卒業生と振り返るイー・エージェンシーの歴史 Vol.8 海老澤 澄夫さん
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イー・エージェンシーは、1999年の創業からこれまで、多くの仲間に支えられてきました。仲間と一緒にいくつもの成功や失敗、その喜びや苦労を積み重ねて、今日まで成長してくることができました。そこで、過去に在籍していた人たちに当時を振り返ってもらい、そうした歴史の先に、今のイー・エージェンシーがあることを再認識しつつ、今後の活動に繋げていきたいと思っています。
第8回目は、現在のイー・エージェンシーの事業の柱である、データ活用支援事業の立役者である #海老澤澄夫 さんにお話しいただきました。
元々は #Facebookライブ 配信で、元在籍者をゲストに迎えて一緒にお酒を飲みながらざっくばらんにお話をする「 #少し早めのお疲れさん会 」という企画ですので、皆さんもぜひリラックスしてご覧いただけると嬉しいです。また、動画の会話だけでは意図が分かりにくい部分もありますので、記事(テキスト)もぜひお読みください。
現在のお仕事とお住まい
坂口:第8回目のゲストは海老澤さんにお越しいただきました。現在のお仕事について教えていただけますか?
海老澤:現在は、 #TEALIUM に勤めています。#CDP と呼ばれる顧客データ活用基盤サービスの展開を担当しています。ちょっと変わっているのは、私の所属先はオーストラリアのTEALIUM法人で、アジアパシフィック地域における教育サービスを担当しています。
その中でも、TEALIUMの使い方を教えるセミナーやワークショップの展開が主な業務で、日本だけでなく、アジアパシフィック全域、例えばシドニーやシンガポールも担当しています。
最近では、Zoomを使ったミーティングが増えています。その他にも、コンテンツの開発や、日本のお客様へのTEALIUMの活用コンサルティングなども行っています。
坂口:現在のお住まいはどこですか?
海老澤:普段はシドニーに住んでいます。しかし今週はTEALIUMのミーティングやその他の用事で2週間だけ日本に戻っています。
甲斐:そのような短い滞在中にも関わらず、今回の企画に参加していただき、本当にありがとうございます。
#海外で働く ということ
坂口:現在は、シドニーでお仕事されているということですが、日本で働いていたときと何か変化やシドニーの良いところはありますか?
海老澤:正直、大きくは変わらないと感じています。僕の仕事は在宅が基本で、Zoomを使った会議が中心です。日本のお客様も、シドニーのお客様も同じです。あえてあげると対面で会う機会が減ったのが大きな変化です。しかし、シドニーという街自体がとても面白く、色々探すと新しい発見があるので、そこに刺激を受けています。例えば、この間は「Vivid Sydney」というイベントで、プロジェクションマッピングを使ってオペラシティを照らしていました。日本では味わえないような規模で、刺激を受けることができます。
甲斐:TEALIUMはシドニーにもオフィスがありますよね?
海老澤:はい、ちゃんとしたオフィスはあります。でも今は #在宅勤務 が主流です。テクノロジー系の会社ではコロナの前からも在宅勤務の方が多かったですね。
甲斐:なるほど、シドニーに行っても違和感なく仕事ができてるんですね?
海老澤:そうですね。振り返るとイー・エージェンシーにいた時も、震災があった時に電車が止まって、その時も在宅で仕事をしていましたから違和感はないです。
坂口:オーストラリアは多国籍の方が多いイメージがあるんですが、コミュニケーションは大変ではありませんか?
