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ゆるっと余白

編み物をしていると、力加減の大切さにあらためて気がつく。ちょうど良い力の加減は、糸が持つふんわりとした膨らみが生かされて、編み目に自然な凹凸が浮かび上がる。それは何とも言えない美しさ。よく見ると、それは糸だけでなく隙間にある余白との絶妙なバランスで成り立っていることがわかる。
余白と網目。どちらもが大切で、それが調和したとき美しい一枚が出来上がる。

また、完璧を求めると、何度も解いて編み直したくなる。それは『できない』という意識を刻むのか、思い現実が引き寄せられてくるよう。だから妥協しながら進めることの大切さも実感する。進めることで技術は自然と向上する。作品もやがて形になる。急ぎたくなる気持ちは、糸が持つ感触や編み上がっていく模様の美しさへと戻して、作る過程も創作の醍醐味だったと確認をする。

何かをしていると得る気づきは。いつも日常の事柄と重なっていく。ゆるさとしっかりと。そのバランスは人との関係においてもとても大切で、個性を生かし合いながら、理想と妥協に折り合いをつけ、自己表現の強さと寛容に受け入れるゆるさと、そして何より今を楽しむこと。

あぁと、またゆるさを受け入れた午後。気持ちが解放されたのか、溢れだした笑顔。それは在りたかった世界の要素を思い出した瞬間でもある。自分を許すことができたとき、他者にも優しくなれるのは本当にいつも嬉しいご褒美のよう。なぜなら、どちらも欠かせない存在で、これからもずっと大切だから。




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