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プロDJ・Sさんの決意、「IT業界未経験の人たちのロールモデルになりたい」

毎朝8時半過ぎに出社

ドヴァのマーケティングセクションで働くSさんの朝は早い。

「8時30分ごろには出社していますね。(横浜ランドマークタワーの)エレベーターは空いているし、『おはようございます』と言ってオフィスに入っていくよりも、自分の席で、他の人を迎える方が気持ちいい」

「でも……」と、Sさんは苦笑いしながら続ける。

「一番ではないんです。もっと早く来ているSales部の方がいるんですよ」

ドヴァの始業時間は9時。それよりもずいぶんと早く出社するSさんは、とてもDJとしてクラブで夜通しプレイをするような人間には思えない。実に健全である。

Sさんは2021年4月に入社してから、顧客企業のWebサイトのデザイン制作が主な業務だ。それに付随する形で、自社のWebサイト管理や、販促チラシなどのデザイン、SNSの運用などを担当している。

ドヴァに入る前からほぼ独学でWebの勉強はしていたが、いざ仕事となると勝手が違った。

「社内外の打ち合わせなどではIT用語がバンバン飛び交って、全然分かりませんでした。知らない単語で説明されるのは大変ですよ。でも、『わかりません』と言うと、他の社員の方がIT初心者用の用語集ページを送ってくれました。それを見て、一個一個調べて、ちょっとずつ慣れていきました」

親切にフォローしてくれるのがドヴァのカルチャーである。そのほかにもプログラミング研修など、ITスキルを学ぶ機会をたくさん与えてくれる。

「研修に出て、とても助かりました。拒絶反応があった分野でも抵抗がなくなってきました」とSさんは感謝する。

脳死状態で仕事はしたくない

しばらくは上司のサポート役に徹していたが、入社して3カ月ほどが過ぎ、独り立ちすることになった。Webテンプレートを活用した顧客サイトの制作が初めて任された仕事だった。

無難に乗り切ると、そこからいくつかの案件を任されるように。Sさんにとって特に印象深いのが、サイトのリニューアル案件だ。約半年間、毎日のように顧客とやり取りをするなど、張り付きで作業に当たった。

おおむねスムーズに進んでいたが、最後に試練が待ち受けていた。

「完成間近のときに、これもほしいと、索引を2、3ページ追加するオーダーがあったんです。しかも、これまでのレイアウトとは違うテイストのものでした」

Sさんは戸惑いを覚えつつも、やるしかなかった。他のページと違和感がないようなアイデアを自分なりに探したり、実際にコードを書いてテストしたりした。その際に生きたのが、これまでの仕事の中で溜め込んでいた「ネタ帳」である。

「いつもと同じような業務であっても、何かしら意味を持たせたいと思っています。ぼーっと、脳死状態で仕事をするのではなく、このデザインは何かに使えるのではとか、こういう設計にすればもっと見やすくなるとかを考えて、それを逐一メモするようにしています」

この行動の裏には、DJの経験が影響している。

「カフェに行って音楽がかかっていたら、『あ、この音を使うと面白いかも』とメモって、家に帰って、その音源で曲を作ることはよくあります。音楽をやり始めてからは常にアンテナを張っていたいと思うようになりましたね」

自らのアイデアを元に、Sさんは顧客がオーダーする追加ページを構築した。上司に見せたところ、「いいじゃん」と褒めてもらえた。思わず「やったー!」と喜んだ。その後、顧客からも一発OKが出た。

「無事にサイト公開できた時は、これを自分の力でやったんだなという気持ちになりましたね」とSさんはしみじみと語る。

そうした経験をしたことで自信をつけ、今では常に7〜8件の顧客案件を抱えるまでになった。

未経験でも通用することを示したい

ドヴァに入社して1年3カ月が過ぎたSさんだが、まだまだ自立にはほど遠いですよと謙遜する。

「毎回新しい仕事が来るたびに、覚えなきゃいけないことは無限だなと痛感します」

しかし、中途採用である以上、会社としては活躍を期待するのは当然だ。それはSさんも肌で感じている。そんな中で、Sさんが今後挑戦したいと考えるサービスが、「動画」だ。

「動画にも2種類あって、映画やテレビCMみたいな多くのお金をかけて作るものと、製品マニュアルや社員インタビューなど、頑張れば自社でも作れるようなもの。後者については、自分たちでやるか、外に頼むかを迷っているお客さんも多そうです。そこにニーズがあるのでは」

ここでもDJ活動が生きそうだ。

「音楽仲間とかがプロモーションビデオをよく撮っているので、一緒にくっついて行って学ぼうかなと思います」

最近では、できる案件があれば、どんどん積極的に手を挙げている。その上で成果にもこだわる。そこには、自分のようなキャリアの人たちを勇気づけられればという思いがある。

「IT業界未経験だった自分でもやれているという実績を示せば、同じような人たちもこの世界に入りやすいはず。キャリアの間口を広げられる可能性があります。やる気があれば挑戦してもいい、そういう人たちのロールモデルになりたい」

飄々(ひょうひょう)とした語り口のSさんではあるが、この言葉は実に熱を帯びていた。

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