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千人が届ける一本松の音

2011.3.11―
現代の日本人の記憶に刻まれた、東日本大震災の日。
月日が流れ、震災から今年で12年が経ちました。

去る2023年9月16日、東北から約600kmの地、静岡県三島市で「千の音色でつなぐ絆 ~人と人、手と手、心へ、命へつなぐ~」と題し、チャリティコンサートが開催されました。このコンサートは、福島県陸前高田市で今もなお震災のモニュメントとされ立ち続けている「奇跡の一本松」を使ったヴァイオリンを使い、各地で千人の演奏者が演奏をつなげていくプロジェクトです。
今回のプロジェクトで一本松は、ヴァイオリンの「魂柱」と呼ばれる、小さいながらも音の要になる部分に使われているそうです。楽器の裏面には、一本松のデザインが施されていました。


一本松は、大津波の中たった一本残された奇跡の松の木です。一本松がヴァイオリンの「魂柱」となっているのと同様に、被災された人々の"魂"の支えになっているのは間違いありません。
三島市のコンサートでは、このヴァイオリンを使い、開催地出身のプロの演奏者により2部構成の演奏が行われました。

1部で演奏されたのは、「赤とんぼ」、「故郷」、「花は咲く」の3曲です。
東日本大震災により多くの犠牲者が出され、住んでいた人々の家が津波に流されました。地震・津波といった自然の猛威によって、いきなり故郷をなくした人々がいます。そうした中この3曲を聞いて、自分自身も故郷をかえりみて、それをなくすのがどれだけ悲しいことか思いを馳せるとともに、被災された方が故郷と呼ばれる場所を一日でも早く取り戻してほしい。そう感じました。

2部は、1部でも演奏した地元の演奏者4名と、今回の音楽の企画をしたヴァイオリニストの牧野さんが加わり、アントニオ・ヴィヴァルディの「四季」が演奏されました。
春、夏、秋、冬と四季で構成された本曲ですが、季節をめぐり生きることができていることに改めて感謝しないといけないな、と思います。
自然は四季をもたらしてくれる美しいものであると同時に、地震や津波など脅威にもなる二面性があります。私たちは自然といかに共存していくか考えていくためにも、東日本大震災の教訓を風化させてはなりません。

このプロジェクトは今回で893番目なので、まだ続いていきます。
今後一人でも多くの日本人に、素晴らしい一本松の音色を届き東日本大震災の記憶をつなげてほしいと思いました。

運営企画された方や演奏者の皆さん、ありがとうございました。

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