ノンデザイナー向けプロダクトデザイン書籍~その1デザイン家電は、なぜ「四角くて、モノトーン」なのか?~
ハウトゥばっかってのもアレですし、せっかくだからよりプロダクトデザイナーを知ってもらうために、僕の読んだ本の中でもノンデザイナーさんにオススメな一冊を紹介しようと思います。
■デザイン家電は、なぜ「四角くて、モノトーン」なのか?
(画像はAmazonさんから引用 リンクはAmazonへ飛びます)
■デザインにはルールが有る
この本はありがたいかな、デザインにはルールがあって、読み方があるということをきちんと話してくれている本です。
デザイナーが作るものってどうもツルツルピカピカだったり、モノリスみたいにカックカクだったりと、なんか奇をてらってるように見えがちですが、それには深いわけがあるんだよということを解説してくれています。
この一冊で、意外とモダンデザインの歴史をざっと概観できるところも僕が本書を推す理由の一つです。
■カジュアルで読みやすい文体
この本では歴史的な流行などをサラッとした文体で書いてあり、玄人向けの重い部分がないところが気に入っています。
経験上デザイナーさんの本は、結構な確率でスピリチュアル一歩手前の神秘主義的な話か、すごい主張の強い文のどちらかに分かれるきらいがあって、読んでるといろいろサムい部分がどうしても出てきやすいのですが、この本はその点では冷静かつカジュアルにデザインに触れてくれています。
■超引用が多い!!
この本の最大の特徴は、文体もさることながら凄まじい数の引用があることです。しかもその引用が写真付きのプロダクトの引用なのですごく親切。
作家とその作品を引用付きでたくさん載せてくれているので、読了後もググったり、ちょっとウンチク話したりするのにももってこいです。
ノンデザイナーさんや、初心者向けの所以はここです。この本を入口にプロダクトの世界を検索する感じで使うと便利だと思います。
(画像:http://www.craftsdgn.comさんより引用)
上の写真は引用されていた物の中でも、すごく好きなオリベッティのタイプライタ「バレンタイン」です。
エットレ・ソットサスというデザイナーさんの作品で、この人らしからぬ真面目にかっこいいアイテムです。イタリア人らしいメリハリの効いた面構成がキレてますね。それこそ、金型の話ではないですが、こんなバッサリした形はなかなか作りにくいのです。本体は板金かもしれないけど。(板金なら意外と可能)
■センス?なにそれおいしいの?
ここからは僕の感想です。
この本の好きな部分は「デザイン」は特別なことではなく、ルールを理解すれば誰でも解読出来て、ともすれば再現もできる知識であるということをベースに書かれているところです。
加えて、初心者向けに書いてはいるものの、プロダクトデザイナーが読んでも読み応えのある結構ガチな知識もちらほら載せてくれています。
また、若手デザイナーに過去の名作を網羅するのにも役立つかもしれません。
僕が日頃から考えていることなのですが、デザインとはセンスを元に行う神秘的なものではないと思うのです。
そもそもセンスという概念すら僕は信じていません。せいぜいが、経験してきた事例の総合と言ったところでしょう。
説明しにくいから「センス」という言葉で短絡しているのか、もしくは、自身(または他者)を神秘的で特別な何かに見せたい人が、宣伝のために作り出した虚像に過ぎないと思っています。
特殊な物のように見せれば、他の人とやってること同じでもお仕事来ますからね。
そういう意味で「デザイン」とはオカルティックなセンスを持った選民の技術ではなく、日々を生きるすべての人に開かれたものだと僕は思っています。
こういう感じにちょっとアレになっちゃうエッセンスが詰まった魅力的な本です。
ぜひ皆さんも手にとって見てください。
では、本日はここまでで、おやすみですー。
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