古賀及子(こがちかこ)

「確かにどこかに実在した日々がこれです」 小中学生と3人暮らしの、どうってことない日々を書くのが好きです。日中はデイリーポータルZ編集部ではたらいています。

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    • シカクのひみつマガジン

      大阪のZINEセレクトショップ「シカク」のマガジン。業務日誌、ゲストの読み物、音声や動画、昔のメルマガや出版物からの蔵出し記事などを月4〜5本更新します。連載ごとのまとめは「ハッシュタグ」からどうぞ。いただいた購読費はお店の運営費にあてられます。

    • 日記 まばたきをする体

      webライター、編集の古賀及子が小中学生とくらす日記です。

    • 思い出のはなし

      古賀及子のnoteの中で思い出話のやつをまとめております。

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    日記「まばたきをする体」2020年の365日記よりたくさん読まれた日

    こんばんは。12月31日の世界から(私をご存知の方に向け)古賀でーす。(はじめての方に向け)古賀及子と申しますー! 今年も毎日、日記を書いてははてなブログとnoteにマルチポストしておりました。 2サービスに同時投稿ってどんだけおのれの日記をよませたいんだという勢いですが、どちらもそれぞれに読者の方に読んでいただき本当にありがたいです。 年の瀬ということで、365日分の日記から、はてなとnoteでそれぞれにアクセスの多かった日をピックアップしてみました。 普通の人の普

      • 知らないうちに自分に名前がついている

        窓の外でくぐもった音がうごめく。 音は氷くらいの小さな立方体のなかで反響しこだまするように夜の外気に浮いて、つかみどころがない。 薄く眼を開けると布団のかかっていない顔面が冷たく、朝なのだなと思った。 角のとれた太い音がまた聞こえる。ああ、そうか、これは声だ。 この街ではコロナ禍に入るまえは毎年年末に消防団が拍子木とともに「火の用心」の声掛けをしてまわる習慣があった。 あれがやってきたのかと思いよぎるが、早朝に来るものだろうか。 やがて耳が冴え、太い声、それからも

        • 過去が未来の足をひっぱる

          出して備えるもここまで利用には至らなかったガスストーブをついにつけた。寒い。 寒いとか暑いとか、皮膚でとらえた感覚はもともと感情とは切り離れたもので、なんとかなる寒さはネガティブなものではないのだろう、私にとって家が寒いのはあまり悲しいことではない。 安心な寒さだと、家でむかえる冬の朝は思う。この家にはありがたいことにガスストーブがある。 いっぽう屋外でうっかり薄着で寒いと、これはとても不安でさみしいのだ。 ストーブで部屋はすぐあたたまった。 息子は朝に強く暑さ寒さ

          • 家で広げるナンはいよいよでかい

            沸いているお湯は貴重だ。 水を買わない家として長らくやっている。水道水を普通に飲むが、沸かすとそのひと手間から液体としてワンランク上になったように感じる。 お湯は主にお茶をいれるのに沸かすことが多い。沸かしたお湯が余って少しやかんに残ると、貴重なお湯に余剰があると、豊かな気持ちにすらなる。 結果それは飲む。 すると、白湯を飲む健康法をやっているように思えさらに力がみなぎってくるのだった。 湯を飲みひとりあらぶっているところへ息子が起きてきたから、心落ち着けふたりパン

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            聞いただけの場所がなくなる

            きのうキャベツを切って寿司酢で漬けておいたやつを皿に出した。 マスカットと、あと草餅も出して、あるものを食べる型の朝食として支度すると息子がやってきて、「緑だな」と言い、ほんとだ。 ご飯でもパンでもない草餅が登場したことで皿のメインが珍しく緑色をしたところにハムやタマゴではないキャベツとマスカットが揃ったのは偶然だった。 緑色の、しかしさまざまな食感と味のものを食べる。出窓の豆苗が伸びすぎている。 豆苗は、買うと育てなければならない。買うとまた育てられる、ポジティブに

            フィクションの世界がえがく地に足のついた未来

            それほど長時間ではないものの子どもに留守番をさせることがあり、そういうときはふと、私が不在の家でなにかありはしないか心配になる。 火の始末が悪かったらとか、ガスが漏れ出したらとか、大きな地震があったらとか。 きのうは子どもたちがふたりとも泊まりに出かけ、よる友人を誘って食事に出かけた。 安全なところに泊まらせてもらっているから不安なくご飯が食べられるよと友人に言うと、友人は「無人の家で何かおきているかもしれないよ」と返すのだった。 たしかにと思ったが帰宅すると家は無事

            思考のあさましさに感じるハングリー精神

            布団に入る行為は、夜中いっぱい、疑似的に布団を皮とすることではないかと思った。 布団にくるまる私が眠る部屋をサーモグラフィー画像で撮影したら、部屋全体は真っ青ながら、布団の部分は私もろとも赤く写るだろう。それはつまり、布団ごと自分と言えるのじゃないか。 衣服がそもそもそうだものなと、目を覚ましたあとよくあたたまった布団に横になったままじっくり思い味わっていた。 布団の外が寒い日がはじまった。のっそり起き出す。 子どもらを起こしパンを食べ、朝活動で早めに行くという娘が出

