2拠点生活のススメ|第61回|自分へのご褒美
毎朝モーニングページを書き出して12週間が経過。「ずっとやりたかったことをやりなさい」という本の創造性回復プログラムの全課程を修了した。
毎朝、起き抜けにA4ノート3ページに渡って、自分の今思っていることを書き連ねる。日記のように起こった出来事を記すのとは違い、最初は何を書いたらいいのか。ノートが果てしない白い荒野のように感じた。
数行書いては止まり、また数行書いては思いを巡らせる、そんな繰り返しで、たかだか3ページの文章を書くのに2時間近くかかることもあった。
ガッツリ自分と向き合うことになるので、ネガティブなこともいっぱい出てくる。辛い、しんどい、面倒くさい、もう辞めようかと何度も思った。
それでもこうして休まず続けて来れたのは、行為そのものが習慣化したということもあるが、そこに万年筆という存在があったことも大きかった。
kakunoという万年筆との出会い
このペンはたまたま、ロフトをうろついていたときに見つけたkakunoという初心者向けの万年筆。カラーも豊富でカタチもシンプル。試し書きしてみると、ちゃんと万年筆の書き心地もあり、1000円という価格にも惹かれて買ったものだった。
久しぶりに手にした万年筆、ノートを染めていくインクの雰囲気や手に伝わる感触、ペン先がノートを走るカリカリという音。カートリッジインクを何本も交換していく中で、どんどん愛着が増していった。
金ペンへの憧れ
そしていつからか、もし1日も休むこと無く12週間達成することができたら、ご褒美としてちゃんとした万年筆を自分に買ってやろうと思い始めた。
10週を越えた当たりから、ネットでいろんな万年筆をみるのが日々の楽しみになった。調べていく中で、万年筆の善し悪しは、ペン先によって大きく変わることを知る。
私が使っていたkakunoは、ペン先がステンレススティール製。高価な万年筆にはペン先に金が使われている。
金は柔らかく、独特のしなりが書き味を大きく左右する。だから力の入れ具合によって、太くも細くもコントロールでき、書道で言うところの止めや払いも表現できる。
そうして金ペンへの憧れはどんどん膨らんでいった。
セイラーとの出会い
そんな中、日本のセイラーというメーカーが21kの万年筆を製造していることを知る。ネットでの評判を見ると、世界一の書き心地と海外でも絶賛されていることを知り、セイラー一本に狙いを定めた。
1911年創業の老舗セイラー、調べれば調べるほど魅力を感じた。そして何より驚いたのはその種類。定番のものだけでもかなりの種類があるのだが、限定やコラボ製品など、悩みがより深くなっていく。
そんな中、趣味の文具箱という雑誌とのコラボで販売されていた、プロフェッショナルギアという万年筆に心奪われた。
スケルトンのボディにターコイズカラーがあしらわれており、その美しさに心が躍った。本当は、店頭で見て触れて、試し書きもしたかったのだが、コロナ禍ということもあり、悩んだ末に我慢できず、ポチッてしまった。
待つこと4日、ようやく今日手元に届いた。インクもずっと憧れていた「蒼墨」というブルーブラックの顔料インクを装着。
なんという、なめらかな書き心地。しっかりとした重さもアリ、力をほとんど入れなくても滑るように文字が描かれていく。
まだほんの少し字を書いただけだけど、すでにノックアウトされてしまいました。
12週間のプログラムは終了したけれど、これからもモーニングノートは続けていくつもり。そのモチベーションが一気に高まりました。
インクの補充や、ペン先の洗浄などの手間も掛かるけど、この手間がまた愛おしい
簡単・便利ばかりが持てはやされる世の中で、万年筆の素晴らしさに気づけたことは、大げさでも何でもなく、これからの人生の指針となる気がしています。
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