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臓器移植とは?不治の病を救うメシアです。

今回は、臓器移植について、お話します。

以前外来で患者様に
「亡くなったら臓器移植をしたいんだけど、どうすれば良い?」
と、質問されました。

私はその方の奉仕の精神に、心打たれました。

臓器移植は、不治の病の方へ、命を寄贈することです。

従来まで本人の意思がなければ臓器移植は認められていませんでした。しかし2009年の臓器移植法改正で、本人の意思が不明な場合でも、そのご家族の承認があれば可能となりました。

これにより、臓器移植件数は、飛躍的に上昇しました。

臓器移植は、死体移植と生体移植に大別されます。

死体移植は、心肺停止患者はもちろん、脳死患者もドナー(臓器提供者)になることができます。

国内では、以下の臓器移植が行われています。

ここから、移植の流れを説明します。

患者様が亡くなった後、生前の本人による臓器移植の意思表示、もしくはご家族による臓器提供の申し出があった場合、病院が移植コーディネーターに連絡をします。

彼らは、臓器移植マネジメントのプロです。

移植コーディネーターは、ドナーのご家族に、臓器移植の説明をします。同意が得れたら、病院スタッフにドナーの死体管理方法や臓器摘出法を指示します。

その後、外科医がドナーの臓器を取り出します。術後は、手術痕が目立たないように、閉創します。

同時に、レシピエント(臓器被提供者)を一定のルールで選択し、決定します。決まり次第、早急に臓器搬送ルートを決めます。

レシピエントの元へ届いたら、すぐに臓器移植手術を行います。

では、ドナーになるための生前の意思表示は、どうすれば良いのでしょうか。主に方法は、以下の3つです。

・公益社団法人日本臓器移植ネットワーク
生前に臓器提供の意思を登録すると、死後に家族がこれを確認できます。

・健康保険証、運転免許所の意思表示欄
健康保険所や運転免許所の裏面に、臓器移植の意思を記入する欄があります。

・意思表示カード
都道府県市町村役場窓口や、一部の病院、イオン店舗で取得できます。財布などに入れておくことが良いでしょう。

私は、運転免許証の裏に、臓器摘出の意思表示をする記載をしています。


そのきっかけは、主治医として診ていた難治性の慢性腎不全で透析していた10代女性が、腎臓移植により透析の離脱ができたことです。

彼女は週3回、高齢患者様に囲まれて透析していました。不甲斐なさか、毎回涙を堪えていました。

腎移植をし、自分で尿が出せるようになり、透析する必要がなくなりました。彼女は感極まり号泣し、主治医の私に何度もお礼を言いました。

私は、臓器移植は不治の病を持つ患者様にとって、メシアのような存在だと思いました。

写真は、神奈川県横浜市、元町中華街です。

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