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コロナ下での病院の「カイゼン」

森下(仮)です。

ここ最近、キシが「カイゼン」について投稿してくれています。
すでに内容は聞いていたのですが、文字にしてみると改めて納得できることが多いです。

下の記事では、企業を対象として端的にカイゼンについてまとめてくれていますが、企業を病院へ、カイゼンを患者中心と言い換えるとそのままコロナ下で抱える病院の問題にあてはまります。

1. コロナ下で病院はどう変わったのか

これについてはテレビや雑誌で取り沙汰されているのでご存じの方も多いと思います。

主に昨年、私たち臨床で働く医師はさまざまなことの見直しを迫られました。

コロナって空気感染するの?エアロゾル??
となっていた頃は、なるべく外来の患者席と診察席を遠くに離して診察していました。N95やフェイスシールドをつけて遠くの患者さんとお話するのは大変でした。耳が遠い方の場合は全力で声を張り上げなければならず、声が枯れることもありました。

苦労は私たちだけではありません。患者さんも私たちに声を届けようと必死にお話しますから途中から疲れてしまい、伝えることを諦めてしまう方もいました。

次々と発表される情報をもとに右往左往しながら現場では今のスタイルへと収束していきました。

私たち現場は変化に合わせて変わっていきました。
ほとんどの病院で変わっていないことがあります。

それは患者さんおよびその家族への制限です。

いまなお「感染拡大防止」のために大事な家族にあう権利を奪われ続けています。昨年は敵が未知なものでしたから仕方がなかったのかもしれません。

もちろんコロナに感染している患者さんの面会は制限されるべきです。
私が問題視しているのはその他の患者さんたちです。

感染拡大防止は大切です。
現場にいる私はおそらく他職種の方よりもそう実感しています。

2. 変わらない病院、変われない病院

さまざまなお話を聞いているとどうやら「変わらない病院」と「変われない病院」があるようです。

現状、面会制限をして病院側(現場以外)が困ることはありません。
意地悪な見方をすれば家族が着替えを持参できないためレンタル代が発生しているかもしれません。

病院側(現場)が困らないから制限を緩和するようなことはしません。
たとえ患者さんや家族が困っていても「感染拡大防止にご協力を」といえば体裁が整うので変わる必要がありません。これは変わらない病院です。

一方、しっかりとゾーニングを行い、スクリーニングを行い面会制限を緩和したいと思っても病院設備や消毒薬の欠品のため変わることができない病院があります。これは変われない病院です。

結果はどちらも同じです。昨年から何も変わっていません。

3. これからの病院運営に差が出る

後者の変われない病院には思考の発展が生まれます。
感染を広げないような面会ができるための方法を考えます。

iPad、院内PHS、家族に防護具をきてもらう、事前にPCR検査を受けてもらう、などなど。院内掲示でアイディアを募った病院もあるようです。
病院が負担すること、家族に負担してもらうことなどを分けて考え制限下でも面会できる方法を考えていました。

そういった思考を個人で、あるいはチームで繰り返すことで患者さんに寄り添った発想が自然とできる癖が醸成されると思います。ときにその発想は現場と衝突することもありますが、建設的な意見交換の場となります。

しかし、変わらない病院の発想は今後さらに制限をかける方向に向います。

制限をすることでさまざまな患者サービスが不要となり、費用と時間が節約できます(具体的には院内コンサートや院内クリスマス会など)。それを楽だと感じてしまうと戻すためにはエネルギーが必要となります。
(毎日していたジョギングを再開するのは辛いものです。)
そういった先に生まれる発想は、さらなる制限の強化と拡大です。

「隠れて面会しないように」「院内売店の開店時間を短縮します」というのは変わらない病院でよく見られるチラシです。

変われない病院でのチラシは、「患者さんとお話するための方法はコチラ」「院内売店が短縮してしまうので○○と〇〇は入院生活で必要となるので事前に購入ください」となります。

どちららの病院にかかりたいでしょうか。
わたしは後者の病院で働きたいと思います。

病院は歴史にあぐらをかくのではなく、きちんと選ばれる時代になるべきだと思っています。
医療の質で選ぶことは当然ですが、病院間で違いはさほどありません。
症例数で見分けて選べばいいと思います。それはインターネットで容易に調べることが可能です。

いま求められているのは患者さんの立場にたって評価できる人材と評価軸なのかもかもしれません。

次回はこれに関係して下のキシの記事にあるPDCA、VUCA、OODAについて触れてみたいと思います。


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