イーフー・トゥアン「トポフィリア-人間と環境」(1992)

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"文化は、存在しない物を人に見させてしまうほど、知覚に影響を与えることができるだろうか。"(p.108)

トポフィリアとは著者の造語で、人と場所(環境)との情緒的な結びつきや愛着を意味する言葉。地理学や文化人類学の領域において、人間は環境に対して「主体的に解釈し、関わっていく」存在であることを示した大著。

そこに記述されているのは、時間と空間を超えた膨大な事例の記述。それぞれはまるで詩のように私たちに思索を投げかけてきます。

その論は生物学者・ユクスキュルが唱えた「環世界(=umwelt)」や、ブルーノ・ラトゥールが投げかける「アクターネットワーク理論」とも近接しながら、多様な視点で人々が環境と関わり合ってきたことを示しています。

"小道は、見えなくなっても、まだそこにあるのだ。なぜなら私はそのすべてを見ることができるのだから。"(p110・グランドキャニオンに住むホピ族との対話)
"その代わりに、彼らにはすべてを支えている森がある。それは、彼らにとって最も密接な自己同一視の対象なのだ。(中略)ピグミーは森の中で一人で踊ることがあるー森とともに。"(p.140・雨林環境に生きるピグミーに関する記述)
"俺にとっちゃあ、俺の土地はいつもそこにあって、俺を待っているんだ。そいつは俺の一部分で、俺のうんと内側にあるんだ。そいつは俺の腕や脚と同じくらい自分自身なんだ"(p.167・アメリカ南部の自作農民との対話)

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以前、トポフィリアを引きながらこんな文章を書いてたり。

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19/11/18
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