海老澤:英語のナマリや癖が強いです。私自身がアメリカで英語を勉強していたので、逆にイギリス系の英語が聞き取れなかったり、インドなどの英語はナマリが強いので理解するのが難しいこともあります。
イー・エージェンシー時代の話
坂口:それでは、ちょっと過去に振り返り、イーエージェンシー時代のお話を聞ければと思います。まずイーエージェンシーを退職された理由とTEALIUMにたどり着くまでの道のりを教えてください。
甲斐:入るところじゃなくて辞めるところからなのね(笑)
海老澤:まず、いろいろ異論とかあるかもしれないですけど、非常に円満に退社しました。イーエージェンシーがいい会社だと思ったのは、私が辞めたその時です。何でかって言ったら、すごい気持ちよく辞めさせていただいたということで甲斐社長にはすごく感謝しています。
甲斐:ありがとうございます。貢献できたかどうか分からないんですけど。イー・エージェンシーはみんなが優しいもんね。
海老澤:はい。どうしても地理的なもので、疎遠になりがちなんですが、こうやって対談にお声をかけていただける。こっちも喜んで参加させていただく、っていう関係を得られたことは、すごくありがたいです。
甲斐:こちらこそです。
海老澤:何で辞めたかという話ですが、イーエージェンシーがというより、TEALIUMというサービスがやりたかったというのが理由です。私のバックグラウンドはずっと #データ分析 で、昔からお客さんに言われて結構きずつく言葉があるんですね。「所詮、結果論ですから」みたいなことを言われる。もちろん、 #アクセス解析 は結果論なんですが、どうにかしたかった。
坂口:なるほど。
海老澤:やっぱりそこに対するもやもやがすごいあり、TEALIUMという会社が #リアルタイムCDP というユーザーに対してメッセージや #コミュニケーション をリアルタイムで最適化できるというのを、私が得意としていたタグという技術を使ってすごく綺麗なサービスにしていて、これは流行るだろうと思ってTEALIUMに入ることにしました。
甲斐:あの時に理想のように言ってましたもんね。
海老澤:実際、やっぱり時代はそのように進んできているので、その時はやりたいと。もちろんその時もイーエージェンシーのいろんな業務があったので、自分のやりたいことをイーエージェンシーの中でやれないかと考えたんですけど、ちょっと思い切ってやってTEALIUMに行ってみようと思いました。あと、その時に皆さんが背中を押していただいたこともあります。
甲斐:いい仲間に恵まれて。その後、海老澤さんから残したプロジェクトは、良いプロジェクトが多いですよ。
#GoogleAnalyticsPremium の事業
坂口:イー・エージェンシー時代の印象的なエピソードはありますか?
海老澤:エピソードはたくさんあるんですが、まずはコンフォートという会社を設立するところからお話します。
前回の「少し早めのお疲れさん会」でお話ししていた内野さんとともにコンフォートは始めましたが、自前の解析ツールを用いたビジネス展開は難しくうまくいかなかったのですが、その後、Googleがプレミアムサービスを始めるという話が出たのです。そして、これが非常に良いタイミングで、ビジネスもうまくいきました。もちろん、その成功には、私たち自身の努力はもありますが、支援してくださった有能な方々の存在のおかげだと思います。そしてこの成功にはコンフォート時代の経験の蓄積があったことは間違いありません。
我々は早くからデータやアクセス解析に詳しい人材を持っていました。それが成果を上げるために大いに役立ちました。
そして、「Google Analytics Premium」が提供されるとなった時、他の多くの会社が迷っている中で、甲斐社長や野口さん、上司の方々が果敢に「このサービスをやるぞ」と決めてくれたことが大きかったと思います。
当時、我々は「Google Analytics Premium」一筋で早々に #スタートダッシュ を切ることができました。重要なのはあのときのみなさんの「 #決断 」だったと思います。
甲斐:当初、参入したの中では、イー・エージェンシーの歴史は長いですが業界では小さい会社でした。その中で、我々が生き残るとは誰も思ってなかったでしょうね。
#事業がうまくいった理由
海老澤:やっぱり最初にスタートダッシュを切れたところが一番大きいと思っています。でも、それはただ頑張ったということではなくて、タイミングをきちんと見極められたこととアクセス解析の経験、ノウハウ、人という下地があったことだと思うのです。
甲斐:そうですね。
海老澤:それから手前味噌ですが、あれこれと手を広げなかったことも良かったと思います。最初はじめたときに、「Google Analytics Premium」以外のサービスはやらない。それからいろいろアドフックな仕事を全部断ったんですよね。
甲斐:お客さんの要望があるから広げたいと思う葛藤はありましたよね。
海老澤:そうですね、でも最終的にはとにかくフォーカスしましょうという意見がまとまりました。配属されたスタッフもとにかくこれをガンガンやってくれ、これを伸ばしてくれという体制をうまく作れたというのが大きかったですね。
甲斐:自社のプロダクトとして解析ツールをやっていて、その仕事の要点が分かっていたというのは本当に大きかったのかもしれませんね。お客さんの満足のしどころを抑えつつ、他はやらない、サービスの範囲をここまでと決めて真っ直ぐ走ったというのが成功のポイントだと思います。
#マーケティング がしっかりできたこと
海老澤:マーケティングの話でいくと、導入するとしたら大企業だけだろうと考えて、大企業のお客さまが求めるものが何なのかという議論を徹底的に行いました。Google Analyticsは高度に利用することができますが、あえて「分かりやすく使える」を念頭に置きました。
甲斐:その時期は、解析がいよいよ浸透し始めてたけれど、まだ高度なレベルで使える方はひとにぎりでまずはみんなが使える環境を整えることが必要でした。そんな中で、海老澤さんのような専門家がいて、一方で使いやすい環境を整えることができたという事が重要だと感じましたね。そういう要素が組み合わさり、私たちは恵まれたお客さまに提供することができたという感じですね。
海老澤:そう、お客さんが欲しいものを心から考え、提供することが最も重要で、それがうまくいったのだと思います。
甲斐:本当にタイミングと人の縁が大切でした。
海老澤:そう、タイミングと人の縁がよく働いたと今でも思います。
#甲斐社長の印象
坂口:私が甲斐社長から受けるのは、常に後方支援をしてくれるような、まるで「社員が望むなら、それを進めよう」という態度をとっていらっしゃいます。そういったスタンスは昔からだったのでしょうか?
