マイナースポーツの”メジャー化”とは何か?~ソフトテニス界への3つの提言~
福田ダイスケです。
職業柄、マイナースポーツの”普及”や”メジャー化”といったワードをよく耳にします。それらについて「モヤモヤ」していたので、思考の整理として #note にまとめてみることにしました。
(モヤモヤの要因)
・スポーツの「普及」や「メジャー化」って何?
・単にテレビに映ること?
・プロリーグができること?
・人口が増えること?
↓
曖昧すぎないか??(モヤモヤ・・)
モヤモヤを解くには図を活用することが一番です。
図を使って思考を整理していく中で、「メジャーかどうか」を計測するための指標があるとよいのではないかと考えつきました。(”メジャー度”)
”マイナー”であろうと”メジャー”であろうと、様々なスポーツ競技に関わる多くの方に、考えるヒントにしていただける内容になっています。
また、私は「ソフトテニス・オンライン」というWeb媒体を17年前に立ち上げ、編集長をしていることもあり、特にソフトテニス(軟式テニス)というスポーツには個人的に思い入れがあります。
後半では、特にソフトテニス界に「提言」したいことをまとめました。
私の意見が”正解”だとは思っていません。ぜひ多くの方に見ていただいて、議論のたたきしていただければと思います。
”普及”や”メジャーである"とは何か?
スポーツとして「普及」や「メジャー化」を目指すといったワードはよく聞かれます。しかし、それらは定義づけされているでしょうか?
ある程度の定義付けがなければ、具体的なアクションもできませんし、施策を振り返ること、改善することもできません。
スポーツですので「プレーしている人口」は指標になりそうです。また、フィギュアスケートのように、実際にはプレーしなくても「知っている」「よくテレビで見る」という競技はあります。
この2軸でマトリクスを作ってみました。
認知度が高く、競技人口が多い(右上の)競技が”メジャー”であると定義はできそうです。
しかし、単に「知っている」ことと「わざわざ見に来るファンがいる」ことは異なるように思いました。カバディというスポーツを知っていても、大半の人は「ファン」ではないでしょう。
縦軸を「見る人(ファン)」にしてみました。
「見る人(ファン)」が多くて「やる人」も多い競技がメジャー競技である。
このほうが、しっくりきます。
実際に競技をプロットしてみました。
ファンは多いけれども、実際にやる人は少ない競技としては「フィギュアスケート」や「相撲」があります。
また、幼児から高齢者までスイミング教室などで「やる人」はものすごく多いけれども、ファンは少ない競技として「水泳」があります。
野球・サッカーはいわずもがな、です。
メジャーであることを図る指標
「見る人」×「やる人」。
この2つの指標を掛け算した総面積が、そのスポーツがメジャーであるかどうかの指標にしてみることにします。
そうすれば、単に「メジャーか」「マイナーか」という2元論から脱却して具体的な話ができるからです。
「見る人」×「やる人」 = メジャー度
2つの道
では、マイナースポーツは具体的に何をしたらよいのでしょうか。
一足飛びに「メジャー」の箱に飛び移れれば誰も苦労しません。
総面積を増やせば”メジャー”に近づけますので、考えられるのは「やる人」を増やすか「見る人」を増やすのかどちらか、もしくは両方になります。
「やる人」を増やすには、どんな施策があるでしょうか。
・部活動への支援
・スクールの運営支援
・学校体育化
などの打ち手が考えられます。
「見る人(ファン)」を増やすにはどんな施策が考えられるでしょうか。
・プロ化
・五輪種目化
・TV番組化
などの打ち手が考えられます。
バレーボールやバスケットボールなどはこの手で”メジャー度”を増加させたはずです。
ソフトテニスはマイナースポーツか?
では、ソフトテニス(軟式テニス)はどうするべきでしょうか?
そもそも、ソフトテニスがマイナースポーツかどうか、については議論があると思います。
・中学生のスポーツで競技人口No.1(+)
・しかし高校以降では急激に減少(ー)
・ファンが少ない(ー)
・生涯スポーツとして続けている人は多い(+)
以下のようにやや特殊な競技で「メジャーとは言えないが完全にマイナーでもない競技」だと言えます。
そこで、競技を仕分けするマトリクスにタテヨコにもう1本づつ線を引いてソフトテニスをプロットしてみました。
・「ファンの数」はバドミントンや卓球よりは少ない
・「やる人」は水泳には及ばないが多い
というポジショニングにいったん置いてみいます。
(プロット場所については議論があると思います)
ソフトテニスが目指す”ポジションニング”
ではソフトテニスがメジャー度を上げるにはどうしたらよいでしょうか?
