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【みちらん14】スコットランドの空気感に包まれて ~みちのく潮風トレイル 八戸市ルート~

みちのく潮風トレイルは、青森県から福島県まで約1000kmの東北太平洋岸自然歩道の愛称です。東日本大震災の被災地の復興と観光PRにつなげようと設定されました。

八戸市ルートはその北端の出発点にあたります。

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初夏になると、蕪島には繁殖期を迎えたウミネコが集結します。写真の白い点に見えるのが全部そう。信じがたい数です。

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参道の石段を上る途中、気が立ったウミネコの手荒い洗礼を受けることもあります。

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ふだん大人しいウミネコは風見鶏よろしく、皆同じ方向を向いています。

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蕪島神社を参拝した後は、葦毛崎展望台に向かいます。ここには旧日本軍の施設があったそうですが、どことなく中世ヨーロッパの城郭にも見えます。

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海岸線に沿って、種差海岸を目指し歩きましょう。この道は東山魁夷の「道(昭和25年作)」の題材となったことでも知られています。

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種差海岸に到着です。この時期はやませの影響でスッキリ晴れる日は多くはありません。垂れ込めた雲のすき間から、鈍い日差しがかつて南部駒が放牧されていたという芝生地を照らしていました。その光景は、どこか異国の辺境の地を訪れたかのようです。
その時私が空想していたのは、ガイドブックで見たスコットランドのアイラ島の海辺に建つウィスキー醸造所でした。

聖地巡礼
noteに書いてから一年後、村上春樹のウィスキーに関する紀行文に出会いました。旅先はスコットランドの小島アイラ島。「海藻香」と呼ばれる独特の風味のウィスキーの生産地として知られる島です。

レストランで生牡蠣の皿と一緒にダブルのシングルモルトを注文し、殻の中の牡蠣にとくとくと垂らし、そのまま口に運ぶ。うーん。いや、これがたまらなくうまい。牡蠣の潮くささとアイラ・ウイスキーのあの個性的な、海霧のような煙っぽさが、口の中でとろりと和合するのだ。どちらが寄るでもなく、どちらが受けるでもなく、そう、まるで伝説のトリスタンとイゾルデのように。
村上春樹「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」

ハルキストではなく教養もない私には、最後の比喩が比喩にならなかったのが残念でしたが、それでも旅の魅力は十分に伝わってきます。
私も一度生牡蠣とアイラウイスキーの妙を試してみたいと思いました。この島の空気感が家で再現されることを期待して。

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青森県八戸市
距離:8km 鮫駅~種差海岸駅
[星の数] ★★★(そのために旅行する価値があり、後世に伝えたいみち) 

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