            もしかしたらが夢にまで

            テイクアウトの紙袋が実は有料で20円だった夢を見た。 きのう、飲食店で昼ご飯を持ち帰りにしてもらった。注文時に持ち帰りでとお願いすると、カウンターからお弁当箱に入れた状態で渡してくれて、必要なものは後ろからお持ちくださいという。 見ると背後には棚があり、紙ナプキンやお箸などが自由に選べるようになっている。利用するのが初めてなものだから、周囲の人の様子をみるとみな必要なものを棚からスッスと取っていた。 そこに紙袋も大量に置いてある。エコバッグを使う人も多いようだが、紙袋を

            あるあるの人としての風格

            ACアダプターの中身ってどうなっているんだろうと、うまれてはじめて思った。 本当に、うまれてはじめて思った。それまで、なにも考えていなかった。なにもだ。思いを及ばせることがなかった。 「なんか羊羹みたいだなー」とすら思っていなかった気がする。そういうものとして、あるからあった。 社給のPCのACアダプターが大きくて、支給されたときに同僚とさかんにでかいでかいと笑ったのだけど、それでも、で、なに詰まってるんだろ? とは思わなかったのだから徹底して私はACアダプターのことを

            おれはひとりしかいないのに

            トイレに置いてあるゴミ箱は、私にとってはいましめである。 近くにIKEAができたもう10年以上前、とくべつ何の用もなく行って盛り上がってなにか買いたくてつい必要でもないのに買ってしまったものだ。 予備のトイレットペーパーや生理用品を入れるなど利便的に使っているといえばそうなのだけど、もともとちょうどトイレの前にある納戸に収納できていたのだし、なくてもかまわない。 見るたびに、無駄な買い物だったと自らをいましめている。今日も朝から反省した。 そして反省しながら、私にはこ

            わたしではないあなたたち

            朝はやく、息子は修学旅行に出かけていった。 ここ数日は家族が誰も熱を出しませんようにと祈ってすごし、実際感染予防で外に出るのもひかえていたほどで、なにしろよかった。 息子はきのうついサンバの曲を口ずさんでしまうくらい旅への期待を高めていた。いっぽうで荷造りに執着せず集合時間にも鷹揚でルーズでもあった。 楽しみにはしているけど、力が入りすぎずリラックスしている。 息子や娘をみていると、私なんかよりずっと生き方が上手で洗練されているように見える。 ふたりとも、もっとこう

            このままはやく朝にしてしまいたい

            枕と頭にはさまってぴったり頭の形にそって撫でついた髪の毛を逆毛にとかした。毛がうごめくのか毛穴が痛い。 怪我や病気の肉感とはちがう、筋肉痛のような無事の痛みは気持ちよく、毛穴ひとつひとつに丁寧に神経がめぐらされ毛を逆さになでたくらいで痛覚がよびさまされるのだから人体とはまったく凝ったつくりになっている。 パンを焼いて朝食の支度をしていると、明日から学校の修学旅行にでかける息子が起きてきて、持ち物になにか抜けがあるんじゃないか心配なんだけどという。 「スマホのモバイルバッ

            なんの手がかりもないタレ

            目覚ましより前に目が覚めた。妙に不安な気分だが思い当たる懸念はない。ごろごろ寝返りを打って、するとまた寝付いてこんどは目覚ましで起きた。 寝切って眠気はないもののやはり不安は残っており立ち上がる足がひるんだ。落ち込んで朝をはじめる。お湯を沸かしてパンを焼く。 徐々に心持ちは普段の様子と同じになって、それで思ったのだけど、このところ夜が寒くなり毛布と厚手の掛布団をかけて寝るようになったのが、夜中に毛布を蹴り出してしまうのだ。 あつくなって毛布を不要と剥ぐのだろうが、掛布団

            現実の堂々とした存在

            はっと目があいたうえ、息子、学校あるかもな!? と気づいたからすごい。 土曜日、息子は登校日のことがある。 あれは隔週なんだろうか。それともランダムなのか。私はまったく把握していないのだ。 基本的には金曜の夜に息子から「明日は学校だから」と通達があり、それじゃあとつきあって仕事が休みの私も早起きする。 昨日はとくべつ何も言われなかったけど、可能性はある。起き出して息子に「今日学校あんの?」と聞くと寝覚めた息子は横になりまだ目を閉じて「ある」と言った。 ある! 8で

            来た人が去ってから鍵をしめる動作

            起きて植木に水をやっていると息子も起きてきた。 息子は目覚ましでは起きない。かけたアラームを永遠に鳴りつづけさせることで有名で、でもふしぎと家の他のメンバーが起きるとただそれだけで起き出してくるのだった。 やかんからじゃぶじゃぶ目分量で3つの鉢に水をまく私の背に「これ塗ってみ? シミ一発だぞ」と言ってきて、なんで「おはよう」がインターネットの小さい広告の人のセリフなんだ。 「あれのやつ」「あれのやつね」笑う。 また服がわからなくなってしまったのだった。大人になってずい

            なにかから隠れている

            珍しくパン屋さんでパンを買った日や、いただきもののパンがある日、私たちはいつも感激している。 それは、パンがうまいからだ。 ただうまいだけではない。 わたしたちは日頃パンを節制している、スーパーで一番安い食パンを買っている、だからこそたまの良いパンがいっそううまく感じる。 「だからこそ」の力が、パンを余すことなく喜ぶことにつながり、このパンのうまみを最大限感じているのだいまわたしたち。そういう、これは賜物と誇りの感情でもある。 うまいうまいと食べながら、うまさのみな