スコットランド
こんにちは。神戸市立博物館で開催中の『The GREATS 美の巨匠たち スコットランド国立美術館』に行ってきたので紹介させていただきます。
ヨーロッパに行ったことは無いのですが、経済史や資本主義の歴史、科学史、大学の歴史など読んでいく中でイギリス、その中でもスコットランドに興味がありました。今回は地元・神戸での展示で、自由に撮影可能な土曜日の夜にいく事にしました。(なにせ昼間は暑くて・・)
スコットランドはブリテン島北部にあり、ハドリアヌスの長城から北をイメージすると凡そ合っていると思います。スコッツ人の国・スコットランドとしては9世紀頃にスコットランド統一王国が成立します。一方でアングル人の国・イングランドも統一王国発足後、ブリテン島の統一を目指し両者は長い間敵対関係にありました。1603年にスコットランド・スチュアート朝のジェームズ6世がイングランド王・ジェームス1世となり同君連合が成立します。その後、宗教改革や内戦、革命を経て1707年、合同法によりグレートブリテン連合王国(U.K.)となります。
スコットランドの中でも風光明媚な北部ハイランド地方と都市・産業が発達する南部のグラスゴーやエジンバラ等は産業や文化、人々の気質も異なっていたそうです。U.K.や外から見るとスコットランドそのものがブリテン島の北部地方と考えられますが、スコットランド内部から見ると、それと別の意味でハイランドという括りになっています。もちろん南側はローランドと呼び、エディンバラやグラスゴーはローランドになります。ヴィクトリア女王はハイランド地方が好きで、避暑の為によく訪れており、その頃から観光地として有名になってきました。中世の統一に至る王国史も面白いのですが、近世以降の産業や文化の偉人がスコットランドから数多く輩出されている事が私は興味深いです。ブリテン島の北部辺境という扱いの中で、スコットランドは宗教と教育に力を入れたのだと思います。オックスフォードとケンブリッジは最も歴史ある大学として有名ですが、それ以降の大学設立はスコットランドに集中しています。セント・アンドリュース大学、グラスゴー大学、アバディーン大学、エディンバラ大学が順次設立されていきます。
有名人を挙げれば、哲学者のデイビッド・ヒューム、経済学のアダムスミス、蒸気機関のジェームズ・ワットなど多くいます。そして何よりも、シャーロックホームズ生みの親、アーサー・コナン・ドイルもスコットランド出身です。(まだまだ挙げられますが、私の独断で)
哲学者でイギリス経験論の元とされるデイヴィッド・ヒュームはエディンバラ大学で学び、図書館長や様々な職務につきながら哲学や歴史に関する書籍を発表して生涯をエディンバラで過ごしています。また、経済学の祖とされるアダム・スミスはグラスゴー大学で学び、その後、道徳哲学の教授となっています(当時は”経済学”という学問分野が生まれる前でした。彼の最初の書籍も「道徳感情論」です)。ジェームズ・ワットは家庭の状況で大学には通えずに機械製作の職人の道へ進みます。その後グラスゴー大学で機械修理の手際の良さを買われ、大学内で工房を設ける許可を得ます。この工房で蒸気機関の研究を行います。この3人は分野は違いますが、それぞれ交友関係があったそうです。アーサー・コナン・ドイルは次の世代になり、エディンバラ大学医学部卒業です。彼は医院を開業し、その傍らで書き始めたのがシャーロック・ホームズシリーズになります。
産業革命と共にエネルギーが石炭へ移る中で、鉄鉱石の産地にも恵まれたスコットランド地方は重厚長大産業が発達します。中でもグラスゴーは造船業が盛んでロンドンに次ぐU.K.第2の都市として発達し人口も100万人に達します。しかし第2次世界大戦後は、その産業構造の地位低下や不況の影響により人口は60万人程度となっています。近年は北海油田の開発が契機となりスコットランドの独立運動も盛んになっています。U.K.のEU離脱もあり、今後の動きに注目されます。
展示資料にもスコットランド国立美術館の紹介がありました、赤い内装がとても目を引きます。行ってみたいですね、スコットランド。市内散策してエディンバラ城や美術館見学してから、ビールを飲みたい(ウィスキーも飲みたいのですが、ハイボールは日本だけですかね)。次の日にはハイランドを巡って・・という妄想を膨らませてつつ今回の投稿を終えたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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