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散文:姫事

ニーチェの言葉を散らかしてみる
あの子は好きな人が変わったらしい
何度もセーラー服に染みを作って
抱きしめられて皺が出来た
塞がらない傷に気付かないまま
あの子は彼に殺されていた

汚れた街を見下ろすのは
アイスの君とヨーグルトの僕
僕は脱出に失敗していた
ユートピアの夢を見た後に
一番綺麗な音を聴いた
歌わない代わりに子守唄を弾いて
君は僕に痕を残した

貴族と奴隷が共存する劇団は
コメディしか上演出来ないようだった
舞台上でルサンチマンが踊る
劇場を後にしたのは
貴族か奴隷か分からない僕だ

君と行ったいつかのお店が終わってしまった
僕はそれが本当に悲しかったのに
遂に君がそれを知ることはなかった

壊れていても哲学者の言うことは分かる
彼の優しさが病気だったことと
この痕がすぐ消えることは
世界で一番残酷なことだと思った
出来れば僕を脱がすんじゃなくて
宝石のついたドレスを着させて
それだけで良かったよ

簡単なことは簡単なままにしておいてほしい
簡単な答えを何度も確かめて
僕らはあんなにも楽しんだじゃない

辛いのは嫌だと泣いたら
別に愛してない君が
同じ匂いになった僕にキスをした

「上手く慰められたら良いんだけれど」

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