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あんみつ

とても美味しい抹茶あんみつを食べたという記憶があって、だからまた食べに行こうと思いながら、先日やっと行くことができた。

席へ座ってメニューを開くと、最初のページにかき氷の名前が並んでいた。ああ、夏になったんだ。眺めていると、種から育てたという柚子のシロップにミルクを合わせたものが気になった。そのお店ではかき氷を注文する人が多かった。私はまだ一度も食べていなかった。迷う瞬間と過ぎる不安。それは、やっぱり抹茶あんみつを食べれば良かったと思うこと。だから、潔く、注文を。

おかげで、抹茶あんみつを楽しんだ。後悔もしていなかった。でも、以前より感動が落ち着いていた。感覚は変わっていく。美味しいという記憶も、その時々の条件が重なり成り立っていくものなのかもしれない。初めて食べることや、体調や気持ちや季節、それまでの食体験。上書きはしなくても良いのかもしれない。なぜなら、当時の記憶を私は幸せなものとして仕舞っていた。そしてそこから幸せの感情を感じていた。そんな在り方があっても良い。

柚子の黄色が浮かんだ。目の前には綺麗な抹茶色のコントラスト。次に同じようなことがあったなら、迷わず新しい選択をしよう。幸せの記憶をそのまま、新しい体験もできるなら、それはとても嬉しいこと。何かをきっと手放した。世界が広がるのがわかった。軽くなるのがわかった。






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