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【祝・生誕187年】グレース・ヒバード アメリカを西漸・横断した女性詩人

皆様、ごきげんよう。弾青娥だんせいがです。

女性詩人ローレンス・ホープの翻訳を数々投稿する日々が続いております。が、そのなかで、著作が和訳されていない英語圏の女性詩人を新たに探してみたいと思い、徒然なるままにWikipediaで探してみたところ、幸運にも、グレース・ヒバード(Grace Hibbard)という女性詩人を知るにいたりました。

グレース・ヒバード(1835-1911)

その著作をInternet Archiveでささっと読んでみたところ、作品も魅力的に感じられたため、その魅力の一端を一人でも多くの方に伝えるべく、以下の記事をもって和訳を試み始めた次第です。

さてさて、以下から、今回の主題であるグレース・ヒバードの生涯を簡潔に紹介いたします。


グレース・ヒバード ~生涯~

グレース・ヒバード(旧姓ポーター)という名で詩壇で活躍することになる人物が生まれたのは、1835年頃のアメリカ東海岸のマサチューセッツ州のボストン郊外のことでした。

幼少期はニューイングランドで過ごし、マサチューセッツ州で聖職者として勤める父から、子どもの時に英語のアルファベットを学ぶ前にヘブライ語とギリシャ語のアルファベットを学びます。やがて、ボストン近くの女子校に入学します。卒業から間もなくして、家族はシカゴに居を移すも、それからすぐに、父を亡くします。

その後、1824年の創立からマサチューセッツ州のスプリングフィールドを拠点とする新聞『リパブリカン』に作品が掲載され、作家デビューを果たします。爾来、アメリカの著名な雑誌や新聞の数々に寄稿します。

『スプリングフィールド・リパブリカン』のビル(1875年)

私生活では、エドミンスター中尉と結婚し、30代半ばになった1869年頃には息子を授かります。ところが、それから約10年後にあたる1881年の前後に夫と死別します。

次に、バーモント州のウィンザーに住居を定めますが、1888年12月24日にコロラド州のコロラドスプリングスで、ウィリアム・W・ヒバード博士と再婚します。この男性はコロラド州のデンバーで名を成す医師で、夫婦はデンバーに住み家を構えるようになります(息子もデンバーに暮らすようになります。こうして、グレース・ヒバードの大いなる西進が果たされます。

あいにく、二回目の結婚生活は幸せなものでなく、5年ほどで離婚にいたります。グレース・ヒバードは、遅くとも1893年の4月までにサンフランシスコに移住し、アメリカの西海岸に到達することになります。そして、この頃にWild Poppiesという単行本を初刊行します。

しかしながら、1893年という1年はこの作家にとって悲しみをももたらします――この年の5月18日、唯一の子どもである息子をわずか24歳で肺炎で亡くしてしまいます。

グレース・ヒバードのサンフランシスコでの生活は、1906年4月の同市を襲った地震に伴う火災の影響を受けるまで続きます(後に、サンフランシスコより南に200kmほど離れたカーメル・バイ・ザ・シーに引っ越します)。

地震後、火災に見舞われたサンフランシスコ市街(1906年)

サンフランシスコに暮らしている間に、California violets(1902年)、Wild roses of California(1902年)、An Easter song(1903年)といった著作を発表します。

一方、サンフランシスコを舞台にした「バマーとラザラス」という短編がドイツ語に訳され、ドイツ語で発行される有力紙の一つに載せられます。

そして、グレース・ヒバードは最晩年にあたる4年間を、およそ10km北に位置するパシフィック・グローブで過ごします。同地にある芸術村の一員になり、パシフィック・コースト女性出版協会の一員としても名を連ねました。

1911年2月28日、グレース・ヒバードは心臓病により没します。76歳でした。地元紙の『サンフランシスコ・エグザミナー』の記事によると、本人の希望でサンフランシスコに移らせてもらい、その最期を友人たちが見届けたとのことです。



Wikipediaがまとめたところによれば、"The Engineer's Daughter"と"Waiting for Colin"という詩が最も著名な作品だとされているようです。

それらも含めた作品の和訳も、いつか紹介できればと思います。私が現在完了進行形で愛するファンタジー作家ロード・ダンセイニ詩人ローレンス・ホープ、いわくつきのインド神話の「翻訳」者であるF・W・ベインの場合と同様に、グレース・ヒバードの作品とその素晴らしさが一人でも多くの方に伝わるサポートがこの私にできれば幸甚な限りです。


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