とささやかれることも多く、華やかな滑り出しだ。
その理由を紐解くと、個性的な2つの特徴にあるとわかる。
S&P500トップ10は、ハマったら危険な「沼男子」的なポジションにいる。含まれる銘柄はたった10銘柄なのに、尖りすぎてない。
そして、とにかく安く、「人なつっこい」。恋愛関係にならずともOKな懐の大きさも垣間見えるので、ビビりコミュ障女子でも話しかけやすい。
S&P500トップ10がモテるポイント
S&P500トップ10は、時価総額加重平均型の投資信託だ。
時価総額加重平均とは、組入銘柄の時価総額を考慮して、時価総額が大きい銘柄を多く組み入れるスタイルのことを言う。
一方、組み込み銘柄で均等配分したFANG+などの金融商品は、時価総額の違いは無視してほぼ同じ割合で銘柄が組み込まれる。
組み込み銘柄を比較すると、以下のとおり。同じ10銘柄へ投資する投資信託にもかかわらず、組み入れ割合が全く違うのがおもしろい。
新しい投資信託が出てくると、「他と差別化できているかどうか」が人気の分かれ目になることが多いが、時価総額加重平均型かつ銘柄数が少ない投資信託はなかなかないので、その点は心配なさそうだ。
さらに、信託報酬が年0.1%に抑えられている。競合となる金融商品が、年率0.4%以上であることを見ると、かなり安い。
この親しみやすさが、さらにモテるポイントなのだ。
S&P500トップ10のライバル(競合)は誰なのか?
S&P500トップ10は、モテる。
でも、運命を共にするコア銘柄(=結婚相手)としては、残念ながら選ばれにくい。その理由は単純で、やっぱり分散投資ができない(=10銘柄しかない)からだ。
S&P500連動型の投資信託をすべて解約して、S&P500トップ10に買い替えるチャレンジャーはそんなに多くないだろう。
リスク(標準偏差)とリターン(年率リターン:1年)で表にプロットしてみたら、S&P500トップ10のライバルは、NASDAQ100であることがわかった。
ライバルだと思われたFANG+や2244は、実は本当の意味でライバルではない。これらはザ・サテライト銘柄で、S&P500トップ10とはちょっと違う。
わたしも短期投資のつもりで2244を少し持ってはいるけれど、ポートフォリオ全体の数%に満たないし、長期で持ち続けるつもりはない。
一方、ナスダック100は、ザ・サテライト銘柄ではない。人によってはこれをサテライト銘柄にしておくにはもったいないと感じ、コア銘柄の一部に据えている。
本気と浮気の境界線にいて、ある意味、いちばんモテるポジションだ。
S&P500トップ10が結婚相手に選ばれない理由
あくまで個人的な意見だが、S&P500トップ10はコア銘柄として長期投資銘柄のメインに据えるには、ちょっとリスクが高いと思う。
ただし、結婚相手としてコア銘柄を別に置き、こっそり浮気銘柄として、長期投資前提で持っておくのにはちょうどいい。
実は…わたしはS&P500をコアに銘柄にしつつ、ナスダック100もかなり多めにポートフォリオに組み込んでいる。
大事なナスダック100がいるので、今更S&P500トップ10に浮気はしないが、もし今S&P500しか持っていなかったとしたら、浮気してしまう可能性は大。そんな風にS&P500トップ10の様子を見ている投資家は、実は多いかもしれない。
でも、S&P500トップ10の純資産総額が、今後どんな成長していくかは、まだわからない。
若い銘柄は、とても危険なのだ。
若いモテモテ銘柄にうつつを抜かす投資家は、逆に遊ばれないように。いざとなったら、S&P500トップ10と心中する覚悟で挑んでほしい。
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