海老澤:私のときは、Google Analytics Premiumの事業は社長「こうすすめていいですよね」と言いながら、クビにはならなかったので「いいのかな」って解釈してやっていました(笑)
坂口:なるほど(笑)
当時の事業の規模
坂口:はじめたときは、何人ぐらいのチームで活動して、どのような内容の仕事をされていたのですか?
海老澤:私たちのチームは当初4人だけでした。しかし、徐々にメンバーが増えていきました。業務が拡大するとともに、新たなビジネスの可能性が広がり基盤が形成されていきました。その結果、さらに高度なデータ解析を始める余裕が生まれ、#GCP ( #GoogleCloudPlatform )を活用するなど、新たな挑戦ができるようになりました。
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#イー・エージェンシーの未来 を一緒に考える
坂口:イー・エージェンシーの未来のお話を一緒に考えていただいてもよいでしょうか。海老澤さんのOBならではの目線でどのように見ていますか?
海老澤:私自身は最近は直接イー・エージェンシーに関わってはいませんが、ブログなどを見る限りでは、昔と全く違う印象です。昔は情報の発信がなく、知名度も競合他社に比べて少なかったですが、今は十分に情報発信ができており新しい動きをしっかりと発信しているとおもいます。これこそマーケティングであり、これを継続して伸ばすことが大切だと思います。
甲斐:それは確かに。海老澤さんがうちに入った頃は、制作会社がメインで、受け身に仕事を進めていくスタイルが多くて情報発信をしようとしても発信するものがなかった。しかし、自分たちでプロダクトを作り、Google Analytics Premiumなどのツールを用いるうちに、マーケティングや情報発信が必要だと感じ、これを習慣化することができました。これが今のイー・エージェンシーの財産となっており、今では新しい取り組みを世間に自然に伝えることができるようになりました。大きな転換点だと思います。
イー・エージェンシーのメンバーとの交流はありますか?
坂口:ところで、元同僚の方や、現役のイー・エージェンシーの社員の方と、何か交流や、お仕事的な面での交流会はありますか?
海老澤:ええ、交流はありますよ。ちょっと前までは、彼らのお手伝いをしたりもしていましたし、今でも、例えば、データ部の人とはこの間、オーストラリアに行く前に飲みに行きました。そういうようなこともちょこちょこしています。
甲斐:そうですね、うちの社員はたとえ会社を辞めたあとも交流はあるみたいですね。一緒に働いていた時期があるわけですから、そういったつながりはしっかりと残っているというのは嬉しいです。
#今後 、デジタルで重要になるとことは?
坂口:次の話題は盛りだくさんですが、今後重要だと感じる技術やその領域、またTEALIUMにいて感じること、海外と日本の違いなどがあればお聞かせください。
海老澤: #テクノロジーの進化 に全員が追いつけないという問題、そして #デジタルマーケティング に偏りがあるという現状を感じています。私は大学では #マーケティング や #コミュニケーション を学びましたが、デジタルマーケティングはデジタルの部分だけで話が進んでしまう傾向が強いと感じています。私は、デジタルの部分よりもマーケティングは何のためにやるのか、その本質を大切にするべきだと考えています。
確かに、テクノロジーは発展し続けています。例えば、今は #ChatGPT のような技術を使えば、 #SQL が書けてレポートまで出来るような時代です。しかし、だからこそテクノロジーではできない、より本質的な人間的な要素が必要になってくると思います。
例えば、エンジニアの立場から見れば、データセンターのような場所に行く必要がなくなった、今、データセンターの知識はほとんど役に立たなくなったように見えますが、コンピューターのアーキテクチャを考えて展開する能力は今後一層重要になってくると思います。
坂口:なるほど。
海老澤:もう少し話をさせてもらうと、AIに仕事を奪われるという話がありますが、もし奪われるとするなら、そういう人はマーケティングの本質を理解せずにAIで作れるようなコンテンツだけに頼っている人だと思うのです。だからこそ、本質的なマーケティングのスキルを持つことが必要だと感じています。つまり、人間的な要素を大切にし、技術と結びつける能力を持つことが、これからの時代に求められると私は考えています。
#おもてなしを科学する というフレーズ
