evaton

1969年生まれの会社員です。入社して東京-名古屋-大阪と転勤族で割と全国的に色々回っ…

evaton

1969年生まれの会社員です。入社して東京-名古屋-大阪と転勤族で割と全国的に色々回ってます。 記事は本の記録中心です。ジャンルはミステリや歴史、経済や宗教、仕事の為のビジネス書など雑多です。 note2年生です、継続ガンバリマス。

最近の記事

カラマーゾフの兄弟(原卓也 訳)

はじめて読んだのが数年前、その時がロシア人作家も最初で、人物名と愛称など戸惑いながら読みました。長すぎる(繰り返す)一人台詞や癲癇の発作の連発などに違和感を持ちながらも人物の圧倒的な生命力に驚き、いくつかのエピソードが記憶に残りました。 その後に、解説本を読んで知ったのですがカラマーゾフの兄弟には第2部の構想がかなりしっかりとあったそうです。確かに冒頭の作者の言葉通り、この本がアレクセイの一代記というには割と短い期間の内容です。亀山郁夫さんの解説本による第2部の内容が本当な

    • オスマン帝国

      こんばんは、梅雨空が続きますね。 前回、「帝国の崩壊」という本の紹介でオスマン帝国について書きました。 その後オスマン帝国についていくつかの本を読んでみると、まだまだ自分の理解が浅かったと痛感しました。で、いくつの本を読んで知った事を今回noteに書いてみることにしました。 世界史上に登場するのは14世紀、日本では室町幕府成立の頃になります。始まりは小さな侯国とし登場するので、開始時期を特定することは難しいのですが、オスマン帝国の終焉は第一次世界大戦での敗戦後にスルタン(

      • (読書雑感)帝国の崩壊

        歴史上で帝国と呼ばれる国々は、領土拡張を目標にし、相手側を征服していく事で生きているので、かならず周辺国と戦争していきます。よって基本は強い軍隊を持つことが必須なのですが、問題となるのは勝利して征服した民族や宗教の扱い方です。 アレキサンダー大王はアケメネス朝ペルシアを征服して大帝国を築き上げますが、実際は既に完成されていた帝国をそのまま吞み込んだ形です。アケメネス朝ペルシアは征服した土地の自治や宗教をなどを認めており、アレキサンダー大王も同様に統治します。帝国とはいいなが

        • 世界の終わりとハードボイルドワンダーランドも大好きな本だったので、楽しめました。やはり村上春樹さんの本はいいですね。

        カラマーゾフの兄弟(原卓也 訳)

        • オスマン帝国

        • (読書雑感)帝国の崩壊

        • 世界の終わりとハードボイルドワンダーランドも大好きな本だったので、楽しめました。やはり村上春樹さんの本はいいですね。

          その島のひとたちは、ひとの話を聞かない

          本の副題には”精神科医、「自殺希少地域」を行く”とありました。タイトル通り精神科医である著者が、出来るだけ単なる旅行者として訪れて地域の人々と交流した記録になります。 本屋さんで見た「その島のひとたちは、ひとの話を聞かない」というタイトルに惹かれました。副題との違和感から手に取ったのですが、いくつかの地域の話を読み進む中で納得しました。 自殺希少地域というのは、どういう特徴があるのでしょうか。訪れた地域が全部で6章あり、それぞれに異なった面がありました。地域の深い絆や役所

          その島のひとたちは、ひとの話を聞かない

          日本人はなぜ「さようなら」と別れるのか

          こんばんは。少し前に読んで2回目の読了となりました。最初は何となく読み終わったのですが、今回は色々と心に残る事がありましたので紹介させていただきます。 「さようなら」は”ありがとう”と並んで最も美しい日本語といわれています。その語源として「さらば」から紹介が始まります。”サラバ”というと、そもそも別れの意味と考えますが、本来は”そうであるならば”という接続詞の使用でした。先の事柄を受けて、後の事柄が起きる事を示していますが、その後すぐに別れの意味も含んだ言葉に変化していきま

          日本人はなぜ「さようなら」と別れるのか

          ハードボイルドはお好き?

          こんばんは。 ここしばらく仕事の関係でカーボンニュートラルやSDGs、食や農という分野の本ばかり読んでいました。セミナーで発表する必要があり、何冊かインプットしないと話にならないので、かなり時間を取られています。 ようやく一息ついたので何を読もうかと考えたのですが、たまたま目についたのが昔のハードボイルド小説でした。 「テロリストのパラソル」はかなり以前に読んでの再読でした、悲しいかな嬉しいかな、ストーリーをかなり忘れていたので結構楽しめました。 時代は昭和なので、もちろ

          ハードボイルドはお好き?

