如月博士

大学の中堅研究者。某ベンチャーの取締役。備忘録として興味のあることについて調べたことを…

如月博士

大学の中堅研究者。某ベンチャーの取締役。備忘録として興味のあることについて調べたことをメモしていきます。

最近の記事

2022年8月・コロナ下でのシカゴ出張(上)

学会参加のため、アメリカ・シカゴに出張しました。だいぶ緩和されたとはいえ、コロナ下の出張はだいぶ色々な制約や事前準備が必要になります。 国際学会で発表したり、情報収集することで世界の研究動向を探るのも大学教員の大事なミッションだと思っているので、コロナ禍が起こる前は毎年何かしらの国際学会には参加していました。 学会だけでなく、直接打ち合わせの目的などを含めて欧米・アジアを含め、いろいろな国に出張していたことを考えると、2年以上も海外出張しなかったことは自分が大学院に入ってから

    • 兵器と科学技術

      ロシアがウクライナに侵攻して1ヶ月ほどが経過した。大規模な軍事侵攻で一般市民にも多くの被害が出ている状況を作り出したロシアに対して率直に怒りを覚えるし、被害に遭っているウクライナの方々に自分なりに何かできないか日々考えて、焼け石に水だとは思いつつも多少の寄付など、できる範囲のことをしてみている。 当初国際社会が警戒していたほどにロシア軍の進行スピードは速くなく、ウクライナ側の必死な抵抗によって侵攻が食い止められている。ロシア軍の士気が低いなど、人的な問題に焦点が当てられるこ

      • ゼレンスキー大統領

        連日状況がトップニュースとして伝えられているが、ウクライナ情勢は予断を許さない状況が続いている。NATOがいくら東方に拡大し、ウクライナがNATO加盟を申請することでロシアがその脅威を感じていたとしても、それを武力で変えさせようというのは現代の国際常識からすればあり得ない選択だろう。まるで1世紀時代が後退したかの様だ。しかし、侵攻が始まってから2週間経ち、ウクライナ側の善戦とロシア側の混乱が度々伝えられている。 何よりSNSの時代である。実際の映像や国際状況が瞬時に把握でき

        • 科学技術政策に対する認識

          JST理事長のインタビューがウェブに掲載されているのを読んでみた。 色々違和感のある記事だったので、備忘録的に論じておきたい。 ①研究開発能力の低下に関して 社会の変化は激しく、ITについて行ける様な人間で無いとこの変化のスピードに対応するのは難しい。ではなぜ対応できないのか?理由は簡単で、政策決定している人間がそういう人々だからである。IT担当大臣がITに関して無知であったりするのは典型だが、政策決定機関やファンディングエージェンシーの上部がそういう人たちで占められてい

        2022年8月・コロナ下でのシカゴ出張(上)

          骨伝導イヤホンとMacの相性

          Webによるリモート会議が多くなり、快適な通話環境を求めていろいろなイヤホンやヘッドセットなどを試している。私がまず試したのは自前のイヤホン・ヘッドホン。全てPCはMacである。 ・Air Pods Pro iPhoneとMacへのシームレスなマルチポイント接続や通話の環境としては申し分ない。ノイズキャンセリングもあいまって、会話に集中できる。ただ、音質は微妙で特に高音が余り出ておらず、くぐもった感じの音になる。 ・BOSE Noise Cancelling Headph

          骨伝導イヤホンとMacの相性

          Top 2%研究者(国内動向①)

          前回のエントリーで国別のTop 2%研究者動向を書いたが、今度は国内に目を向けて見る。国内各研究機関(旧帝大+α)のTop2%研究者数を表したのが下記のグラフである。

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          Top 2%研究者(国内動向①)

