【翻訳】詩人グレース・ヒバード その1 ~異教の少女、太陽に祈る~
異教の少女、太陽に祈る
A Pagan Girl's Prayer to the Sun
(紀元前500年のこと)
太陽よ、我が民が幾年も崇めてきた御神よ。
今や海に沈みそうになるも
空にとどまる赤き火の球、
そのままであらんことを、我が祈りをお聞きになるために。
闇の地を光で照らし、
花、虹に色彩をもたらし、
あふれんばかりの光で
蓮の杯を充たされるお方よ、我が悲しみを聞きたまえ。
輝ける太陽よ、我のもとを去りーー波に沈んでしまわれた。
貴方の血が西の天空を染め、
赤が海を彩りつづけるーー
我が悲しみを耳になさらず、我が叫びにお答えなさらぬままに。
このほど、紹介したのは、グレース・ヒバード(1835-1911)というアメリカの女性詩人が1893年の詩集Wild poppiesに収めた作品です。原文は、次のInternet Archiveのリンクから確認できます。
なお、こちらの詩は1902年に刊行された詩集California violetsと1907年の詩集Forget-me-nots from Californiaにも収められています。これら2冊においては、締めの言葉がmy cryからmy prayerに改められています。また、この2冊のものを比較すると、前者では詩の第一連と第二連のラスト、そして第三連の二行目の締めがピリオドであるのに対し、後者では感嘆符で締めくくられています。こうしたことから、グレース・ヒバードが自身の詩に対する推敲を継続的に行う人物であったのが垣間見えます。
ゆえに、1907年のForget-me-nots from Californiaに収められたものは次のように和訳できるでしょう。
異教の少女、太陽に祈る
A Pagan Girl's Prayer to the Sun
(紀元前500年のこと)
太陽よ、我が民が幾年も崇めてきた御神よ。
今や海に沈みそうになるも
空にとどまる赤き火の球、
そのままであらんことを、どうか我が祈りをお聞きになるため。
闇の地を光で照らし、
花、虹に色彩をもたらし、
あふれんばかりの光で
蓮の杯を充たされるお方よ、どうか我が悲しみを聞きたまえ。
輝ける太陽よ、我のもとを去りーー波に沈んでしまわれるとは。
貴方の血が西の天空を染め、
赤が海を彩りつづけるーー
我が悲しみを耳になさらず、我が祈りにお答えなさらぬまま。
今回、訳した詩以外にも、東洋を、あるいは西洋ではない不可思議な地を思わせる作品も確認できるので、グレース・ヒバードの詩の翻訳はそういった要素を含んだ作品を中心に進めていくかもしれません。
なお、こちらの詩人の少し詳しい経歴については、次の記事でまとめております。よろしくお願いいたします。
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