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この人を“再び”見よ
父の死後、私に父の作品の著作権継承を任せると決めた時、母は「いずれ作品集が出るかもしれないから、その時はお願いね」と期待していました。しかし、話はあったものの実現には至らずの繰り返し。それでも既刊の古書が出回れば作品が読者に届く望みがありましたが、皮肉にも価格が高騰し、簡単に購入できるものではなくなっていたのです。読まれることが叶わない。作家として崖っぷちな状況が長く続きました。
そんな苦境を
せめてもの かけらたち
父の家族は元々は福岡県の出身ですが、父の曽祖父の代から北朝鮮に移住し、父は永興という町で生まれました。実家は雑貨店を経営し、少年時代は幸福だったようです。しかし、植民地だった故郷は敗戦の日を境に一瞬で消失しました。この衝撃は父のその後の人生に常にまとわりつき、そこからもがく過程で生まれてきたのが父の作品だとも言えるでしょう。鮮明に記憶に残る場所が「無い」ことをどう受け止めれば良いのか。日本に引揚
もっとみるCD ジャケット完成!
制作進行中の後藤明生文学講義録音CDのジャケットデザインが完成しました。宣伝用に生まれて初めて動画作りに挑戦!夫が後藤明生の音声をエフェクト処理して作ってくれました。ちょっとイカれた出来栄えが話題となっております。
編集したら、俺じゃない。
プロフィールにある通り、後藤明生の生誕90年の記念に、実家で見つけた生前の文学論講義のテープをネット公開の後、CDリリースしようと言う目的で、このnoteを始めました。多数あるテープの中から録音状態、講義内容などを比較検討して谷崎潤一郎作『吉野葛』を論じた回を選び、制作を進めています。CDには約60分しか収録できませんが、講義は120分前後に渡ります。2枚組にすると言うのも、現実的に予算の都合もあ
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