海老澤:イー・エージェンシーの「おもてなしを科学する」は、科学とおもてなしという異なる2つの要素が組み合わさっており、まさに人間的な要素と技術を結びつけるという意味ですごく良いフレーズだと思います。
甲斐:ありがとうございます。せっかくなので、「おもてなしを科学する」というフレーズについて話させてください。実は、イー・エージェンシーでは一時期、何を目指すべきか、よく分からない時期がありました。ただ「制作だけでは食っていけない」と思い、いろんなものをやっていこうとしていました。しかし、やはり指針が必要だと思い、当時副社長だった木村君が「おもてなしを科学する」というコンセプトを思いつきました。
坂口:そうなのですね。
甲斐:我々は基本的にマーケティング業で、人と人との出会いを作っていく仕事だと思っています。その中で、「おもてなし」をキーワードに、人々の関係性を作り出していく、そこに我々の役割があると思います。ただ、正直なところ「科学する」というフレーズは、ちょっとわかってなかったところがあったんです。
ですが、経営合宿で海老澤さんがこのフレーズを取り上げ、#科学とは「再現可能なものを作る」 と説明してくれた時、初めて腹に落ちました。つまり、「おもてなし」を誰でも同じように再現できるようにする、それが我々の仕事、ミッションなんです。
その認識を持ってから、我々の仕事に対する意識がずいぶんと変わりました。
坂口:私たちは、様々な業界でサービスを提供していますが、やはり人と人とのコミュニケーションが一番大切です。「おもてなしを科学する」は私たちの心意気を表す言葉だと思っていて、名刺や資料にも書かれています。それを見ると、私たちの姿勢や理念が伝わるはずです。私もこのフレーズを大切に使わせていただいています。
海老澤さんの今後の目標
坂口:最後に海老澤さんのこれからの目標を教えていただいてもよろしいでしょうか?
海老澤:今の一番の目標は3人の娘たちの学費を払い切ることですね(笑)
甲斐:そうか、3人の娘さんをお持ちなんですね。
海老澤:はい、上の子はすでに19歳で、真ん中と下の子が年子で、しかも双子なんですよ。
甲斐:それは大変。
海老澤:ずっと大変が、20年近く続いていますよ(笑)
『言葉で』学ぶ大事さ
海老澤:私は、娘たちに「お前たちは『英語を』学びに行くわけではない、『英語で』学びに行くんだ」と伝えています。
将来的には、進化するテクノロジーによってどんどん新しい翻訳ツールが出てくるようになるでしょう。私もDeepLを使ってよく翻訳を行っています。でも、翻訳が可能だということと文章の解釈ができることは違うと思うのです。
甲斐:なるほど。
海老澤:私の子供たちに、英語と日本語の文章をしっかり読めるようになること、そして様々な知識を頭に詰め込むこと、将来AIは答えを出してくれるが、その答えが合っているのかどうかの判断は人間がしないといけないからです。
甲斐:海老澤さんは、これまでずっとテクノロジーの業界で働いて、その進化を見てきたからこそ人間性が問われると感じているんですよね。
海老澤:はい、情報を発信することが簡単になる一方で、何を発信するかが問われるようになってきています。今ではTwitterなどを使って情報を発信することが一般的になりましたが、それによって知識の価値が下がり、情報の発信に対する考え方や差別化の手段が重要になってきています。これはデジタルマーケティングだけでなく、色々なものに当てはまることだと思います。
甲斐:ほんとうに人間性が問われる時代が来たと感じますね。
エンディング
坂口:今日は、素晴らしいお話を聞かせていただきありがとうございました。もっと話を聞きたかったのですが。
海老澤さん、ご覧頂いているみなさまに最後に何かメッセージはありますか?
海老澤:そうですね。あらためてになりますが、当時一緒に仕事をしていた方々に感謝しています。私が今ここにいるのは、イーエージェンシーでの経験のおかげです。確かに、過程の中でいろいろな問題がありましたが、今となってはどれも良い思い出です。イーエージェンシーという会社は私の成長にとって重要だったと思います。
甲斐:私も海老澤さんと働けて本当にうれしかったです。「た」じゃないですね。これからもですね。
今後もよろしくお願いします。
坂口:今日の対談はここまでとさせていただきます。みなさん、いかがでしたか?また次回もたくさんの話題で盛り上がることを期待しています。それでは、次回もお楽しみに。ありがとうございます。
甲斐:みなさん、さようなら〜
▼今回Facebookライブで対談を始めてみた実感を、甲斐がコラムにしていますので、ぜひご覧ください。
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