          信じられないものを信じる、ということ

          こんばんは。 年末に読んだ本と、ときどき聴いているコテンラジオで何となく関連しそうな部分があったので、考えていた事を記事にしてみようと思います。 本は石川明人氏の『宗教を「信じる」とはどういうことか』 コテンラジオは『老いと死の歴史(#289~#296)』 からです。 石川さんの本から抜粋しますが、そもそも「信じる」という言葉・行為がとても幅広い意味を内包しています。特に宗教に関して日本人の”神を信じてはいない”というのは字面のままには理解してはいけません。正月に多くの人が

          信じられないものを信じる、ということ

          「世間」と個人

          こんにちは、少し前に吉隠ゆきさんの記事を読んでいました。 この記事にある阿部謹也さんの「世間とは何か」では西洋中世が専門の著者らしく、西洋との比較において日本は”社会”ではなく”世間”中心の世界であると論じています。本の中では吉田兼好、親鸞、井原西鶴、夏目漱石、そして永井荷風と金子光晴らの作品を紹介しながら様々な切り口で日本独特の”世間”というものを明らかにしています。 この講談社現代新書「世間とは何か」の前に、阿部謹也さんが書かれたのが講談社学術文庫「西洋中世の愛と人格

          「世間」と個人

          中世の職業について(日本編)

          こんにちは(こんばんは)。 最近は日本とヨーロッパ(ドイツ)の中世に関する本を立て続けに探して読んでいます。中でも日本中世に関しては網野善彦さんの本、西洋中世に関しては阿部謹也さんの本、その中で様々な職業の移り変わりにとても興味が湧いています。読んでいく中で、自分なりに考えをまとめてからnoteに書こうと思っていたのですが、とてもまとまりそうも無いので今回は思いついたままに。 中世は資本主義が発生する前の段階であり、人々が日々生きていく為に手工業をはじめとして多様な職業が生

          中世の職業について(日本編)

          ハーメルンの笛吹き男(阿部謹也)

          こんにちは。 思いもよらない寒さに遭遇した東京から土曜日に帰ってきました。 吉隠ゆきさんのnoteがきっかけで、阿部謹也さんの本をいくつか読んでいるところです・今回は「ハーメルンの笛吹き男」について紹介させていただきます。 「ハーメルンの笛吹き男」はグリム兄弟に収集された民間伝承であり、私も子どもの頃に読んでいます。この本は阿謹也さんがドイツで中世の古文書研究中にこの伝説に出会い、魅せられた所から始まります。 本書では笛吹き男伝説に関する史料を遡って探索すると共に、背景

          ハーメルンの笛吹き男(阿部謹也)

          狩猟社会・農耕社会・国家

          こんにちは。 少し前に、「反穀物の人類史」ジェームズ・C・スコット(立木勝訳)という本を読みました。自分自身が理解できたのか不安はありますが、とても興味深い内容だったので、皆さんへ紹介したいと思います。この本では基本的にメソポタミアのシュメール文明を中心に書かれています。 Societyの変遷は正しいのか 国内で提唱されている社会構造の進歩史観としてSociety1.0~5.0があります。以下のように狩猟社会から文明・社会構造の進歩の順序・段階を表す概念として多くの場面で

          狩猟社会・農耕社会・国家

          スコットランド

          こんにちは。神戸市立博物館で開催中の『The GREATS 美の巨匠たち スコットランド国立美術館』に行ってきたので紹介させていただきます。 ヨーロッパに行ったことは無いのですが、経済史や資本主義の歴史、科学史、大学の歴史など読んでいく中でイギリス、その中でもスコットランドに興味がありました。今回は地元・神戸での展示で、自由に撮影可能な土曜日の夜にいく事にしました。(なにせ昼間は暑くて・・) スコットランドはブリテン島北部にあり、ハドリアヌスの長城から北をイメージすると凡

          スコットランド

          中世絵巻物の世界に少しずつ その2

          暑い日が続きますね、私は神戸にいるのですが関東の暑さは強烈そうです。皆さまご自愛くださいませ。 以前に国立国会図書館デジタルコレクションに収められている『一遍聖絵』の世界について記事にしました。今回はその後の続きで、中世の世界について他の本で書かれている内容を、この絵巻物の画像データから探して紹介したいと思います。 扇の骨の間から見る 扇で顔を隠しつつ、その骨の間から”見る”というしぐさの人が絵巻物の中で描かれています。団扇のように扇であおいでいるわけではないようです。

          中世絵巻物の世界に少しずつ その2

          読書雑感「香君」上橋菜穂子

          noteでこの本が紹介されて、本屋にも並んでいたので前から読もうと思っていました。読み始めると冒頭から物語に引きずり込まれて、どんどん読み進んでいきました。著者の本は「鹿の王」に続いて2作目ですが、この本もとても面白かったです。 ストーリーの面白さは読んでいただくとして、今回は本の大きなテーマであり、上橋先生も本の後書きに書いている”植物”について思ったことを書いてみたいと思います。本の最後にある参考文献とそれ以外の書物から得た内容になります。 鳥糞石物語の前半で”鳥糞石

          読書雑感「香君」上橋菜穂子

          読書雑感「いま世界の哲学者が考えていること」

          こんにちは、3連休も終わりですね。 吉隠ゆきさんの記事を読み、興味が湧いて購入してちょうど本を読み終わりましたので、自分なりの感想を上げてみたいと思います。 2016年の本ですが内容はまさしく題名の通りです。第1章の”世界の哲学者は今、何を考えているのか”から始まり、テーマごとに世界の哲学者による立ち位置(切り口?)とでもいうものが全6章に分かれて紹介されています。私は自分の興味として『第4章 資本主義は21世紀でも通用するのか』、『第5章 人類が宗教を捨てることはありえ

          読書雑感「いま世界の哲学者が考えていること」