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【MBA】 強いチームをつくるための「Appreciative Inquiry」を 「RPG」で例えてみた。


【はじめに】変革しようとしても反対にあってしまう時は?

組織やチームを変革しようとすると、どうしてもチーム内からの反発を招きやすい。それはもしかしたら、組織の問題点などネガティブな側面に光をあてているからかもしれない。そこで今回は、David L. Cooperrider博士が提唱した「アプリシエイティブ・インクワイアリー」、通称AIと呼ばれる手法を紹介したい。Appreciativeとは、真価がわかる、長所を認める等という単語であり、Inquiryには質問、問診などの意味がある。つまり、「長所を認める問診」というような意味になる。

まずは下記の図を見ていただきたい。

一見、DreamやDestinyなどおよそこれまでの堅い理論などではあまり出てこないキーワードに気づくと思う。また、DixcoveryやDesignを含めたこの4つのキーワードはとてもポジティブな単語であることも大きな特徴である。

正直、このステップを見るだけではなぜこのアプローチが革新的なのかという理解に苦しむかもしれない。そこでまずは今回の理論を、一般的な問題解決型アプローチと比較することでその価値を説明していきたい。

このように問題解決型では、Problem(問題)やCause(原因)など、ネガティブなキーワードが並んでいる。またSolutions(解決策)やPlanning(計画)なども、DesignやDestinyと比べると、より整然とした印象を受けるだろう。それでは、まず一般的な問題解決型アプローチから語っていこう。

問題解決型というように、企業や組織のマイナスの側面に注目するのが一般的なアプローチである。チームの連携が取れていない、新たなクライアントを開拓できていない、利益率が悪い、など普通の組織変革の場合、すでに顕在化した問題が焦点になりがちだろう。

問題を見つけ、原因を探り、解決策を出し、実施する。一見、このアプローチはとても地に足のついたステップに思える。だがこれが、組織変革に当たってどのような弊害や限界があるのだろうか。

それではここから、いつものように「たとえ」を用いて説明していく。


【基本】問題解決型VSアプリシエイティブ・インクワイアリー型:RPGのパーティを強く育てられるのはどちらか?


それでは、ここからはPRGのパーティに例えて、それぞれのアプローチの違いをみていこう。なぜならRPGにおけるチーム編成は、いかに個性の違うキャラクターを強く育てて、ボスを倒すというミッションを果たすことをゴールとしている。これは企業においても同じである。様々な個性の違う人々をまとめ、売上などの目標をクリアしていくということなのである。

それでは、まず問題解決型の最初のステップから、解説していこう。

まず、大体のゲームでは主人公たちの最初は一人一人はとても弱い。またそれぞれのパラメーターとして、やや強い部分とやや劣っている部分が存在する。そして、このパーティに問題解決型のプレイヤーが操作すると、どうしてもその弱点に注目してしまう。

そして、ステップ2の原因を分析することになる。それぞれ、個人には不得意な分野がある。興味がもてなかったりするものだ。そうしたネガティブな面と向き合うことに、人はそもそも否定的だ。それはコンプレックスだったりするため、他人から追求されることを嫌うだろう。そしてお互いに、「あいつはここができていない」とあげつらうことにもなる。そして「売上が悪いのは営業が仕事を取ってこないからだ」とか「いや、あの人が経費を無駄遣いしすぎてるからだ」などと、チーム内で軋轢が生じるような危険性もある。

ステップ3で「解決策」を出そうとしても、そもそもなかなか解決できないからこそ、問題となっている訳である。だからこそ、効果的なソリューションを編み出せることは稀である。よくあるパターンとしては、上司が無理やり「解決策を出せ」と言われる中で、いやいや達成できそうな小さな目標を出すというような消極的な態度になりやすい。「売上が落ちている」という問題を解決するためには、「もっとクライアントを訪問する回数を週2回から3回に増やそう」などといった近視眼的なものになりがちだ。

