見出し画像

股関節骨折をなんとしても避けたいワケ #2


はじめに

30歳を過ぎると、骨を作る能力は低下していくため、
毎年少しずつ骨量が失われていきます。

骨折の>95%以上の原因は転倒です。
転倒の原因はさまざまですが、骨粗鬆症もその1つです。

骨粗鬆症のリスクは幼少期の骨密度によっても左右されるので、
10代、20代であればより質の良い、強い骨につながる
ライフスタイルを心がけることができますよね!

#1のおさらい

股関節を骨折し、手術ができるような状態であっても
股関節骨折をした人の1年以内の死亡率がなんと21%にも上り
その上、医学が進歩と共に他の疾患の死亡率は大幅に下がっている
にも関わらず、股関節骨折後の死亡率は1980年代から大きく変化
しておらず、未だに5人に1人が股関節骨折後1年以内に亡くなってしまう
ということでした。
※参考文献は#1をご覧ください。


引き続き、興味深い論文をご紹介します。

結果だけ目を通したい方は読は線で区切ってあるところだけ       読んでくださいね♪

骨折後の死亡リスクは最初の3ヶ月が山?

  • 2010年にアメリカとベルギー共同で行われた研究で       1957〜2009年の間に発表された前向きコホート研究という種類の研究をメタアナリシスという方法で解析したものです。

  • 50歳以上の女性578,436人、男性154,276人が調査の対象となった。


研究から分かったこと

  • 股関節骨折後3カ月間の死亡リスクは対象群と比べ
    男性で8倍女性で5倍増加することが明らかになった。

  • 死亡リスクの高さは骨折後2年で大幅に減少した。

  • 年齢と性別がマッチする骨折した人と骨折しなかった人を比べた場合に、どの年齢、性別でも骨折した人の死亡率高い。これは骨折後10年経過しても依然高いままで骨折をしなかった人と同じ死亡率のリスクレベルに戻ることはなく骨折の影響は長期的であるということが分かった。

  • どの年齢でも、股関節骨折後の顕著な年間死亡率は女性より男性で高かった。

  • 骨折後の顕著な死亡率増加は様々な要因に起因すると考えられる。     感染症や塞栓症など手術に関連する有害事象による死亡や、認知症や心血管系疾患など骨折以前からの疾患によるもののどちらも短期死亡リスクを高める要因である。 


この研究で考察していない / できなかったこと

  • 骨折後の顕著な死亡率増加は骨折前からあった疾患によるものなのか、それとも体力の差によるものか、もしくは両方なのかは不明。

  • 股関節骨折後の顕著な死亡率増加が女性より男性で一貫して高い理由は手術に関連する有害事象なのか、骨折以前からある疾患によるものなのかは更なる研究が必要。

  • この研究では入院をしていない股関節骨折患者を対象にしていないため、おそらく非常に高い初期死亡率を持っていたと考えられる。

  • 分析に使われた個々のデータは老人ホームに既に入居している人と自立して暮らしている人を区別しておらず、基礎疾患や健康状態が異なる人達をまとめたデータであった。このようなデータだと、老人ホーム入居者の生存の過大評価や自立して暮らしている人の生存の過小評価につながる可能性がある。

まとめ

  • メタアナリシスという信頼度の高い論文をご紹介しました。
    股関節骨折後、最初の3ヶ月の死亡リスクの増加は本当に顕著ですね。
    術後のケアをする際に頭に入れておいて悪くない情報ですね。

  • やはり、股関節骨折の影響は長期的なもののようですね。           骨折をしないために今から出来ることの重要性をより強く感じますね。

  • 股関節骨折後3ヶ月以内の死亡率でが男性の方が高いのは意外な結果でしたね。骨粗鬆症のリスクファクターの記事で書く予定にしていますが、骨粗鬆症リスクは女性の方が高いので、驚きの結果でした。この情報も股関節骨折をした人のケアをする立場の人にとって有用なデータなのではないでしょうか。

最後に

最後まで読んでくださりありがとうございます。
次回はもう一つ興味深い論文をご紹介したいと思います。

今回の研究では考察することができなかった
骨折前の健康状態と死亡リスクに関する論文の予定です。
気になりませんか?

よろしければ是非フォローしてくださいね。
励みになります!
Moet

参考文献


Haentjens P, Magaziner J, Colón-Emeric CS, et al. Meta-analysis: excess mortality after hip fracture among older women and men. Ann Intern Med. 2010;152(6):380-390. doi:10.7326/0003-4819-152-6-201003160-00008

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?