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【お仕事妄想💭】企業と博士の双方が博士人材のレジリエンスを分かりあえたら、雇用創出に繋がるのかも?【博士号もちアラサー主婦の独り言。】

約1か月前に【お仕事妄想💭】と題して、「社会人と博士学生の双方に、博士人材のスキル・経験を発信すること」をしてみたいと書きました。

この記事に通ずるところもある、最近ふと思った【博士なお仕事妄想】その2について、今日は綴ってみようと思います。

~Dr. りけ子の簡単な経歴~
・国立大に入学し、学士で無機化学→修士から物理化学を専攻。
・ノリで博士進学して地獄を見るが、なんとか博士号(理学)を取得。
・卒業後は大手メーカーに開発職で就職、事業企画・技術調査なども経験。
・その後ITコンサル会社に転職するも、物足りなさを感じ退職。
・企業勤めの4年間で「博士は研究職以外でも幅広く活躍できる」と実感。
・「そんな思いを実現するお仕事」を模索中な専業主婦。

詳細な経歴はコチラの記事へ🖊

博士課程に進学したからこそ得られる能力ってなんだろう

世の中のビジネスを知るためにも、博士課程に進学せずに、修士で卒業して就職したほうが良いと思う

最近、こんなニュアンスの言葉を目にする機会がありました。

修士から博士課程へ進学して修了した身として、この言葉の言いたいことがある程度分かる自分もいます。一方で、そんな言葉を言ってほしくないと思う自分もいます。

博士積極採用を謳う企業は、世の中にちらほらあります。そんな企業の博士新卒向けの求人は、研究職やコンサルタントなど、限定的な職種に限られていることが多いように思います。

社会が「博士=専門性が高い」と捉えているのかなと感じるし、学生側も「博士を取ったら、研究職やコンサルしか道はないのかな」と感じざるを得ない気もします。

民間企業で非研究者として就職した私はというと、「熱意と能力を伝えられれば、職種に限らず雇ってもらえるだろう」という、今思うと意味の分からない考えを持っていましたが、それでも「専門に近しい分野であること」が就職の必要条件であると思い込んでいました。

博士人材の可能性・視野を広げるという意味では、世の中のビジネスを知っておく必要はあると、私も思います。けれど、博士課程の進学を辞めてまで、修士卒で就職する必要があるのかについては、私自身は同意しかねます。

例えば、博士課程で研究活動に打ち込んで得られた「俯瞰力」は、ビジネス全般で活躍するスキルです。

博士新卒で企業に入社すると、最初は部署独特の業務が分からず苦労することも多かったです。けれど、「自分の仕事の課題」や「自分の仕事上での立ち位置」を俯瞰することで、「上司はこう言っているけど、私が本当にすべきことは何か」や「この課題の皆が気づいていない本当の肝は何か」、「今の私にはどんなスキルが足りてないのか」を冷静に判断することができます。

その結果、私自身が目指すべきゴールを定めて、対処していった結果、「自身の業務を主担当として責任をもって取り組む」という状態は、入社後の半年間で、ある程度形成できたように思います。

博士課程で培ったレベルと同程度の俯瞰力は、修士卒で就職した後の3年間では得られないだろうと、私は感じています。もちろん、俯瞰力には個人差があります。博士だからといって、誰しもが高いわけでもないし、私より高い博士人材もいるはず。

ただ、博士課程に進んだからこそ、他者とは一線を画すビジネススキルを得られることだってあるのではないかと、私は思っています。

意外と企業に就職している博士人材、専門性活用のニーズが背景に?

経済産業省が公表している「令和4年度産業技術調査事業(産業界における博士人材の処遇向上に関する調査)」というものを目にしました。

さらっと目を通しただけですが、日本と海外の博士人材の就職状況や、企業へのヒアリング結果などがまとまっていて、読んでいて面白いです。この報告書の内容は、9月以降に要点を抽出してお届けしたいと思います。

その中で、博士人材の就職先について言及がありました。意外にも36%の博士人材が民間企業に就職しているそうです。

上記報告書から引用
(令和3年3月に公表されたデータを使用)

これだけの人数が企業に就職している一方で、”日本企業において活躍する博士人材は現状必ずしも多くない。”と、報告書の冒頭で書かれているのも事実です。

報告書後半の調査結果には、専門性活用の高いニーズを背景として、国内の博士人材の活用は「専門・業務一致型」が多いと、書かれていました。企業の業務と博士人材の専門分野がほぼ完全に一致し、これまでの知見を基に研究・業務を遂行する人材が多いようです。

一方、必ずしも業務と専門分野は一致しないけれど、一部の能力・スキルが業務と一致してる「能力・スキル一致型」の活用パターンは、今のところ広がっていないみたい。これは、”学生・企業共にレジリエンス等の博士課程で培う能力を十分評価できていない(企業側も学生側も民間企業での活躍可能性に気づいていない)”ことに起因すると、記されています。

専門性が高い分野では活躍しているけれど、そうではない限り活躍の場は限られているから、”日本企業において活躍する博士人材は現状必ずしも多くない”のかもしれません。

上記報告書から引用
上記報告書から引用

博士学生・企業、双方の視野を広げる機会を創出できないものか

私が社会に出て感じてきた「博士課程に進んだからこそ、他者とは一線を画すビジネススキルを得られることだってあるのではないか」という違和感は、”レジリエンス等の博士課程で培う能力を十分評価できていない”という調査結果に通じる部分があると感じます。

専門性を活用する雇用パターンに留まらず、専門性以外のスキルを活用する雇用パターンを増やしていくことが、今後の博士人材のより一層の活躍と雇用創出に重要なのかも。

イギリスでは、博士号取得者を研究機関以外の場所で雇用するための技能訓練や、博士課程への進学者を増やすための融資制度の導入等に対する投資が近年加速している。

上記報告書(18ページ目)から引用

海外では、博士人材への技能訓練を通じて、産業界での博士雇用を目指す国もあるそうです。日本でも、e-learningを用いてビジネススキルを学ぶ機会を作っている大学や、長期インターンシップで企業の業務を知ってもらう機会を作っている企業が存在します。

企業・博士学生の双方が「専門を超えて、博士人材の可能性とビジネスでの活かし方」を理解しあえるような機会を創出することが、今後の博士人材活躍のキーになるのではないかと、私は感じています。

今回は私自身の”経験”や”思い”を交えながら綴りましたが、これらに縛られずに、引き続き調査を行いながら、「博士人材が社会でより活躍するにはどうしたらいいのか」を考えていきたいです。


普段は、博士情報のまとめ記事や経験談を綴った400字記事を上げています。
細かな情報や考え事などは、上記マガジンで掲載します~!

博士が輝ける社会となりますように!

Dr. りけ子(Tsugumi)

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