こうしてステップ4の「行動計画」に移るが、消極的な態度から生まれた小さな改善策ではそれを義務感の中でしぶしぶ達成したところで、大きな成果は生まれにくい。またそもそも個人個人の苦手分野に注力するため、その成長の幅も小さい範囲に止まりやすいのである。

そしてこの3角形がこの「問題解決型チーム」の特徴である。一人一人を見れば、あまり大きな欠点もなく批判される点はないが、組織としてはとても小さくまとまってしまう。またそれぞれが同じような能力を持つ組織となるため、チームで新たな問題解決をするようなメリットも生まれにくい。結果として、こじんまりとした画一的なチームや企業となってしまうのである。


続いて、アプリシエイティブ・インクワイアリー型のアプローチによるパーティの育成について見てみよう。

こちらも初期のパラメーターは、問題解決型パーティと一緒である。しかし、最初のステップ「Discover」では、それぞれの強みを肯定的に見ていこくところから始まる。こうした強みについては、個人は誇りを持っているため、積極的に発言してくれる場合が多い。

さらに今度は、その強みを活かして、どんな理想を叶えたいかという夢を語っていく。またチーム内では、夢を批判するのではなく、お互いに肯定的に捉え、膨らませていく役割を持たせる。「強みの営業力を活かして、最強の営業集団を作りたい」などだ。こうした夢や理想像というものは考えていてもワクワクしていくものである。また、このステップでは、その夢を大きな紙などに実際に絵で書き出し、チームごとに発表することで、組織でのワークショップなどにおいて大きな一体感を感じられるものとなる。

続く第3ステップの「デザイン」では、その膨らませた夢を、現実にするためにどうすれば良いかと具体的に設計する段階に入る。この第3ステップで注目すべきは、問いの前提が大きく変化しているということである。たとえば問題解決型では「売上を取り戻すにはどうするべきか?」というネガティブを問題点に対して、どうしてもそのマイナスをゼロにするために訪問回数を増やそうなどの小さな解決策に終始しがちだ。しかしそれが「業界最高の売上を誇る理想の営業集団を作るためには?」という大いなるプラスの夢の地点から振り返って考えることで「最強の営業集団を作るためには、みんなが培ってきた営業テクニックや人脈をシェアする勉強会を開くといいじゃないか?」などこれまでの固定観念にとらわれない、高い視点からのアイデアが生まれてくる余地がある。また「デザイン」という言葉のイメージのように、自由なアイデアを出し合える雰囲気も生まれていく。

こうしてそれぞれが自分ごととして捉えた夢や目標を、ステップ4では「運命(現実)」にするために、より詳細な行動計画をたて、実際に行動していくことになる。ここでも問題解決型が「やらねばならない」という義務感から行動してきたことに対し、「絶対叶えたい」という自主性から積極的に行動することでは天と地ほどの差が生まれるだろう。実際、強みや得意分野に強い意思が加わると、急激な成長を遂げる場合もある。

こうして「アプリシエイティブ・インクワイアリー型」のパーティでは、それぞれの得意能力を活かした個性的で強い組織が生まれるだろう。また注目すべきは、それぞれに強みを磨いた分、欠点がわかりやすく存在する。しかしその欠点がまた、チームがお互いに相互依存しあうための鍵にもなるのだ。だからこそ、チームワークの相乗効果が生まれ、組織に一体感が生まれるだろう。

実際、MBAの講義ちゅうも1日かけて今回の「アプリシエイティブ・インクワイアリー」のワークショップをやったのだが、クラスメイトそれぞれがより積極的なコミュニケーションが生まれ、発表などもこれまでにない盛り上がりが生まれた。こうしたチームを前向きな変革に向けて一体感をつくる意味でもこうしたアクションは大切なのだと思った。

通常どうしても「組織変革」だと、否定派などが生まれ抵抗にあってしまうものだが、この手法を使えば、うまく全員の理想に向けてチームに勢いをつけることができるとても良い手法だと思う。ぜひトライしてもらえると幸いだ。

【結論】肯定的な組織変革アプローチ「アプリシエイティブ・インクワイアリー」を活用して、強い組織をつくろう。




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