スターサイドシンドローム
朝のツンと張った空気を肺いっぱいに吸い込んで、僕は歩き出す。遠い所にいる君と夜を明かしたら、どうしたって春が待ち遠しくなるものだ。既に手遅れだなんて知る由もないが、間違いなく僕らは同じ夢を見た。
何もかもが終わると思い込んでいた時期があった。飲み込めなくてあがき続け、それでも終わりは着実に歩みを進めるものであった。何より春が怖かった。冬が終わるのも嫌だったし、終わりも始まりも分からないし、長袖を手放したくもなかった。カーテンを閉め切って電気を消し、冬の夜を延ばし続けていた。