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教員にとっての自己成長とイチローの教え

「努力」とか「根性」という言葉が不人気どころか死語に思えるようになったご時世に、日米の野球界で偉業を成し遂げたイチローは、若者に向けてYoutube等でイチロー流のメッセージを伝えています。コツコツ努力をするということが流行らない時代のアンチテーゼのような内容です。

今回は、イチローさんの捉える「自己肯定感」を話題にしてみようと思います。


1. イチローの自己肯定感に対する考え方

イチローという名前を聞くと、多くの人がその謙虚さや強靭なメンタルを思い浮かべることでしょう。
イチローの考える自己肯定感についての言葉は、私たち教員にとっても大いに参考になります。特に、若手の先生方にとっては、少々刺激的なものになるとのではないかと思います。そんなことを書き綴ってみました。

2. 自己肯定感の現代的な意義と課題

「自己肯定感」というのは、最近の教育業界の流行語みたいなもので、至る所で耳にします。教員採用試験を受験する学生たちも面接の練習でも頻繁に口にします。

確かに人の成長にとって、「自己肯定感」は、非常に重要なものである事は間違いなく本質的には、教育においても、人々にとっても重要であり、否定されるべきではありません。しかし、この「自己肯定感」という言葉に対するイチローの考え方は大変興味深いものです。イチローは、自分を肯定することに相当な抵抗を感じていると言います。しかも、自己肯定感という言葉を自身で使ったことがないそうです。「自己肯定感」を気持ち悪い言葉だとまで言ってのけます。こう言われると反発したくなるような気分にもなる人もいるかもしれませんよね。

イチローは、自己肯定感の代わりに、自分の行動や考えに常に疑問符をつけ、「果たして、自分の行いは正しかったのだろうか」というように、常に自己を振り返ることで自己成長につなげようと努めているのです。この考え方は、私たち教員にとってもとても重要な気がします。

3. 教員としての自己反省と成長の必要性


私たち教員も自己成長を促進するために、常に自己評価を行うことは子供たちにもその大切さを話していることです。
若手教員にとっても未熟な部分や改善点を見つけ出し、それに向き合うことは大変意義深いものです。なぜなら、いかに教員としてのセンスがあったとしても経験の蓄積には及ばないことは数多あるからです。

自分に自信を持ちすぎて、あまりにも自己肯定感が強く、やっていることをむやみに肯定しすぎてしまうと、自分の行動や考えに疑問を持つことが難しくなり、成長の機会を逃してしまう恐れが生まれます。

やはり自分の行動や考えに対して疑問を投げかけ、常に改善の余地を探る姿勢が、自分自身の成長につながるのです。未熟な部分や改善点を見つけ出し、それに向き合うことが、私たちがより良い教師になるための第一歩なのだということをイチローの自己肯定感に対する考えが教えてくれるように思います。

4. 自己肯定感の強さとその弊害

イチローはまた、自己肯定感の強い人が「ストレスフリーで楽しそうに仕事している」というイメージにも疑問を投げかけます。
そのことを指して、「それってどうなんですかね? いいなあって思うけど、その人たちは、人としての厚みが生まれるんだろうか」「自己肯定感の強い人たちが、おそらく今の風潮では否定されないじゃないですか。明かにダメなのに否定されない。ということは、自分でも振り返らない、良いことしか考えない。第三者からも厳しい言葉を言われない。人間は基本的に弱い生き物なので、僕は堕落すると思いますけどね」と言います。

5. イチローから学ぶ、教師の在り方

そして、こんな風にまとめています。「人が最悪になるときって、自分が偉いと思ったとき」「最悪っていうか、魅力的じゃない。そんな人が生まれるんじゃないかって思います」

つまり、自己肯定感が強い人が常に良いことしか考えず、何でもかんでもポジティブに捉えるような習性になり、第三者からの厳しい意見を受け入れないとしたら、成長の機会を逃している可能性も生じてしまうということです。このことは、私たち教員にとっても重要な警告になり得ます。

特に、子供という自分たちよりも目下の人を相手にする教師は、このことを意識しすぎるということはありません。教師としての成長は、自己肯定感の強さだけでなく、謙虚さと自己反省の姿勢から生まれるものだということを改めて感じさせられます。

自己肯定感という言葉にとらわれることなく、常に謙虚さを持ち、自らを問い続け、改善の余地を見出そうとする姿勢、見つめ直す努力を惜しまないことが、私たち教員にとって重要なことであり、自分を磨くための第一歩なのでしょう。

眼光鋭いイチロー選手の目の奥に秘められた強靭な思いの一端を見る気がします。

こちらが、参考動画です。教員を志す学生と見たら、こんな風に考えるんだぁ〜と呟いていたのが印象的でした。

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