私は「やる人」を維持しつつ「ファン」を増やし、バドミントンや卓球のような立ち位置をまずは目指すべきだと考えます。
その理由は後述します。
ソフトテニスが”メジャー度”を上げるには?
ソフトテニスのポジションニングが確認できたところで、ソフトテニスの”メジャー度”面積を上げる施策を考えていきます。
メジャーかどうかは、見る人×やる人の総面積の大きさと定義しました。
ではソフトテニスの総面積を上げる方法はどんな方法が考えられるでしょうか?
「見る人(ファン)」を増やすか、「やる人」を増やす、もしくはその両方です。
まず、「やる人を増やす」という方向性です。
この方向性については現実的には「増やす」ことは相当ハードルが高いでしょう。なぜなら、基本的な分母となる日本の総人口が減少しているからです。
よって、現実的な目標は「減らさない」か「減少幅を低く抑える」のどちらかになります。
具体的には、高校で辞めさせない、大人になって再開できる、部活以外のスクールなどの受け皿を支援する、などの施策になってくると思います。
次に「見る人(ファン)を増やす」方向性です。
人が何かの「ファン」になるのはどんな時でしょうか。私は、”あこがれ”の存在がファンの醸成に寄与すると思っています。
西武ライオンズの源田選手の守備が大好きだ・・
僕も野球をやってみたい・・!
具体的には、実業団選手やプロ宣言をした選手、著名YouTuberへの連盟や企業からの有形無形の支援が必要と考えます。
”あこがれの存在”になってもらうには、「強くなる」以外にもノウハウがあるはずです。
そのノウハウをソフトテニスの実業団選手やプロ、Youtuberたちに提供し、支援し続けるのです。
また、選手があこがれの存在として輝いて見える、ファンから見てそう見えるような、ファン1stの試合運営(演出)も重要でしょう。
2つの施策の連動性が重要
・「やる人」を増やす
・「見る人(ファン)」を増やす
この2つの施策は実際には「どちらかだけ」ではなく「同時」に行われます。しかし、この2つはソフトテニスに限らず、競技連盟等の中でも連動性が欠けていることが多いです。
この2施策は波及効果を発揮するような形で行われることが”不可欠”です。そうしなければ一過性の施策に終わり、「総面積」は増えません。
具体的なイメージとしては、
「あこがれの醸成」が達成できそうな活動をするプロ選手/YouTuberへの支援、などです。
ソフトテニス界への3つの提言
ここまでの話のまとめ的な内容になりますが、ソフトテニス界への提言としてまとめました。
ソフトテニス界への3つの提言:
①メジャー度指数を増やす連動性のある施策の実行
②メジャー度の総面積を客観的な「数値」にしKPI改善をサイクル化
③上記可能なビジネス経験のあるプロフェッショナル人材の登用と継続支援
① 連動性のある施策の重要性
先述の通り、「ファン化」と「競技人口増加」の連動性のある施策の実行が重要です。
② 数値目標に落とし込む
メジャー度の総面積を客観的な「数値」に落とし込み、KPIの状況把握、改善をサイクル化します。結局、この手の施策は短期では結果は出ません。数値を追いつつ継続的にコミットしていくことが大事になります。
③ ビジネス経験のあるプロフェッショナル人材の登用と継続支援
そして、①②を継続実行するにはビジネスプラン立案からマーケティング施策の実施サイクルをまわしたことのあるプロ人材の登用が必須です。
そして、、最も欠かせないのはその競技(ソフトテニス)への愛、です。
ベンチマークする競技
そして、総競技人口を増やすことが難しい中では、目指すべきは「ファン」を増やし、ベンチマークとしてバドミントンもしくは卓球をターゲットとして”メジャー度”を増やしていくべきです。
いかがでしょうか。
ソフトテニス・オンラインとしても1メディアではありますが、ソフトテニスのために微力ながら力を発揮していこうと考えています。
この記事はあくまでも私の個人的な分析と意見であり、ぜひ様々な立場の方のご意見をこの #note のコメント欄やソフオンのTwitterに反応いただけるとありがたいです!
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