掃除
私の仕事は家事代行。
家事代行というのは、簡単に言えば人の家に行き、掃除をしたり、洗濯を
したりと、家事をする仕事だ。
ときには料理をつくることもあるが、ここで大事になってくるのは、その家
の家主が「どうしてほしいか」ということに重きを置くことだ。
唐突だが、完璧主義の人にはむかない職業だと思う。
掃除だけに目をむけて考えてみる。
もしも完璧主義であれば、気になる箇所をひたすら磨き上げることになるだ
ろう。一見、よさそうだが、家主が求めていなければ意味がない。
気になる箇所があっても、家主が求めているところを、しっかりと掃除する
というのが求められるスキルなのだ。
そのため、完璧主義だとできない。
むしろ必要なのは、家主が求めていることに柔軟に対応する臨機応変さにな
ると思う。
……と、自分の仕事のことをつらつらと考察をしたのだが、
これが、自分の家となるとまったくうまくいかない。
当然、家主は私なのだが、だからこそ「あそこも気になる」「ああ、こっち
もやっておきたい」と、自制がない。
時間的余裕があるときなんて、さあ大変。
今朝は8時半ごろにむくっと起床。
昨日の晩ご飯の残りを食べ、ゴミ捨てと洗濯物。
洗濯物を干したら、いざ部屋の掃除を開始!!
気づけば13時をまわっている。
午前中をほとんど掃除で費やしてしまった。
家事代行の仕事であったら、もっともやってはいけないことだ。
「私の家のサイズで、どうしてこんなに掃除する箇所があるんだ?」
と、そんな気持ちにもなるが、自分が家主なのだ。
気になるところを全部やってしまいたくなるのは、当然だ。
死ぬまで泳ぎつづけるマグロのように、わたしは一度出発したら、納得する
まで掃除をする手を止めないのだった。
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