          Top 2%研究者

          Elsevierから自然科学分野における分野横断的な論文引用データベースを基にしてTop 2%以上の研究者をランキングしたデータベースが公開された。 特にこのデータベースは2020年における論文のインパクトと2020年におけるすべてのTop 2%研究者のインパクトを格付けしており、分野横断的なデータベースということで非常に興味深い。 自分の名前があるかどうかは研究者としては気になるところであるが、それ以上にそれぞれの国がどのくらいの割合でランクインしているのかというのは

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          Top 2%研究者

          対極に関するせめぎ合い

          電気化学実験でよく使われる手法として、参照電極(RE)、対極(CE)そしてサンプルを載せた作用極(WE)の三極式試験が知られている。 REは基準となる電位を決めるためのもので、測定環境によって最適なものを選ぶ。例えばアルカリ条件などではAg/AgClなどがよく使われる。CEはさまざまな電気化学反応条件下でもできるだけ変化せず、WEに対して安定であることが求められる。今回はそのCEに関して、雑誌のエディターから物言いがついた件に関する顛末である。

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          対極に関するせめぎ合い

          2021年のノーベル物理学賞・化学賞についての雑感

          2021年のノーベル物理学賞は気候変動モデルの開発と物理システムの解明の功績でShukuro Manabe氏、Klaus Hasselmann氏、Giorgio Parisi氏に。https://www.afpbb.com/articles/-/3369441 2021年のノーベル物化学賞は不斉有機触媒の功績でBenjamin List氏とDavid MacMillan氏に。 https://www.afpbb.com/articles/-/3369622 なぜわざわざA

          2021年のノーベル物理学賞・化学賞についての雑感

          Google MeetとMacの相性

          コロナ禍でウェブ会議が増えて来ており、大学がGoogle Suitsに契約していることから、Google Meetでの会議がよく行われる様になっている。ところが新年度になってから、MacのSafariでGoogle Meetに入ると、1分ほどで接続が切れ、「エラーのためハングアウトが切断されました」と出てくるようになった。 他のZOOMなどのWeb会議では全く問題が無いのだが、Google Meetだけが使えない。これは困った。 ウェブを検索してみるとプロキシの設定云々と

          Google MeetとMacの相性

          新幹線予約に関する備忘録

          数年前はJR東日本のモバイルSuicaを使って新幹線予約や座席変更などが簡単にできていたのだが、コロナ禍にはいる前あたりから何故かえきねっと経由で予約する形になり、それとモバイルSuicaを連携させる形に変更になった。はっきり言って改悪。 JR東日本の予約システム「えきねっと」を使って予約をする形。えきねっと自体は昔からある予約サイトだが、モバイルSuicaでの予約ができていた頃はモバイル予約で東京ー仙台間で約千円くらいの割引もあり、家族が東京に旅行にいく時くらいしかほとん

          新幹線予約に関する備忘録

          アスパラガス酸

          いきなりこんな話題で恐縮だが、 バーニャカウダを食べた次の日のおしっこから妙な匂いがする。 ゴムが焼けた様な臭い。 何かの病気かと思っていたが、アスパラガスに含まれるアスパラガス酸の代謝物の匂いであることがネット検索でわかった。 https://ja.wikipedia.org/wiki/アスパラガス酸 五員環ジスルフィドにカルボン酸がくっついた見るからに芳しい構造を持っているのがアスパラガス酸だが、これが代謝されることでチオール系化合物が生じる。つまり、加硫したゴムの

          アスパラガス酸

          思い立ったが吉日

          日記的なものを少し書いてiPadに保存していたのですが、どうせ大したことを書いていないにもかかわらず、あのときどういうこと考えてたんだっけ?というのをWEBでみれるのはいいなー、と思い、noteのアカウントを作ってみました。 仕事上、ちょっとマニアックな科学ネタや研究者が日々何をしているのか、興味のある人のお役に立てれば幸いです。写真や旅行が趣味なので、そういう話も記録できればと思っています。 思い立ったが吉日。 ちょうど誕生月だったので、いい機会と思いはじめて見ます。

          思い立ったが吉日