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展覧会レポ 吉田博没後70年

東京都美術館@上野 -20210328まで 大人1,600円
吉田博(1876-1950)

"何となく好きな色彩だな"と軽い気持ちで行ったら、木版に対するイメージを、衝撃的に変えてくれた素晴らしい展覧会だったので、レポします。

吉田博さんは黒田清輝さんと同時期に活躍した画家で、発表した作品は、元皇太子妃ダイアナさんやマッカーサー、精神科医のフロイト、アーティストのノラジョーンズなどに愛されています。

黒田清輝さんとは、かなり対立していたという事で、あまり日本では名前を知られていないかなと思うのですが、自ら営業に行ったアメリカで成功し、戦後に渡って特に絵画でも版画でも、画才に加え商才を発揮し、欧米で評価された方です。

吉田さんは、20代前半にデトロイトやボストンで美術展を開催し成功させます。
その後44歳になって、始めて木版に触れ合いました。版画の題材は、風景や花や鳥などの自然多く、光や雲や空気感がとても緻密に描かれています。本人が小さな頃から山に親しんでいた事から、山のスケッチを沢山描いており、山頂からの構図などは実体験を元に描かれているそうです。

心を落ち着かせる繊細な色合いは、見る人の心に寄り添います。また版画ならではの連作は、見ているだけでワクワクし、昼と夜、朝から夕方までの光の変化を、板木と色で表現し、全く違う風景を感じられるコトに面白さを感じました。

彼は、旅行が好きで題材を求めて色々なところに行きました。同行した息子さんによるとスケッチを描くのが早く、"午前一枚午後一枚と版画用のスケッチを1枚"書き上げるほど筆が早かったそうです。
下絵を描く彼と、木版を掘る彫り師と、色を乗せる摺り師の共同作業で作品を完成させます。彼のこだわりは、パートナーである彫師や摺師に技術の革新を求めます。浮世絵のイメージを軽々と超える作品は、作っていても楽しかっただろうなぁと思います。

とても、見応えのある展覧会なので、時間に余裕を持つ事をオススメします。
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