実は熱血ホラー? IT/イット続編を楽しんだ感想
1.ぱっと見、これだけ見てもわかる、カンタン感想
ハァイ ジョージィ!
で、一躍有名になったピエロホラーの新作、
「IT/イット THE END "それ"が見えたら、終わり。」を見てきました。
正直な話、もう2だし、何が襲ってくるかはわかりきっている。
続編はそこそこの出来になるかな?
くらいのテンションで見に行ったのですが、
そのラインをはるかに超えて、しっかりゾワゾワドキドキさせてくれたのは流石でした。
ていねいな仕事のお化け屋敷ホラーを満喫できました。
ホラー以外の部分についても、大人になってしまった主人公たちに、
こちらもきっちり感情移入させてくれて、
2作目で尻すぼみすることなく、楽しめました。
なお、ホラー好きなかたにはどうか? という話になりますと――
いわゆるえぐさや、真に迫ったやばさよりも、
ビックリシーンが満載のアトラクション型のホラーとなっておりますので、
そちらがアリなかたにはおすすめです。
以上ばっと見、わたし的に面白かったという話でした。
以下にはネタバレはしませんが、
内容についてもちっと掘ったお話を少々!
2.入り込めたドラマ部分
本作では、大人時代と子供時代の回想を交互に描くことで、
「え、急におっさんでてきたけど、おっさん、、あの子なん?😟」
のようなキャストを変えることで生じたノイズを、
極力なくそうとしていました。
自分の感想をいえば、子供時代の彼らを見た後に、
現在おっさんになった彼らを見る。
思い出の町で、過去と今が交互に行き来する。
――そんなシーンのつみかさね見るうちに、
いつしか彼らを同じ人物として、飲み込めるようになっていました。
そして、過去の彼らをなつかしみつつも、
今、過去に呪われた主人公たちに感情移入するようになっていました。
また、前作を見てから間があいていても、おさらいができて混乱しづらい見せ方だったと思います。
おかげで続編ものにありがちな、
「あれ、こいつだれだっけ?」
的なとまどいをかなり序盤のうちに解消することができました。
回想ばかりだと、逆にさめてしまう作品もある中で、
多くの主要人物をわかりやすく整理してくれていました。
(※説明くささで観客のテンションをさげずに、情報をすべてわたす。
こういった――基本だけども難しい部分を完遂しているあたり、
作り手さんは上手いのだろうなぁ・・・・・・と素人ながらに思ってしまいます)
3.手堅い仕事のホラー演出
ホラー面についてはビジュアルが秀逸で、
まず化け物たちが生理的に受け付けない😱
「来るぞ、、来るぞ、、」と思っていたレベルを、
さらに超える気色悪さで迫ってきてくれて、
存分にモンスターホラーを楽しめました😆
化け物が襲ってくる そんなシンプルな状況を、
これでもかとつきつめていて、
かなりのバリエーションのショックシーンを堪能できました。
また、そういったストレートな部分にくわえて、
主人公たち一人一人を精神的に追い詰めていく、
いやらしいからめ手の恐怖描写も、しっかりと仕込まれてました。
こういった質の異なる怖さも織り交ぜてあると、
見ているうちに怖さ(&驚き)に慣れて、ダレてしまう
――なんて状況を遅らせることができる気がします。
特にホラーの終盤には、怪異との対決が描かれることが多いためか、
ショックシーンのインフレからの慣れが発生しやすい気がします。
(注)ここからは、ほんわか輪郭だけネタバレします。
m(_ _)m
4.やや踏み込み、微ネタバレ感想
本作もこういったホラーおきまりの流れや原作の展開上、
インフレ問題とは無縁ではいられませんでした。
ただし、こういったからめ手を織り交ぜることで、
慣れからのダレを防げていたように思えます。
そういった経緯もあり、
終盤は変化球的な怖さはあるものの、
怪異との対決が見せ場となっていました。
この時点で映画のジャンルがホラーから、
純粋なモンスターバトルものに切り替わった
――とも言えるかもしれませんね😃
こうなってしまうと、怖さよりもドキドキ
もしくは、「おぉ、すげぇ~!!」的な派手な映像に
映画の主役は移っていきますので、好みが分かれそうです。
ホラーからのバトル物への変化は、
お話を終わらせるためには、王道の流れだとは思います。
ただ、定番であるがゆえに、正直冷めることも😌
ですが本作については
「うん、まぁそうなるか」
とは思うものの、そこまで温度も下がらず、
むしろしっかりとラストに見入ることができました。
それはなんでなのだろうと考えてみると、
やはり主人公たちへの感情移入度がものすごく高くなっていたから、、
なのかもしれません
2時間半、いや前作を含めれば倍の時間をかけて、
丹念に積み重ねられ、描かれてきた主人公たち、
彼らの安否に、私は強い関心を――いえ、
擬似的に身近な人間に向ける心配まじりの気持ちすら、
抱いて見ていたのかもしれません。
初めは人ごとであったはずなのに、
いつの間にか思い切り主人公たちに肩入れして、
最後は前のめりに画面に見入っていた。そんな気がします。
引いた目で見れば、お決まりに見える展開も、
かなり厚みのある物語を経てきたせいか、
素直に入り込めて熱い展開を楽しむ事ができました。
5.なぜそこまで乗れたのか、すこし掘って考えてみた
ITは、いわゆるド王道の熱い展開の作品でした。
そんな作品に自分が乗れたのは、
ひとえに日常をていねいに書き込んでいたから、
なのかなとも思います。
ITでは、2作あわせて5時間ほどの時間の中で、
かなりの比重をかけて主人公たちの日常も描いていました。
一見地味で見せ場ではない、そんなシーンの積み重ねが、
擬似的に――どこか近しい仲間たちとのやりとりに、
参加している――かのような感覚をうみだしていたのかな?
とも思います。
そういったかりそめの親近感、仲間感が、
より近い感情移入を引き出していたのかなと思います。
(※またそういった日々の生活を書き込むことで、
ショックシーンの衝撃がきわ立つ、という効果もあるのでしょうね)
こういった見せ場にかたより過ぎない、
ぜいたくな作りは、大作なうえ、理解ある制作陣でなければ、
なしえなかったのかも知れませんね。
ITは、ていねいに王道をやりきった、素直に楽しいエンタメでした!
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