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自動運転は技術的に実現可能だけど、実装できない現実

自動運転は技術的に可能なのか、実際の交通社会で実装できるのか考察してみました。

自動運転は技術的に実現可能

自動運転は、技術的に実現可能だと言えます。
それは、飛行機のオートパイロットやテーマパークのアトラクションを見ればわかるでしょう。

例えば、テーマパークのアトラクション。
アトラクションには、ジェットコースタータイプのレールを走るもの、ゴンドラに乗って左右または水中にガイドがあるもの、レールもガイドもないけどプログラムされた通りに走るものなどがあります。

多くの人が想像する"一般道路における自動運転"に近いアトラクションは、"レールもガイドもないけど、プログラムされた通りに走る乗り物"といえるでしょう。

では、プログラムされた通りに走るアトラクションの条件を考えてみます。
・乗り降りする場所が決まっている
・乗り物に乗車しているときは乗り物から降りてはいけない
・基本的に人が立ち入ることがない(点検やメンテナンス時は乗り物を停止させる)
・トラブルがあった場合に停止または別の部分のみ稼働する
など…

プログラムされた通りに走る乗り物を自動運転車と捉えるのであれば、すでに実現しているということです。

つまり、技術的に自動運転は実現可能であるものの、さまざまな条件を満たした上で実装しているということになります。

一般道路で自動運転が実装できない理由

では、一般道路において自動運転が実現できない理由は何なのでしょうか。

自動運転の危険性などを考えてみます。
・万一の時に停まれない
・飛び出しなどに対応するのが難しい(急ブレーキで停まった場合、後続車に追突される危険がある)
・現在のカメラやレーダーなどの認識では路面標示が不明瞭の時の進路が不安定
・道路工事など突発的なトラブルに対応するのが難しい(ただし、IoTが進化・普及すれば解決する可能性が高い)
など…

ここに挙げた危険性以外にも、さまざまな要因によって、自動運転の実装ができていません。

自動運転に関する課題が解決すれば、一般道路での実装も可能だと思われます。しかし、現時点(2021年9月12日)で、一般道路における自動運転の実装はほぼ不可能だといえるでしょう。

自動運転を実現するためには何が必要なのか

一般道路での実装をするためには、どうしたらよいのでしょうか。
それは、「自動運転車に乗る人だけでなく、歩行者や自転車など交通社会に関わる人すべてがルールに従った運行や通行をする」ことが近道だといえるでしょう。

極端な例えになりますが、自動運転車を包丁に例えると分かりやすいかと思います。

包丁は、料理などに使うキッチン用品で、どこでも購入できます。用途は、野菜や肉などの食材を食べやすいサイズに切り分けるなどに使うことがほとんどです。
しかし、包丁の使い方を間違えれば、食材以外のものを切ったり、傷つけたりしてしまいます。もちろん、間違った使い方をするユーザーの責任はとてつもなく重いです。ただ、包丁という調理器具が調理以外にも使われてしまう危険性があることは、包丁を使う多くのユーザーが認識していることといえます。

では、包丁を自動運転車に置き換えたらどうなるでしょうか。

自動運転車を人の移動に使うのであれば、移動時間にエンタメを楽しんだり、仕事をする時間ができたりするため、時間の有効活用に繋がります。
しかし、自動運転車に関する知識や理解がない人の社会に自動運転車を実装した場合、自動運転車の前に飛び出てしまったり、通行の妨げをしたりする可能性があります。すると、自動運転車が急停止して車内の人が怪我をしたり、移動時間が余計にかかったりすることがあるでしょう。場合によっては、人を巻き込む事故になる可能性もあります。
つまり、自動運転車を普及させるためには、自動運転車のユーザーだけでなく、自動運転車のユーザー以外の正しい理解が必要だということです。

まとめ

自動運転車の普及は、現在の交通社会では難しいといえます。
というのも、車道を横断する人、信号を無視して交差点を通行する自転車、一時停止をしない自動車など、本来のルールに則った交通社会が実現していないためです。

交通社会に関わる全ての人がルールを守り、危険性や機能・性能を正しく理解しなければ、自動運転が一般化することはないでしょう。

(個人的に不思議だなと思うのは、スポーツの世界では相互監視状態によって、ルール違反をしたときに厳しく指摘するのに、交通社会ではルール違反をすると"適度なルール違反は許容範囲"と認識してしまう人が多いということです。この認識が変わらない限り自動運転車は普及しないだろうと考えています。)

余談、「自動運転」という言葉の使い方

「自動運転」と聞くと、多くの人が"人が運転操作をしなくても車が自動で走ってくれる"というイメージを持つでしょう。

国土交通省のロードマップによると、現在の車の多くに装着されている"運転支援システム"は、自動運転レベル2に相当するものと表記されています。

つまり、運転支援システム装着車も"自動運転のシステムが装着されている"と言えてしまうのが現実です。

また、手放しできる"ハンズオフ機能"をCMなどで見ると、「自動運転が実現した」と思ってしまいます。実際には、一定の条件(条件はメーカーや車種、システムによって異なる)を満たしているときにのみ作動する運転支援システムです。
国土交通省の自動運転レベルに当てはめるとレベル2に相当する機能であるため、自動運転とは言えません。

多くの人が想像する"自動運転"は、国土交通省のロードマップのレベル5に相当するものです。
よって、安易に「自動運転」という表現は使わない方がよいのではないかと考えています。

※ここに表記した内容は、あくまでも個人的な見解です。

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