マガジンのカバー画像

演技の基礎

20
プロの俳優を目指している方のために、基礎的な知識とエクササイズをかきました。もちろん現在も活躍されている俳優の方も、自分の考えと照らし合わせて読んでください。
運営しているクリエイター

#演劇

体の緊張は下半身が原因かも

体の緊張は下半身が原因かも

 「肩や首に力が入ってしまう。」「他の共演者や演出家から緊張していると注意を受ける。」「のどを簡単につぶしてしまう。」、このような注意を受けている人は、もしかしたら下半身が使えていないのが理由かもしれません。

下半身と上半身の関係 なぜ声の悩みや上半身の緊張が、下半身からくるのかピンと来ないかもしれません。体を「家」で例えれば下半身が土台であり、上半身はその上に立っている建造物です。そもそも下半

もっとみる
役作り、自分との「同じ」でなく「違い」を見つける

役作り、自分との「同じ」でなく「違い」を見つける

※毎週木曜日に行っているマイケルチェーホフ演技テクニックのレギュラークラスの振り返りです。

 役者がする仕事の1つと言えば「役作り」。役作りの目的には、役の考え方、視点、状況、身体的特徴を理解し表現できるようにすることにある。先週のクラスではこの役作りを行ってダイアローグに取り組んだ。

 私が高校で演劇をしていた時、先輩に役作りには二種類あると言われたことがある。それは「自分に役を近づける」か

もっとみる
内からの演技と遊びの感覚

内からの演技と遊びの感覚

 演技を行う上で重要なものが、内側の衝動で動くことです。これによってまるで芝居の中の人間が感情やインスピレーションに従って生き生きと行動しているように見えるのです。トレーニングの初めで悩むこととは、自分のやりたいことが分からない、見つからないということです。
 こういった内的な衝動や活力に従って活動することを、インプロの父ともいえるキース・ジョンストンが言う「自然発生(spontaneity)」、

もっとみる
「声」の改善はまず「姿勢」から

「声」の改善はまず「姿勢」から

 声はその人の性格、考えていることなど表してしまいます。

 私たちは直観的に、声を聞いてその人がどんな人なのか判断してしまいます。俳優たちの声に関する悩みが多く寄せられます。

 かといって私はヴォイストレーナーではないので、完璧な解決策は提示できるとは思っておりません。(演劇を専門にヴォイストレーナーは日本では希少です。)

 しかしそれでも基礎的な俳優のトレーニング方法で、ある程度改善できる

もっとみる
「今ここにいる」意識を高める~俳優のための演技の基本『集中の円』~

「今ここにいる」意識を高める~俳優のための演技の基本『集中の円』~

東京で演技講師、演出家、俳優をしている秋江智文と言います。マイケルチェーホフ演技テクニックを専門で教えています。

ここでは演技初心者の方に分かり易く、演技のイロハをお伝えできればと思っております。

―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―

 演技をしていて自分のセリフや動きに必死になって周りの人やものを忘れてはいませんか?
 この集中の円(注意の輪)は、俳優が相手やものに集中して「今

もっとみる
演技の基本「役の目的を学ぼう」

演技の基本「役の目的を学ぼう」

 東京で演技の講師をしている秋江智文です。今回も演技の基本をお伝えします。

 演技の教科書の第一章といえば「目的」です。私は受講生に「目的はエンジンだ。目的がないと役はピクリとも動けない。」と言っています。役が行動するためのモチベーションを「目的」と呼んでいます。
 今回はその目的をできるだけ演技初心者や演技に興味がある方に分かり易く、少しでも演技に使えるようにお伝えできればと思っております。

もっとみる
成果がでる心身の状態って何だろう?緊張とパフォーマンスの関係

成果がでる心身の状態って何だろう?緊張とパフォーマンスの関係

   イギリスに留学してきたときパブの一角が舞台になっていて、定期的に誰でも舞台でパフォーマンスができる催しが開催されていました。肝試しがてら、パフォーマンスをするつもりで舞台に立つことになったのですが、そのとき異様なほど緊張したのを思い出します。舞台上で何を言っているのかわからず、頭が真っ白になり、途切れ途切れになり、何とか最後までパフォーマンスを終えました。終わるとまばらな拍手と憐れみの視線を

もっとみる
役者の体を味方につけるための方法

役者の体を味方につけるための方法

 東京で演技コーチをしている秋江智文です。今回は「体に対する意識」について触れていきたいと思います。ここで指す体というのは、心や思考といった目に見えない内面ではなく、四肢や胴体また姿勢や仕草といった目に見える体の話です。

意識できなことは演技にできない
 日常生活を送る程度であれば、普段自分がどうやって歩いているのか、どんな姿勢で話を聞いているのか、どうやって食事をするかなんてことは、そこまで意

もっとみる
演技に必要な想像力の鍛え方

演技に必要な想像力の鍛え方

 東京で演技講師をしている秋江智文です。今回のテーマは「想像力は筋肉だ。」です。これは作家のN・ゲイマンの言葉です。想像力は演技といった身体表現だけでなく、コミュニケーションや日常生活などに必要なものです。もっといえば物を一つ買うことだけにも想像力を働かせることができます。

「見えるもの」と「見えないもの」と「つなげるもの」 以前書いた記事で、演技には観客から「見えるもの」と「見えないもの」があ

もっとみる
演技の訓練って、何をしたらいいの?

演技の訓練って、何をしたらいいの?

東京で演技コーチをしている秋江智文(あきえともふみ)と言います。この記事はこれから演技を始めたい方、始めたばかりの方のために書いています。

誰でもできそうなお芝居 お芝居は一見誰でもできそうな芸術です。例えば、ダンスや歌など他の身体表現と比べてみると、どうでしょうか。「白鳥の湖の黒鳥を踊れ」「日舞の鷺娘を踊れ」「魔笛の女王のアリアを歌え」といきなり言われても難しいですが、お芝居の場合、ハムレット

もっとみる