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【翻訳】詩人ローレンス・ホープ その41

ラーメーシュワラム寺院の娘の唄
Song of Ramesram Temple Girl

今こそ我が青春の時
それは常ならず
亭主様、貴方も若うございます
貴方の喜びを分かち合いましょう
我が髪が雨粒のようにまっすぐ
朝霧のように細かければ、
私は誰にも触られず、唇を奪われぬまま
貴方を待つ薔薇です

貴方のお望みのままに、この青春と私を
最愛の者よ、祈っております
貴方の青春のさそいに従いましょう
一刻をも無駄にせず!

大枝のうえを舞い
刹那に消え去る一葉ーー
泉のしぶきの最中のあぶく
動きを止めて考えなさい
青春も、その束の間に咲く華もすさまじいゆえに
この刻も貴方を待つのです
貴方の心が少しでも私に傾くならば
身をかがめ、貴方の花を摘みましょう!

愛しいお方、さあ、つめたい湧水の飛び散る
寺院の陰へ来ましょう
貴方の心が愛に傾くならば
一刻をも無駄にせず!

私の恋心を前にして数多あまたが卒倒するでしょう
彼らの渇きを私が癒しましょう
さて、〈運命〉が貴方をこの日に連れてきました
貴方を超える者がいないこの場所に
寺院の壁はどれも古びていますが
それよりも年老いているのは〈愛〉
けれども、私はこの日の貴方のために花開く
寺院の短命なる薔薇です

王子よ、私はまさに貴方のものです
これ以上言うべきことがありましょうか
貴方の心が愛に傾くならば
一刻をも無駄にせず!


今回、紹介いたしましたのは、女性詩人ローレンス・ホープの没後に発表された詩集Last Poems(1905年)所収の作品でした。原文はこちらのリンクより確認できます。

原題ではラーメーシュラム(Ramesram)という表記になっています。が、この名称は、ローレンス・ホープが生前に足を運んだこともある、インド南部のラーメーシュワラム(Rameswaram)ーーインドの代表的な叙事詩の一つである『ラーマーヤナ』において、ランカー島に渡る橋が架けられた地でありますーーだと推測されます。

ちなみに、この詩を詠んだ作者の経歴に関しては、以下の記事でまとめております。こちらの記事もご閲覧のほど、よろしくお願いいたします。


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